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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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24/200

???3

岡…と言う少年は言われた通り銃を下げた。

小刻みに震えているのが分かる。

この状況だ、銃がどこからの物にせよ、撃ってしまうまでに追い詰められていても仕方ない。

ヘルメットを脱いだカイル隊員が、少年に近付き手を差し伸べた。何も言わなくても分かるだろう。

少年も銃を差し出した。

隊員達の緊張がやや緩んだ。


「この銃は預かっておきます。人数を確認したいので集まって貰えますか?」


生徒達は言われるがまま、カイルの前に整列した。

男子生徒6人、女子生徒9人…大人は居なかった。


「教師の方や…大人の方は…?」


カイルの問いかけに、首を振る者と俯く者に分かれた。

1人も大人が居ないとは…。

カイルの顔に困惑と痛ましさが表れる。

俺はカイルにその場の人数確認や説明を任せ、生死を確認する為、倒れている子に向かった。


息は無かった。

肩と頭から血を流している…おそらく即死しているだろう。誰が撃ったのか、そして銃の出所をハッキリさせる事になるが…。

ちらっとカイルを見た。

カイルもまた俺を見ていた。

…俺は静かに首を振った。頷き返された後、後ろに居た戦闘用機の隊員が布を持ってきた。遺体を包む為だ。

黙々と2人で遺体を包む。

可哀想に、まだ若いのに。

隊員は布に包まれた遺体を担ぎ、自分の機体へと戻って行った。

三機の救助用には乗せられないと判断したのだろう。少しでも気を落ち着けさせる為にも、遺体は他の生徒と分けた方が良い。それに、生きている人間だけで救助機内が一杯になる。


「お前は先に戻れ、後の救助誘導は俺達がする」


そう言って遺体の安置と保護者への連絡を任せ、戦闘用機の扉を閉め、飛び去るのを見送った。

再びカイルの元に戻ると、生徒達は5人ずつに分かれて整列していた。

世界がこんな状況になって、学校での教育が「訓練」として役に立っているのを見ると、複雑な思いがする。


岡少年とさっきの女の子…勝気な感じの女の子とその友人らしき5人を置いて、他の10人を先に救助機へ誘導してもらう。


「君たちも救助対象だが、乗り込むまで少し聞かせて欲しい。この銃は誰の物だ?」


カイルが少し険しい顔をする。


「さっきまで先生が1人居ました。その先生が拾った…と…」


女の子にくっ付かれている男子学生が口を開いた。


「君は?」

「滝中怜です」

「では滝中君、その先生は何処に?」

「上野…撃たれた子です。上野を撃った後、僕らを撃とうとしましたが、誠也が止めてくれて…」


名前を呼ばれた子がおずおずと手を少し上げた。


「君が誠也君?」

「橘誠也です」

「それで?」

「銃をその時落としたんですが…パニックになったのか、とにかく混乱している様で、近くにいた男子生徒を連れて…外へ…」

「外に出たのか…。それは…」


カイルの顔が曇る。

その教師と生徒は生きてはいまい。…と。

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