本庄 凛(ほんじょう りん)2-4
しばらくして、父が部屋に来た。が、すぐさま祥子さんと共に出ていく。
ドアの前にはまだ2人の隊員が立っていた。
それから何時間か経った頃、また戻ってきた。
そして、私を見るなり抱きしめてきたが、すぐに部屋を移動するという。
荷物は自分の物はないからと、身一つで。
「セキュリティのもう少し高い所へ移動するよ。急いで」
私の手を引きながら足早に歩く。
屋上に出た。
私と父は離陸準備の進んだヘリに乗り込んだ。
「待って!お父さん!怜や誠也は??」
「今は彼らの事は何もできない」
「そんな!隊員の人が私を狙ってるから?お父さんに助けてって言ったから?」
「違うんだ!それはさっきマックレーンを射殺して終わった!」
「えっ…?」
射殺?隊員の人を?
びっくりして固まる私の、シートベルトを締めながら父は話を続ける。
「マックレーンは柳が射殺した。…生徒達を殺そうとしたからだ」
「そんな…でも殺さなくったって…」
「犠牲者が1人出たんだよ…、例え隊員でも人を殺しては…」
身体から血の気が引いた。
「大丈夫、怜君や誠也君ではない」
「じゃあ、誰?」
「…女生徒だったらしい。詳しい事は分からない。」
手の先が冷たくなる。
「今から我々は第一基地に向かう。怜君や誠也君の事は分かり次第無事かどうかは教えるから、今は大人しく座っててくれ!!」
父に怒鳴られて初めて、自分がシートベルトを外し、外へ出ようとしている事に気付いた。
「お願いだ!凛!座って大人しく!」
父の手を振り解こうと暴れるが、さすがに力が強すぎて無理だった。
目の前でヘリの扉が閉められた。
「出発しろ!」
父の声で離陸が始まる。
「お父さん!放して!」
「いう言事を聞いてくれ凛!2人は大丈夫だから!」
「じゃあ、何故ここから離れるの!?2人を連れて行けばいいじゃない!」
窓から見える下に、このヘリが飛び立つと同時に数機のヘリや戦闘機が離陸するのが見えた。
いっぱいの戦闘機が、このヘリを含めた数機のヘリを囲み飛ぶ。
遅れて訓練所に併設された建物から、何機もの戦闘機が飛び出てくる。
それもこちらに向かうのかと思えば…怜や誠也のいる建物の方へ向かう。
高度が高くなるにつれて、第二基地の取り巻く全貌が見えた。
怜や誠也のいる建物の向こう側…そのもっと遠くから、黒い塊が群れを成して向かって来ていた。
「さっき…分かったんだ」
力ない父の声が、上から降り注ぐ。
「怜や…誠也は…どうなるの?」
「…」
「隊員の人達は?」
「…撃退に備え、出撃している」
「祥子さんは?部下でしょ?出撃に行くの?」
「江島君は…持ち場に戻っている」
「死ぬ…の??…死ぬかも…知れないの?」
目に涙が浮かんできた。
ドゴオオン!!
けたたましい音と爆風を伴って、さっきまでいた基地が爆発、炎上したのが見えた。
「いやあ!」
私はヘリの窓に手を付けて叫んでいた。
後ろから父に羽交い絞めにされているのも、分かっていた。
振り解けない事も、振り解いた所でもう降りられない事も分かっているのに。
泣き叫んでいた。
「お父さん!!怜は!?誠也は!?」
「凛!大丈夫だ!!大丈夫だから!」
必死に私を抱きしめて、慰める父の声と被って機械的な女性の声がする。
「mission 失敗」
何?
「mission 失敗…Continueしますか?」
流れ出る涙を拭わず、丸まっている私にまだ聞こえてくる。
「Continueしますか?」
…はい。




