表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/200

橘 誠也(たちばな せいや)3-3

酸っぱいモノが、込み上げてくる。


冷蔵庫を開け、出来るだけ甘い飲み物を探し、一気に流し込んだ。

落ち着いてくると、あの職員室はやはり自分にとって「トラウマ」になっている事を痛感した。


もう出来れば二度と見たくない。

そう願う。


コンコンコン


軽くノックの音がした。

カイルさんだった。

まだ、俺達は帰る事が出来ないからと、朝食を持って来てくれた。

そこで、時計を渡された。

朝昼晩のご飯の時間を教えられ、その時には部屋にいる様に指示された。

「後は建物内なら部屋から出ても構わない」と。

しかし、エントランスの椅子くらいしか無いと申し訳無さそうに笑った。

お互いの部屋の行き来も許されているらしいが、凛の所在は聞いても教えてくれなかった。


ここに来て1週間くらいが経った。

怜とはシャワー室の前で何度か会ったし、たまに部屋を行き来したが、篠本がついて来そうな時は遠慮させていただいた。

先輩達の部屋も分かり、何事も無く時間は過ぎて行ったが…。

不安や不満も溜まり始める。

いつまでここにいるのか。と。

娯楽も元々そんなに無かったけど、ここに来てゲームも無いし、スポーツも出来ない。

出来る事と言えばお互いの部屋の行き来と、要望を出せば持って来て貰える本くらい。

たまに廊下で篠本が怜を呼ぶ声が聞こえてくるのも、イライラした。

陽気な隊員の人が常駐している人だとも知ったが、その人からも1日1回来るカイルさんからも、何も情報が貰えない。


「なぁ…長くね?…このままいつ帰れんのかな」


怜とエントランスの椅子にダレた姿勢で座り、雨の降る外を眺めながらぼやいた。

エントランスには先輩達も来ていた。

先輩達が近くに居ると何故か篠本が来ないから、俺はゆったりとしていた。


「あ、私達明日帰れるって聞いたよ」


先輩の1人が言う。


「てか、岡君帰ったんじゃ無かったっけ?」


もう1人の先輩の言葉に、怜と顔を見合わせた。


「昨日の朝かな、岡君が…誰だっけ、何か上の人に連れられて出たったの見たよ?」

「で、カイルさんが明日迎えに来ますからって私達に言いに来たから、岡君そこから見てないし、私達より早く帰れたんだって話してたの」

「めっちゃびっくりしたよね、だって岡君隊員さん撃ったじゃん、なのに…ってねぇ」


口々に話す先輩達を置いて、怜をちらっと横目で見た。同じ事を考えたのかも知れない。

が、それを彼女達の前では言えない気がした。


彼女達の声を聞きながら、黙って居ると銃声の様な乾いた破裂音が聞こえた。

俺達の部屋の方からだった。


「何!?何!!」


先輩達は抱き合って固まった。


「今の…銃声…?」

「またぁ!?」

「えーもうやだぁ…」


口々に嘆くが、銃声らしい音が2度続けて鳴った。


「どうしよう…様子見に行く?」


青ざめながら1人が言う。


「俺が行くから…怜と先輩達はここに…」


立ち上がり、部屋が並ぶ廊下へ向かうと…1人の隊員が部屋の前に立っていた。

俺の隣の部屋…篠本の部屋の前だ。


足元に…誰か倒れていた。

白い手がドアから出ている。

俺が立ち尽くしていると、ゆっくりとその隊員はこっちを向いた。

知らない奴だった。


「エリア24で救助要請した奴を…放送した奴を知らないか…?」


手には銃を持ち、返り血を浴びたそいつは…。

凛と俺を探していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ