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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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アンドレア・エルフローレン2

『戦闘が始まると知るや…否や…お前は…そう…や…っ…』


声は消えていった。

俺を不審な目で見ていた周りも、すぐさまドックの方へ駆け出す。


戦闘準備をしなければ。

基地を守らなければ。


俺の身体は自然と軽くなり、ドックへ急ぐ。

医務室の前を通りかかると、医師達が慌ただしく走っていた。

看護師と白衣を着た男の横を通る。


「重傷者は…」

「軽傷者だけでも…」


シムやカイルの友人達、他の負傷者達の一時避難をどうするのか、立ち止まり彼らに確認したいが、彼らもまた、訓練を受けている。避難時の指令は受けているはずだ。と、思いをぐっと堪え、走り続ける。


ドックに着くと、各自割り当てられた戦闘用機体に乗り込む。

準備が出来た機体が、次から次へと出撃するのを見て、緊迫した状況だと実感し鼓動が速くなる。

自分の機体じゃないと揉めている隊員も居たが、整備が終わっている機体から出すから仕方ないのだと、負けじと整備士が怒鳴り返す。

いつもなら冷静な整備士達も、悠長な事は言っていられない。

下手をすれば自分達の命も危ないのだから。


出来るだけ多くの機体を出したいのは、双方共に同じ思いだが、「自分の機体」と執着する者もいる。

装備の違いはもちろん、癖がついている時があるからだ。

他者の癖、自分の癖。


機体を女性に例える者も、実際少なくない。

アイツの後は嫌だとか、所属し始めて乗った機体を「処女機」と呼び、自分が「処女飛行」した機体を使い続けたいと希望する者も、珍しくはない。

カスタムしたり、成績によっては「良い武器」が詰まれるから尚更、自分だけの機体(おんな)と執着するようになる。

上も「癖」については承知しており、大抵同じ機体を使い続ける。

損傷が著しくない限りには…だが。


それに伴い、同じ階級の隊員の中にも、機体整備の優先順位が出来る。

出撃回数や貢献度によって、機体は優先的に整備され、操縦者もまた優先的に「自分の機体」に乗る。


俺はいつもの機体に乗った。


「出撃準備完了」

「了解。出撃準備よし…」

「3…2…1…出撃!!」


出撃後、いつもは聞こえる隊長の…指令を伝える声は無かった。


外に飛び出ると同時に、眼下に広がる光景は悲惨な未来を予見させた。

遠くに降り落ちている黒い粒。

それは一つ一つがあの化け物だ。

地面に落ちた後、一目散にこちらへ向かってくる様は、一見して夜の海で見る黒い波の様だった。

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