表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/200

本庄 凛(ほんじょう りん)2

今の私は「()()()()」の過去も覚えているのに、自分が…「自分」が死んだ事を思い出していた。

何度も何度も死んで来た。

身体は…違うけれど死んでは生き返り、そして死んで来た。

前の自分が誰だとか、詳細は覚えていないけど…死んだの。


涙が自然に出てきた。

何故、こんな事を繰り返すのか、分からない…。

今朝の夢も、実際はこれまでの人生なのかもしれないけれど、目覚めた瞬間薄れていった。

どうしようもないまま、しゃがみ込む。

戸惑ない涙は、口に入り…しょっぱかった。


ひとしきり泣き、少しすっきりした後、もう一度顔を洗う。

少し目が赤くなってしまったけれど、仕方ない。これ以上時間はかけられない。

父が心配してしまう。

顔を拭いた後、パジャマから洋服へ着替え、洗面台のブラシで髪を解く。

髪ゴムがないので、下ろしたままにする。

髪の毛を下ろしたまま父に会うのは何年ぶりだろうか。


ドアに手をかけ開ける。

全身にぞわっとした恐怖が襲い掛かってきた。

身体がビクつく感覚で、足が止まったが…大丈夫。気を取り直して隣の部屋に移動する。

この恐怖もどうせ、いつかの私が死んだ時のだ。


隣の部屋に行くと、食事は終わっている様だったが、父はテーブルに着いていた。

何も言わず、その前の席に腰を掛けた。


「食べながらで良いから、話を聞いてくれ」


無言で頷いた。


「まずは、小学校の卒業式と中学校の入学式、行けなくて悪かった。お母さんから写真を送ってもらって見たよ」


父は何とか会話の糸口を見つけようとしている様だった。


「長い間…会いに行けなくて…すまなかった」


父と目が合う。

私は、軽く首を横に振った。


「仕方ないよ。お父さんは…隊長なんだから」

「あぁ…自衛隊から引き抜かれた時は、こんな世界になるとは思っていなかったが…」


父が暗い顔をする。

何だか私の方が申し訳なくなってくる。

こんな態度、まるで不貞腐れた子供じゃない。


「お父さん。…助けに来てくれて、ありがとう」

「あ…あぁ。お前が無事で本当に良かったよ…」


眉も目じりも下がり切った笑顔で、こちらを見る。

本当に優しい…お父さん。


「それで、他にも話があるんでしょう?」

「いや…逆に凛が聞きたい事があるんじゃないか?」


そう言えば、怜や誠也はどうなったのだろう。

学校の皆は?


「そう…ね、学校の皆は?」

「この基地内の違う館に居てもらっている。処遇を決めかねていてね。多分、誓約書を書いて貰ってから保護者へ引き渡す事になりそうだが…」

「どうしたの?」


父が悩んだ顔をした。


「誠也君と怜君の保護者に連絡が取れなくてね…。どうしたものかと…」

「本館には呼べないの?」

「どうだろう。部屋は空いているはずだが…2人の身内が居れば引き受けられるが…」

「そう。でも全部上の判断になるのよね?」

「あぁ…」


沈黙が怖くて、私は急いで言葉を紡ぐ。


「お父さんは?この後…」

「この後、司令官の所へ行くよ」

「じゃあ、その時進言してもらえない?2人を保護者が居ない場合本館へって…」

「ああ。そうだな。言ってみるよ。でも凛はまだここから出ちゃだめだよ」

「分かった」


私の返事を聞いて、父が静かに頷いた。

そして、私が食べ終わった後、出ていった。


「いってらっしゃい…お父さん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ