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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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橘 誠也(たちばな せいや)

世界が何かおかしな事になっている。と気付いたのはいつからだろう。

昔の記憶があやふやで、あまり覚えていないのは当たり前なのか、それとも俺がバカなだけか。

親友と呼べる唯一無二の友達。怜にも聞いてみたが、そういうものだと笑われた。

怜が言うには、「人間は物心がつく頃から記憶は残っていくらしい」が、「人間は忘れるもの」でもあるらしい。

怜にも「そういう所」があるんだと聞いた。


学校で喧嘩騒ぎが起こったのは知っていた。

岡と上野はよくくだらない事で、取っ組み合いの喧嘩をする。

今回も2人だろうと思うし、暇人が見に行くだけだろうと窓枠に腰掛けながら外を見ていた。

俺は窓際が好きだ。窓枠に腰掛けるのは危ないと教師に怒られたりもするが、やめられない。


ただ高い所が好きなだけじゃない。

この閉鎖された空間から、解き放たれた様に広がる空間への狭間が好きなんだ。

そして、心地よく吹く風。これを知ってから、日常的に登ってしまう。

下に広がる校庭では部活の準備を始めている奴らがいた。

この学校では、部活動に入るか入らないかは生徒が決めれる。

上下関係というモノが苦手な俺は、無理やりどこかに所属しなければならない学校じゃなくて良かった、と心底思った。


怜は塾に行く日以外は部活動に出ている。サッカー部だ。

なんでそんなに頑張ろうと…頑張るんだろうと思う。世の中がおかしくなっていってるのに。

意味があるんだろうか?そう思うが、怜は「頭ばっかり使っていたら疲れる」という。

そして「体も動かすと気持ちいいんだよ」と笑うが、健康ジジイみたいだと俺は思う。

今日は健康ジジイの運動の日。

もうそろそろ、着替えた怜が校庭に出てくる頃だなと、ずっと眺めていた。

サッカー部の奴らと楽しそうにしている姿は…少し羨ましくもあった。


ドンっ


何か変な音が下の方からした。

少し揺れた気がする…。窓枠を持ちながら、廊下側を向き身構えた…が、何があったかは分からない。

何人かが教室を横切って行った。俺も後をついて行ってみた。

一階まで降りると、職員室に続く廊下の壁が吹き飛んでいた。

俺の前に居た奴らが「えっ、爆発?」と驚いている声が聞こえた。

そして、校門の方へ走った。


「あ、おい、どこへ…」


声を掛けようとした時、目の前でそいつらは消えた。

消えたというか…何かがその上に落ちてきた。

黒い棒状の何かが、そいつらの上から降ってきた。


「な…なんだ…あれ…」


俺は茫然としてが、その棒状のモノは降ってきた時と同じような速度で、また上に昇って行った。

動き去った後の下には…赤い…モノがあった。


「え…」

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― 新着の感想 ―
橘 誠也(たちばな せいや)まで読ませて頂きました。ざっと一読しただけの感想ですが、読者の想像力が試される作品だと思いました。
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