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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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本庄 凛(ほんじょう りん)5

今日は朝から雨で、訓練はなかった。

この雨を2人も見ているんだろうか…なんて、窓際に寄せて置いた机に身を乗せ、椅子の高さに満たない自分の足をブラブラさせながら考える。

誠也は先輩達と…怜は篠本さんと…仲良くしているんだろうか…なんていうのも…。

もめ事を嫌う2人だから、障りのない行動をするんだろうな…なんて。


岡君のその後を、父や祥子さんから聞き出したかったけれど「帰った」事にされているから、到底無理だと思えた。父の様子からして、何だか嫌な予感がするけれど、祥子さんは本当に何も知らない様で、変わらずいつも通りに部屋へ来て、身の回りの物を補充したり回収したりして去る。

出来れば洗濯は自分でしたいのだけど、この部屋に洗濯機は置けないからと強制的に回収される。

服はもちろん下着も。

恥ずかしがる私に「大丈夫、どうせ誰も人の洗濯物なんてマジマジ見ないわよ」と言い捨てて行った。

他の子達の洗濯物も一か所に集めてるらしいので、それはそうなんだけれど…。

お母さんに洗われるのも、そこそこ恥ずかしく思う歳になってきたんですよ…。

と言った所で聞かれず、羞恥心が納得しては貰えなかった。


やる事が無いからと読み始めた、手元にある本にもイマイチ集中出来ていない。

ため息をついて本を机に置き身を起こした。

机には本とペンが数本差してあるペン立てと、メモ用紙が置かれていた。

後、祥子さんが淹れてくれた紅茶。


前回の死んだ事を知っているのに、今の凛としても記憶がある事、でも自分が誰であったのか、どこに居たのかも分からない。

覚えている事が一つでもあるかと、書き出そうとしてみたけれど、日に日に記憶は薄れていく様で、何一つとして思い出せなくなっていた。

深く考えようとすると頭痛や吐き気がする。それも、身動きが出来ず冷や汗を流すくらいに。

一度あまりにも酷い状態になって、たまたま居た父や祥子さんを心配させてしまった。

お医者さんからも精神的ストレスからだと診断され、不調は「学校での出来事の所為」という所に落ち着いた。

多分、私が思い出そうとする事が…体に拒否反応が出るくらいの事なんだと思う。

自分の死ぬ前の自分。生きた場所。もちろん親は居ただろうし…友達は居たのだろうか。

でも、どうしても感覚的には「希薄」に感じる。

自分の「設定」の様な、誰かが決めてきた内容を「実体験と言う経験」をしないまま…ゲームのシナリオをただ流し読みしただけの…。

それでも…。


「自分が死んだ時ってどんな感じなんだろう」

「何、不穏な事言ってるんですか」


祥子さんが怪訝そうな顔を向けた。聞こえてしまったらしい。


「すみません…」


隊員達が命を懸けているこの状況、この世界で、不謹慎ではあったなと思う。


「あなた達くらいの歳では、死について考えることはあまりないでしょう。危機感を感じなくても良い歳ですから。それでも今の状況は、何が有っても不思議ではないのですから…危ない事をしようとは思わないでください」

何か、彼女の中で誤解が生じた気がしたけれど、ここは素直に頷いた。

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