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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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73/200

A班 救助用機体5021 カイル隊員5

彼はアンドレアのフルネームを、何故か知っていた。


「アンドレアを知っているのか?」


滝中君に聞いた直後、激しい音が鳴り響いた。

俺達のすぐ横を、化け物の死体が飛んできたのだ。

ゆっくり話している場合ではなかった。

それでなくても、準備に時間を割いた。

とにかく今はドックへ急がねば…。


「話は後だ、ともかく急ごう!舌を噛まない様にな!」


俺は彼を抱え、走った。

化け物達の足は、一つ一つが建物を支える柱の様に太い。

しかも、毛のような何かが斜めに生えている部分もあって…俺の嫌いな多足類の…クモ系を想像させる。

こいつ自身は蜘蛛ではない、が幼体がまさにソレに見えて苦手だった。

大きさはこいつ程ではないが、幼体でもかなり大きく、人間の2人分の横幅に…足が多数生えている…戦闘機に乗っている間はいざ知らず、生身対(なまみたい)…となると…。

出て来ない事を祈るばかりだ。


上下するそいつの足を、潜り抜ける。

大きさの所為か、そんなに速く無かったのが幸いした。

俺が注意すべきは化け物自体と、足元に散らばる瓦礫や飛んでくる瓦礫、そして化け物が耕した訓練場の泥化した土。

銃弾は大半が化け物に当り、地面には到達していない様だった。

出来る限り物陰を選び、木や大きめの瓦礫に身を寄せて、化け物から隠れ逃げる。

ドックへ続くアスファルト道の部分を通りたかったが、化け物はこっちの考えなど関係なく動くき、アスファルトが砕け、散乱している部分も多い。

丁度、アスファルトが土にめり込み、斜めになっている所を見つけた。

化け物達はでかい図体で、足元を動く俺達に気付いていない。周りには幼体もいない。

俺はその陰に隠れた。

こんな状況で安全とは言い切れないが、抱えている彼の様子も確認したかった。


「滝中君、大丈夫か」

「はい…」


腕の力もまだ抜けていない様だった。


「今で約半分って所だ、気をしっかり持っていてくれ」


少し息は上がっているが、行けるはずだと思い周辺を見渡す。

俺はアスファルトの影から出て、走った。

が、動けなくなった。走れない。何かに足が取られている。

見ると、粘体質な透明に近い液体…化け物の体液だった。


「手を放して俺から離れろ!」


否、離れた所で足元は同じ…。しかし…!

息を吸い、吐く。落ち着いて…言わねば。


「首から手を放して、俺を踏んで逃げろ…」

「でも、カイルさんは!?」

「動けない」

「え…」

「手を離したら後ろに倒れるから、君はサスペンダーを抜けて、俺の上を通って体液に気を付けながら行くんだ」

「そんな…」

「ここに居ては危険だ。分かるね?」


彼は首を横に振る。


「…手を離すんだ」


彼は身じろぐ。

彼の手を無理やり剥がそうとしたその時、息が出来なくなった。

降って来た化け物の体液に、包まれていた。


俺は彼の腕を掴み剥がそうとする。が、粘体の中、力が入らない。

彼の髪が体液の中で揺れるのが見える。

このままでは…2人とも…死ぬ。

息が出来ず、体内に流れ込んでくるのが分かる。

も掻くが、苦しさで力が抜けていく…。


「mission 失敗」


何?


「mission 失敗…Continueしますか?」


何が起こった??


「Continueしますか?」


Continue…だと?


「Continueしますか?」


械的な女性の声が聞こえる。

戦闘開始時と終了時に聞くあの…。


「Continueしますか?」


答えは…YESだ。


「…select...A...2-3…start」


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