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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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55/200

???

いつもの様に煙草を吹かしていた。

薄暗い部屋を嫌う隊員もいるが、俺は落ち着いて良いと思っている。

それに、明るい所を求めるなら食堂や休憩室もあるし、何ならドックの近くの喫煙室なら部屋は煌々と照らされ、技術者も多数来るから話し相手に事欠かない。

色々な場所で色々な利点がある様に、自室は身を落ち着かせ自分一人で考えるにはいい場所だった。


戦闘は昼夜行われ、頻度も多くなってきた、相手方もこちらを侵略できると踏み始めたのだろうか。

俺はそう考えながら、ぼーっと上を向く。

精神的に酷く疲れていた。否、肉体も心底疲れてはいた。が、肉体よりも精神の方の疲労が凄まじく、身体を重くもさせているのだ。

度重なる戦闘は、アレの死体だけでなく、人間の…守るべき一般市民や同僚、仲間たちの死体をも見ることになる。


この前も戦闘中の負傷で、第三部隊の奴らが半分近く医療室に運ばれていた。

重傷者が多く、シムが入った頃にはあいつしかいなかったベッドが、呻く隊員達で埋まっていた。

腹が食い散らかされて破けている者、辛うじて生きているだけの…息をしているだけの者、中には顔すら判別がつかず身内を探すのにも苦労しそうな…そんな者達で溢れかえった。

シムには悪いが腕が無くなっただけのあいつが、幸運だった気がする程に酷い有様だ。


人もどんどん減り、どこからか代わりが来る。しかし、顔を覚えるより先に消えていく。

あの恐ろしくもグロテスクな光景が、忘れる速度を上回り脳に蓄積される。

規律を犯した者の処罰も、日に日に過激さを増すように感じる。

皆病み始めているのだ。

終わりの見えないこの戦い。いつまで続けるんだ…神は。

口から吐き出された煙が、天井に吸い込まれるように消えていく。


昨日、カイルから聞いた、ニックという隊員の不祥事と処罰の経緯が、頭に過ぎる。

誰か何とかできなかったものかと思うが、隊長でも他の部隊の事に首を突っ込むことは出来ない。

俺達末端の者なんて言わずもがな。…だ。

同じ部隊のマックレーンと仲が良いとも聞いて、少し心配になった。

あいつは自分の『家族を組織に殺されたも同然』と思い始めていたし、何か…少しの切っ掛けで壊れるような危うさを最近感じていた。


「これが…切っ掛けにならなければ良いが…」


独り言を白い煙と共に吐く。

そう言えば今朝、カイルがマックレーンを探していた気がするが、何かあったんだろうか。

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