本庄 凛(ほんじょう りん)2-5
「next stage…mission-sideAorB…」
械的な女性の声が聞こえた…。
「…select...A...2-3…start」
ドンドンドンッ!
激しくドアが叩かれ、鍵が開いた。
こんなにドアを叩く人が居なかったので凄くびっくりして、誰だろうと少しビクビクしながら、ドアに近付く。
入ってきたのはカイルさんと祥子さんだった。
そして…「こちらにマックレーン隊員が来てませんか」とカイルさんが…。
「こちらにマックレーン隊員が来てませんか!?」
酷く慌てたカイルさんが、祥子さんに少し止められている。
「いいえ、来られてません」
答えながら、不可思議に思う。このやり取りをした…はず。
カイルさんはそうですか、と息を吐くと少し落ち着きを取り戻している様だった。
「この前から探されてますよね、マックレーン隊員でしたっけ?その方どうかされたのですか?」
聞くと、ゆっくり話している場合ではないと去ろうと…される。
「あ、待って!」
「いえ、待てません。すみませんが隊員をドアの外に2人警護に立たせます。江島さんも中で彼女の警護を頼みます。…すぐに隊長が来られますので、他の隊員が来ても開けてはなりません。良いですね!」
返事を待たずに祥子さんを押しやり、出て行った。
いつもより激しく鍵が掛かる音がした。
私は数時間前、カイルさんがマックレーン隊員を探している時に、戻った事に気が付いた。
機械的な女性の声が繰り返した「mission 失敗」の言葉。
「Continueしますか?」に「はい」と答えた…。答えたから…?
「どうしたんですか、何か…あったんですか?」
口が勝手に話し始めた。
「それが…貴方に言って良いのか…」
「教えてください」
さっきと同じく、祥子さんが困った顔をする。
「こちらの不祥事だから…言いにくいのだけど…」
言葉を濁す彼女をじっとみながら、混乱する。
私は「私をマックレーン隊員が探している事を知っている」なのに。
「本庄隊長の部下の…、隊員の1人が…その…武器倉庫から銃を奪って逃走してるみたいなの」
「脱走って事ですか?」
「うーん、それだけならまだ良かったんだけど。…逆恨みしてる様な事を言ってたらしくて」
「逆恨み?」
「ええ、襲われた武器庫警備の隊員曰く、自分の家族は見殺しにされた。とか、自分の子は助けるのか…って」
「自分の子…もしかして…」
「そう、貴方の事だと思うの。だから私が呼ばれて、カイル隊員が探し回ってる…ずっとここから出られてない貴方に言うのも…だけど、大人しく部屋に居て頂戴ね」
私の考えや思いを置き去りに、会話が進む。
違う事を言おうとしても、止まらない。
流れる様に…同じ言葉を…同じ表情を…する。
そして、祥子さんは紅茶を淹れに行くのだ…さっきと同じ様に。




