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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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橘 誠也(たちばな せいや)5

廊下の方で放送が入る音がした。


「テステステス…」


どう避難をする様に呼びかけたら良いのか…分からない。廊下からは俺の声が響く。

各教室からも聞こえる様で、内心ホッとした。

これではあいつもどこから鳴ってるのか分からないはずだ。


「えー…あ…」


考えている暇ももう無い。

俺は胃が痛む思いで、呼びかけた。


「体育館へ避難を!何が起きてるか分からないけど、校舎は危ない!これが聞こえたら周りに気を付けて体育館に避難を!」


時折キュイーンと反響する。


「生きてる奴!居たら体育館に!体育館に行け!」


聞こえて、避難して、助かってくれ。

1人でも多くの人間が助かる事を願った。


何度か体育館に避難する様に訴えた後、スイッチを切り放送室から出た。

下にはあいつがいる…。

職員室側の階段は、一階と二階の間の踊り場で崩れ、上の方には空が見えていた。

安全に降りれる場所が無いように思えた。

しかし、下の黒い影絶対に危険な気がする。

職員室側から降りれたら、体育館にも近い。

もしかしたら…少しの希望を持ちたい。

俺は職員室側の階段に向かった。


崩れた階段の手前で、2人の男子と4人の女子に出会った。全員知らない顔だった。

放送が聞こえたらしく、こちら側から体育館に行こうとしたらしい。が、階段が無くなっている為降りれないと、奥の階段へ行こうとしていたらしい。


「あっちはやめた方が良い」


俺は影の事を伝えた。

男2人は俺を馬鹿にし、降りれない階段より降りれる階段の方が良いと、奥に向かって行った。

馬鹿にされたけど、「無事に体育館で会えると良いな」と声をかけ、無事を願った。


女子4人は友達らしく、どうするか迷っている様だった。

俺は階段があったはずの場所を見下ろした。

所々鉄線が出ているが、真っ直ぐ降りれたなら黒い影に見つかる危険を考えれば、安全な気もするし、速い。

どうにか出来ないものかと考えた。


ふと、隣の教室に入る。

窓にはカーテンがぶら下がっている。


「おい、お前らどうする。ここから降りるなら…手伝ってくれ」


女子に声をかけた。

年上かも知れなかったが…敬語だのなんだの言ってられない。

4人も何となく俺がやろうとしてる事が分かったらしい。手分けしてカーテンを剥ぎ取った。


結び目が緩まない様に、片方に3人、もう片方に俺ともう1人の女子の二手に分かれ、お互い目一杯引っ張り合う。

なかなかに硬い結び目が出来た。

そして長い布ロープが作れ、垂れ下がらせると一階の踊り場の高さまで届いた。

周りには瓦礫がある。それが足場になってもくれるだろう…崩れなければ良いんだけど。

そして丁度壁から出ている鉄線2本に、括り付ける。鉄線と言っても直径5センチくらいはある。

ほぼ鉄の棒だ。


強度を増す為に、結んだ上から長く垂れ下がらせる側、結び目付近を鉄線に押し当て突き破り引っ掛けた。引っ張ってみる…いけそうだ。

それでも全員の体重を支える事は無理だろう。

1人ずつ降りていく事にした。

こういうのは最初と最後が怖い。


そして、男である俺が、一番最後だ。


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