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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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27/200

橘 誠也(たちばな せいや)2

死の描写と残酷な描写があります。

苦手な方はご注意ください。

そっと破壊された壁から外を伺い、上を見た。

さっきの黒い物体はなさそうだった。

壁から外へ出て、あいつらが居たはずの場所へ行くと…赤いモノの正体が分かった…。

血…だった。


喉にすっぱいものが込み上げてくる…。

見るんじゃなかった。


そこには2人の人間がぺちゃんこに押しつぶされて死んでいた。

何がどこで、どこが何か分からないくらい交じっていたが…血に染まった制服だけが「身体はここにありました。」と主張していた。

もう一人いたが…下半身しか残っていない。

そして下半身から()()が圧迫によって飛び出していた…。

飛び散った血と変な方向へ曲がっている足…その真ん中から飛び出した…肉。

腸ぽいモノが見えた。


「うぐぇ…」


さっきは堪えたモノが一気に上がってきた。手で押さえるが…抑えきれず出てくる。

喉の奥で逆流した「それ」が鼻の方へ流れ、ツンとした痛みが来た。

涙が流れる…。

痛さでなのか目の前の現状にかは分からない。

もう、押さえていられず止まるまで吐き続けた。

血と吐瀉物が混じっていくのが、余計に気持ち悪くさせる。


俺は顔を背け、袖で口を拭きながら校舎に戻ろうとした。

職員室の前で誰かがしゃがんでいた。

美術教師の渡部だった。


渡部は何かを拾った様で、手の中の物をまじまじと見ている様だ。

声を掛けようかと思ったが、今の自分の顔は汚れているんじゃないかと思い、躊躇した。

顔を洗いたいと水を探したが、廊下にあるはずの水道は吹き飛ばされたのか、瓦礫の下には水は流れているものの、顔を洗えそうにもない。

外の蛇口もあるが…あそこを通りたくははかった。

もう二度と行きたくない。

仕方ないと渡部がいる方へ向いた時、渡部は居なかった。


確か職員室に洗面台があったはずだと、職員室へ向かう。

扉を開けると、そこは悲惨な状況だった。


職員室を何かが勢いよく突き抜けたように、二面の壁にぽっかりと穴が開いていた。

そして…その勢いに巻き込まれ、跳ね飛ばされた様に…残っている壁に人間が張り付いていた。

逆の壁にも張り付いている人間…折りたたまれたような形の人間…。()()()()人間…。


「う”ぐっ…」


さっき吐き切ったのか何も出ず、ただ胃が引き攣って痛いだけだったが、嘔吐(えず)きは続いた。

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