アンドレア・エルフローレン
カイルと別れた後、食堂に来てはみたものの…色々な事が頭を過ぎり、罪悪感を…いや罪悪感というモノでは言い表せない、罪人の様な…自責の念が重く背に圧し掛かる。
俺に比べれば、訓練の時間を憂う、仲間達の顔色はまだマシかも知れなかった。
時折、幾人かの隊員に「大丈夫か」と声を掛けられたが、軽く大丈夫だと答える事も出来ず「あぁ」と返すので精一杯だった。
そして、俺の側から人が離れると「皆が責めるような目で見ている」という錯覚、妄想が襲ってくる。
「しゅん…藤田…よくある名前じゃないか…それなのに、何なんだ…この懐かしいような…それでいて…襲ってくるこの…罪悪感…俺は…何をした…?」
食事の載ったトレーを横にずらし、頭を抱える。
考えろ…何をしたのか。
『何をしただろうな』
耳元に声が聞こえる。
『お前は、何をしてきたんだろうな』
顔を上げ周りを見るが、俺に話しかけている者などいない。
さっきからずっと、疲労や空腹を訴えるもの、食事にがつつく者、訓練に嘆く者…と口々に皆、各々が側にいるものと話している。
『自分のしてきた事から目を逸らすな』
この声は…頭の奥から響いている。
耳を塞いだが、声は続く。
『耳を塞いでも無駄だ。分かっているはずだ』
吐き気が酷くなる…俺はトレーを持ち、返却口に置くとそのまま食堂を出た。
『まだ常識人に見られたいか?』
声は徐々に大きくなっていく様だ。
俺は隊員達の横を足早にすり抜け、自室か…トイレ、どこでもいい、1人になれる所を頭に浮かべ、探す。
「おい、気を付けろ」
『お前の行いを見ろ』
誰かにぶつかる。
「すまない」
謝るが、俺は相手の顔を見る事はない。
「おい、大丈夫か?」
『口先だけの謝罪、悪いのはお前なのにな』
声を掛けられるが、無視をして歩く。
『シムが勘違いしてくれて良かったよな』
『戦闘中のおもらしはよくあるからな』
消えない声は、薄ら笑いを含め始めた。
『それともバレてたのかもな』
『シムも興奮するコトがあったかもな』
止めろ。
『シムも仲間だ』
『イカレタ野郎だ』
止めるんだ。
『変態野郎』
『人を殺して興奮するなんざ、人間じゃねぇ』
止めろ!聞きたくない!
低く重く断罪する声に攻め立てられ、俺は気が狂いそうだった。
『どれだけ隊員を助けてもお前は人殺しの極悪人だ』
『あははははははははははははは!!!』
笑い声が頭にこだまする。頭が割れそうだ。
『お前は常識なんてない』
笑いは消え失せ、静かになる。
俺は人目を憚らず、しゃがみ込んだ。
『偽善者め』
「うるさい!黙れ!」
思わず声を荒げた瞬間。
ジリリリリリ!!
警報の音が鳴り響いた。そして、館内放送が流れる…。
「第二基地近郊にて攻撃対象確認!速やかに総員出撃準備せよ!」
周りにいる隊員達が騒めく。
「繰り返す!第二基地近郊にて攻撃対象確認!速やかに総員出撃準備せよ!」
…第二基地…ここの近くに…あいつらが…




