橘 誠也(たちばな せいや)8
瓦礫の山をズリズリと下りた。
途中崩れそうになり慌てて掴んだその先が、先輩達の中の1人の腕だった。
もちろん、女性に俺が支えられる訳は無く、2人で一緒に落ちる…。
コンクリートの粉なのか、埃なのかで咳き込みながら立ち上がると、校庭に続く出口から光が差していた。立ち上る埃と粉がキラキラと綺麗だと不謹慎ながら思う。
巻き込んでしまった先輩に謝りながら、助け起こし、後に続く3人を待つ。
また、衝撃と共に破壊音が響き渡った。
さっきより近いみたいだった。
「急ご…うっ…」
振り向くと…さっきの衝撃で足場の瓦礫の山が一気に崩れ、凄い音と共に辺りに埃とコンクリートの粉が白く舞う。
持ち堪えてくれていた踊り場さえも危うさを増し、今にも落ちそうに嫌な音を立てた。
「大丈夫か…?」
声を掛けたが4人中3人の声しか聞こえない。
「もう1人は?」
俺と3人は粉塵が舞う中、探す。
ぴちゃ…。
何かで靴が濡れた。
嫌な予感が頭を巡り、下を見たくなかった…。
瓦礫の間から水が流れていただけだ…。
しかし、折り重なった瓦礫の大きい破片と壁との間に、倒れて居る「答えなかった1人」を見つけた。
ぴくりとも動かない…気を失っている様だ。
急いで瓦礫から出し、怪我が無いか確かめる。
制服は水と汚れでビチャビチャだったが、怪我は幸いない…外見はだけど…。
背中に担ぎ、誰かが持って来てくれた隣の教室のカーテンを破り、おんぶ紐の様に使う。
なかなかの安定さだった。
「よし、行こう。体育館の入り口はもうそこに見えてる。走ればすぐだし、アレの事は…ちょっと置いておこう…」
僕は3人の顔を見渡した。
不安げながらも、もう「少しで助かる」と言う希望が支えになっている。
出口から顔を出すと、右斜め向いにドアがみえた。
開いてる…と思いたい。
俺は人をおんぶして居るから…走るのはキツそうだなと思うと、3人の内2人が俺の左右についた。
サポートをしてくれるらしい。
そして最後の1人がドアの開閉の確認の為、走って行った。
ここから校庭の方を見たが、体育館の建物で少しの隙間しか見えない。
何も居ない様にも感じるが、いたら…。
背筋がぞくっとした。
まずは体育館に辿り着く事が最優先だ。
後は…誰か…凛の親父さんがどうにかしてくれるだろう。
もうほんの数メートル。
気を抜かず行けば、大丈夫。




