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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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山田 優一(やまだ ゆういち)5

違和感と共に記憶を思い出した僕は酷く動揺し、鼓動が速くなった。

そして、普通なら止めに来るはずの生徒達の喧嘩に、教師が誰一人として来ない。

それどころか居たはずの教師までどこかへ行った…現状…おかしい。


校庭でも今なら「部活」をしている生徒がいるはずなのに、掛け声やボールの音…野球部のバットが打つ音すら聞こえない。

世界がおかしかった。

おかしく感じた。


階段を降りるのをやめ、踊り場から外を見た。

誰も居ない校庭…いや、2人の影が見える。

手をつないだ男女。男は…知っている同じクラスの滝中怜たきなか れんと…女は篠本麻衣しのもと まいだった。2人は何かから逃げている様だった。

何故か2人を追いかけないと駄目な気がした。


階段を駆け下り、一階を目指す。

僕は二階の踊り場で、僕の先を走るツインテールをした後頭部が見えた。

凛ちゃんだ。


「本庄さん!」


僕は声を上げる。

いつものウジウジした心が無くなったみたいに、ハッキリと大声で呼びかけた。

振り向くツインテール…黒髪の艶が美しい。


「だっ誰?」


立ち止まり反応を返してくれたが、「あっ」と言うような顔をして、口に手を当てた。僕を見て思わず出たんだろう…僕の顔も名前も知らない…と思いたく無い…そう、それだけ慌てていたと思いたい。


「同じクラスの山田…山田優一…です」


思わず敬語で返してしまった。


「あ、ごめんなさい。山田…君…」


俯き加減で申し訳無さそうな様子から、やはり名前すら覚えて無かったんだなと、察する。


「今、上の階から校庭を見たら滝中と篠本さんが何かから逃げる様に走ってたんだけど、何かあった?」


僕は足を止めてくれた凛ちゃんに聞く。

本当は喧嘩が起こっても何故1人も教師が来ないのかも知りたかったが、凛ちゃんが知ってる訳も無いだろうと聞くのを止めた。


「え…山田君は知らないの?今、学校に…」


凛ちゃんが口を開いた時、遠くから衝撃音が聞こえた。


「こんな時にのんびり話せないわ…逃げよう!山田君!多分他の人達も体育館に逃げてるはず」


そう言うと走り出した。

僕も一緒に走る。…何か思い出す気がした。

こんな事が前にもあった様な…既視感デジャブ

しかし、体育館へ行くには、ここからも校庭を横切らなければならない。

あの2人を追いかけていたモノは、校庭からなら分かるのだろうか。安全なのか…いや、今の様子だと安全では無さそうだった。

先を急ぐ僕らの耳には、どこからか鳴り響く音が絶え間なく聞こえてくる。

なのに、他の生徒の声は聞こえなかった。


校庭に出た時、自分がいた校舎の反対側…職員室があった辺りが崩れていた。そして、そこから通路を介して、向かい合う形で建ててある体育館。

僕らはあそこに行くの?無理だ。

何かあったのは職員室付近。

体育館も無事じゃ済まなくなりそうじゃないか。


「本庄さん!体育館も危なくない!?」

「大丈夫、体育館は大丈夫!」


何を確信しているのかは分からなかったが、足を止める事無くどんどんと体育館へ近付いていく。

距離が出来てしまう。僕は必死に走って後数メートルで体育館に到着する程近付いた時、僕の周りが暗くなった。

凛ちゃんはドアまで辿り着いていたが…僕を振り返って叫んだ。


「危ない!!」

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