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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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54/200

橘 誠也(たちばな せいや)4-5

死の描写があります。

苦手な方はご注意ください。

…でも、いつかは終わりを告げる。

俺はまた…死ぬ。

生き続けると思ったか?この生が続くとでも?

そんな訳は無かった。

さすが、親友ポジションだ。なんて今更思うなんてな。

何で忘れていたんだろう。何度も死んでいるのに。

思い起こせば、自覚したのはもう半年前じゃないか。

なのに何で忘れて、希望を抱いて…意気揚々と怜と共に生きれるなんて…。

思ったんだろう…呆れてしまう。


崩れた建物の中で、俺は上半身を起こしながら、そう考えていた。

生きる為にご飯を食べ、未来に思いを馳せた。

何が起こったかなんて理解したくなくても分かる。

この基地の…俺達が居る建物が襲撃されたんだ。

あの化け物に。

黒い影のような塊が、ここを襲った。

壁が破壊され、土砂降りの雨の中、俺は下半身を瓦礫の中に埋もれさせている。

目の先には俺が突き飛ばした怜が、気絶しているのか動きもせず倒れているが、息はしていた。


ガラガラッ…


音がした方を見ると、カイルさんが起き上がってきた。


「滝中君!橘君!どこだ!返事をしてくれ!」


カイルさんから見えないらしい。

そりゃそうか。俺と彼の間には崩れた壁が有って、カイルさんが立ち上がっているから、見えるだけだもんな。

俺は声を出そうにも、出せなかった。

肺に違和感がある。息を吸う事も痛過ぎてできない。


ゴフッゴゥエ!


変な音を立てながら、口から液体が出て来る。血だった。

息を吸う…痛みを堪えながら。それでも肺が膨らんでいる感じがしない。

代わりに喉がヒュウヒュウと音が鳴る。

刺された様な鋭い痛みの感覚が、わき腹に有った。

あぁ、骨だ。骨が出てる…。俺のわき腹から…肉を突き破って。


ガラガラガラ…


溜まった雨が、二階部分を一緒に落とす。


ドシャッ!


俺の目の前に、大量の水と共に上から流れ落ちてきたのは…あの陽気な隊員だった。

あの後、二階に行ってたんだなと…痛みの間で思う。

彼の首は上に向き、俺と目が合っているのにも関わらず、体は首で直角に曲がり、ねじられた形で前の怜に向き合っていた。

どんな首の角度だよ…器用にも程がある…。

彼を眺めている間も、痛みは途絶えることなく続く。


ゴフッゴフッゴオオウェ…ビチャビチャビチャ…


吐き散らかした俺の前は、自分の血なのか隊員の血なのか交じって分からない。

雨の所為でより広がっていく…目の前は真っ赤だ。

そうか、今日だったんだ。

この人が死ぬのも、俺が死ぬのも。


遠くでカイルさんが叫んでいるのも、もう何を叫んでいるかも分からない。

最期に…怜が目を開けてくれないかと、願った。

凛に俺はもう会えない。

カイルさん…怜はそこです。貴方の目の前の…瓦礫の影に…倒れています。

お願いです…助けてください。怜を…そいつは…。


願いが通じたのか、カイルさんがこちらに気付いたのが見えた。

俺は…もう…呼吸が出来ず朦朧として倒れた。

床に溜まっている細かい砂利を含む血が混じった水が、俺の口に流れ込むが、もう拒否反応としての嗚咽や咳は出ず、流れるまま入ってくる。そしてより濃い赤い水として出る。

時折ゴボッという音がするが…少しずつ少しづつ消えていく。


男性 14歳 肋骨骨折による肺挫傷 死亡


「next stage…mission-sideAorB-…」

械的な女性の声が聞こえた後、頭にあの「ファンファーレ」が鳴り響いた。


「あなたは『キャストの    』へ移行しました。」


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