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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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A班 救助用機体5021 カイル隊員3

俺の差し出した手を取り、滝中君は立とうとしたが、やはり力が入らないのだろう、座り込んだままだだった。

良い手はないかと、周りを見たが側に有るのは瓦礫と二つの遺体。


「待っていてくれ」


彼に声を掛け、遺体の元へ行く。

エリオットが何かしら持っていないだろうかと、見やる。

自分の状況が飲めないまま死んだのだろう、焦りや苦痛の浮かんではいなかったが、彼らしい陽気さも一切ない顔だった。

俺は、彼の所持を確かめる前に、手を合わせた。

仏像を拝む僧侶がする、掌と掌を合わせた仕草。

これは藤田に教わった。


俺達は仲が良かった。

藤田は弟思いで優しく、仲間達にも慕われていた。

所属部隊が違ってからも、メールや施設内でよく会って話していた。

初めて彼と食事した時に、その仕草は一体何の意味があるのか、不思議に思う俺に「諸説あるが」と教えてくれた。


「諸説あるがな、俺が思うに『ありがとう』だな」

「ありがとう…」

「あぁ、食事に並ぶ魚や肉、野菜にすら命はある。それを頂いて俺達は生きている。命に感謝だ」

「でも、日本人は仏像や先祖にも掌を合わせないか?」

「あぁ、それもまた『ありがとう』だな、でも複雑になっていく…守ってくれてありがとうだったり、命を紡いで来てくれてありがとう。まっ霊に成仏を願ったり、何かを頼む時にも許しを請う時にもするが、それもこれも…何もかもが『自身の糧』と()()()()()()()()んだ。感謝しかない。『自身へと繋がる糧』や『自分が愛する者の糧」にもなる」


宗教も神に祈った事さえもない、言及するには到底説明し得ない環境で育った俺には、なかなか難しかったが「外国でも『十字』を切るし、手を組む宗教も手を合わせる宗教もある」と大まかに説明してくれた。

そして、多くの人達がそういったモノを多かれ少なかれ、心の支えにしていると。


「何かしらの宗教に入っていなくても、心の奥底に染みついているんだよ」


と笑う彼を思い出す。

俺は、そう言うモノなのかと、見よう見真似でやり始めたが…。

まさに今、痛感している。


「エリオット、助けられなくてすまない。許してくれ」


サスペンダーや腰バッグ、色々な所を探り使えそうな物を貰い受ける。

胸ポケットに入っていた、ドッグタグの一つと家族の写真が挟まった隊員証を回収し、エリオットの()()()()、再度手を合わせた。


「エリオット、俺達を…どうか、守ってくれ…」

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