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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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本庄 凛(ほんじょう りん)8-2

廊下を…迂回して病室に行こうとして…金髪の隊員…ジャンに見つかった。

彼は執拗に私達を追いかけ、自分が連れていた隊員達に当たっても、お構いなく何度も発砲する。

壁に当たる銃弾を見て、小型とは言え殺傷能力がある事を痛感する。

振り返り見た彼は…心底楽しそうだった。


迂回ルートはいくつもの別れ道になっており、建物を一周するような気持ちになる。

やはり手前に出る為の、あの部屋に入るべきだっただろうか。

例え中に…隊員が待ち伏せしたとしても。


「危ない!」


カイルさんが私の頭を抱えて、向かってくる銃弾を避ける。


「カイルさん!!」


私の代わりにカイルさんの腕に銃弾が当たる。

服に血が滲み流れ始めた。


「大丈夫です。走りましょう」


そう言って、廊下を曲がりジャンの視界から逃れようとする。

私を先頭にカイルさんと怜が走る…。

次の角を曲がれば…Uターンして棟の入り口に戻れるのではと…。


が、それは相手にも読まれていた。

棟を一周するより、ジャンを巻き、受付付近まで戻った方が速いと…。


「おいおい、簡単なフェイントに引っかかってんじゃねーよ」


満面の笑みで…さながら「通せんぼ」の様に手を広げ、行く手を阻む。

そしてこちらに銃口を向けた。


パンッ


軽い音がする。

それは私を狙ったモノではなく…カイルさんの肩に当たった。

態勢を崩しながらも、私の前に移動するカイルさんの額に、冷や汗が流れていた。


「よお。忠犬。お前の隊長はもうすぐ死ぬってぇのに…ご苦労だな」

「隊長は死なない。…上官に手出しできないはずだ。それにこの子らにも…」

「そいつらは殺しはしないさ。大切な実験台だからな」

「実験は中止されたはずだ」

「こっちの隊長と副司令官が再開したさ」

「司令官や他の隊長…本庄上官も許しはしない」

「今頃、司令官は降りてるか…許可してるさ」

「何…?」


2人の会話に気を取られている間に、怜が居なくなっている事に気が付いた。

どこに行ったのか、目だけで探す…とジャンの後ろに居た。

いつの間にか銃を持っている。

代わりにカイルさんの腰にあったはずの銃が…無い…。


「動くな」


怜が銃を構えジャンに突き付ける。


「お前…いつの間に」

「この前は裏切ってくれたね」

「元からお前らの仲間じゃねーよ」


減らず口を叩きながらも、ジャンは両手を上げる。


「てか、お前…撃てるのか?」

「ここに来る前にカイルさんから一通り教えてもらったよ」

「撃てるかは…別じゃね?」

「この距離なら外さないと思うよ」


すくっとカイルさんが立ち上がり、2人に近寄るとジャンの手から銃を取り上げた。


「お前に聞きたい事もある…一緒に病室へ来い」


怜が銃を突きつけながら、カイルさんがジャンを後ろ手に拘束する。

病室までの道にうずくまっていた…ジャンの銃に被弾した第二の隊員達も、第一の隊員が拘束していた。


「いつの間に…」

「逃げ回りながら僕だけ単独であの部屋に入って、病室の前の隊員の人達に接触したんだ」

「上手くいって良かったですが…お互い危険な賭けに出ましたね…」


呆れた様な顔でカイルさんがため息を付いた。

聞くと、廊下でジャンを見た時にカイルさんの影に隠れて違う通路に入ったのだと。

私がカイルさんの後ろに怜が居ると思っている時にはもう、いなかったらしい。

ジャンが離れた怜に気付いて、怜の方を追いかける事もあったのに…。


「その時はその時だよ」


怜が軽く笑う。


「でも、気付かれなかったから…凛とカイルさんが引き付けてくれている間に、他の隊員さんに助けを求められたんだ。銃も渡されていたし…」


と銃をカイルさんに返す。


「凛と丸腰のカイルさんを囮にするのは正直…ほんと不安だったよ」

「いつ…そんな…?」

「凛さんの部屋に行く前に。何個かの案を2人で…」


何やら申し訳なさそうな顔をカイルさんがする。


「後は…臨機応変に?」

「えぇ、上手くいって良かったです。ジャンに撃たれたのも腕で良かった」

「そうよ、カイルさん…腕は大丈夫なの…?血が」

「大丈夫ですよ。かすり傷と肩ですし…手も動きますから」


怪我のしていない手の方で…片手でジャンを拘束したまま、怪我した方の手をワキワキと動かす。


「化け物め…うぐっ」


悪態をついたジャンが絞められる。

でも、私も少しジャンの意見に同感な気がした。


「さぁ、隊長の部屋へ行きましょう」


力強い化け物は優しく微笑んだ。

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