表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/200

本庄 凛(ほんじょう りん)

「next stage…mission-sideAorB…」


械的な女性の声が聞こえた…。

頭の中に「ファンファーレ」が同時に鳴る…。


「…select...A...start」


ファンファーレの余韻がしつこく頭の中に響いていた…。


「うるさい…」


口から呟きが出る…。

夢なのか現実なのか、分からない映像が私の中に流れている。


「あぁ…もう…嫌…」


うんざりしながら、目を開けた。

白いカーテンがひらひらと風に揺れている。

窓からは朝日が入り、凄くいい天気の様だ。

でも、私は布団から出たくなかった。

ふかふかの白い枕を抱え込み、このままもう一度寝ようかと瞼を閉じた。


「凛、もうそろそろ起きなさい」


父の声がした。

布団の上にゆっくりと座る振動を感じながら、返事はしなかった。


「ほら、朝だよ。ベッドから出て、朝食を一緒に食べよう。お前の好きな林檎もデザートについてるよ」


…お父さん、私が林檎を好きだったのは、貴方を「パパ」と呼んでいた頃よ。


「はぁ…、先に食べているから、起きれたら来なさい…」


ため息をついた父はベッドから立ち上がり、隣の部屋へ行ったようだ。

ドアが開閉された音を確かめてから、ゆっくりと布団から顔を出した。

救助要請に答えてくれた事は感謝している。けど、それでも長年会っていない間に開いた溝は、それでは埋まらない。

どんな会話をすればいいか分からないのよ…。


会わなくても愛してくれているのは、知っている。

メールも毎日の様に来てたし、誕生日には必ず私の欲しい物がプレゼントされていた。

小学校の入学式にも忙しい中来てくれたけど、卒業式と中学の入学式には来てもらえなかった。

世界がこんな風になってしまったから余計に。

日本の…いいえ、世界の為だって事も理解している。でも、やっぱり7年は長い。


「どうして、お父さんはこの組織に入ったんだろう」


疑問は持っていた。小さい頃は父は自衛隊にいて、日本を守っていると母に聞いていたのに。

アレが出現し始めた頃に、自衛隊から移動したみたいだった。

この組織の上はやはり国なんだろうか。


ベッドから降りて、窓の外を見に行く。下に訓練場が見えた。

一昨日、学校から助けられた後、私はこの第二基地の本館にある一室をあてがわれた。

多分、他の皆よりいい待遇を受けているんだとも思う。


「お父さんがいるから…ね」


あの日、私をこの部屋に送った後、仕事に戻ると告げ去った。そして今、戻ってきたらしい。

昨日は部下と名乗る女性が、身の回りの物を揃えて持って来てくれた。

暇にならない様に、パズルや本も。

その時に、施設の説明もしてくれた。


外からは訓練している隊員達の声が聞こえる。

あの中にも救助に来てくれた隊員もいるんだろうなと、眺めていた。


「凛…、起きたならこちらへおいで…朝食を取りながら…話をしよう」


父が隣の部屋のドアを開けて、声を掛けてきた。


「その前に顔を洗うわ。お父さん…」


ぎこちなく微笑んでドアを閉め、戻る背中を見送る。

父もどう接すればいいのか、少し戸惑っている様だ。


洗面台に行く足が、きちんと自分の意志で動いているのが分かる。

冷たい水の心地よさも、柔らかいタオルの感触も。


「私…生きてるのね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ