本庄 凛(ほんじょう りん)8-1
カイルさんの言葉に私も怜も頷き、父のいる病室まで3人で向かう。
廊下に居る隊員の人達が、柳隊長率いる第二の人なのか、カイルさんと同じ父の…第一の隊員なのか判断が私にはつかないし病室も分からない為、カイルさんに先行してもらう。
真ん中に私、そして怜が続いた。
部屋から出ると、隊員2人に会うが…カイルさんが軽く挨拶しその横を通り抜ける。
エレベーターを使うのは上官達が多く、どこまで私達の情報が通達されているか分からない…その為使わない方が無難だろうと、階段を使う。
階段でバタバタと走る何人かの隊員達とすれ違った。
カイルさんと物の影に隠れやり過ごす。
彼らは…私の部屋の方角へ行った様で、間一髪だったと悟る。
「急ぎましょう」
このままでは…父に会えないかもしれない。
そう、気が逸る…。
長い廊下を歩き、時折遭遇する隊員から身を隠し、病室のある棟まで何とか辿り着いた矢先…カイルさんが足を止めた。
「まずいですね…第二の隊員が居ます」
身を屈めて様子を伺うと、病室の前からちょっとだけ離れた所に歩き回る隊員が見えた。
「あの人達ですか?」
「はい、病室の真ん前に居るのはこちら側の人間ですが…あの歩き回っているのは柳隊長の部隊です。多分ですが…あなた方2人が来る事を予測してこちらに来たのでしょう」
「あの人達を擦り抜ければ…大丈夫ですか?」
「いえ…問題はアイツです」
カイルさんが指を差す先に、金髪で短い髪の隊員が立っていた。
何人かの隊員を引き連れ、指示をしたり隊員を蹴っている。
「ジャンと言う第二の隊員です。見ての通り…危険な人間で…柳隊長から直々に指示が出されているのがヤツでしょう」
「彼…基地であった人ですよね…僕らを置いていった…」
怜も脱出の際に関わったらしく、顔をしっかりと覚えていた。
私も…どこかで見た気がする。
でも、どこで…?
「あの人に見つかれば…父に会う前に連れていかれる…?」
「はい。それも抵抗できない様にされて…だと思います…」
「…何をするか分からない人だと思う。僕ら子供でも容赦しないと…見て、手元」
怜が視線を送る先…ジャンと言う隊員の手元には、拳銃が握られていた。
「発砲しても良いと…柳隊長から許可を出されている可能性が大きいです」
「…最悪狙われるのは…君だよ。凛。だから…絶対に見つからない様に気を付けて」
「あなたもですよ。滝中君。お2人ともです。…接触が軽かったのに対して何故二つの反応が出たのか…不思議ですが、それが狙う要因なので…」
カイルさんが、自分の事を置いておきそうな怜を嗜めた。
しかし、どうやって病室まで行こう…。
「他にルートとか有りますか?」
「反対側からも迂回していけると思います。後、そこの部屋があの病室の手前の部屋に繋がっているはずです…鍵が有れば…ですが。」
「鍵は誰が持ってるか分かりますか」
「鍵はそこの受付の奥にあると思います。今は…受付の人間が居ないみたいですが…」
棟の入り口から見える受付とその向こうの廊下。病室前の隊員の手前の部屋。
3か所を指で示しながら説明してくれる。
「しかし、相手もそれを知っています」
カイルさんが言うと同時にジャンが従えて居た隊員が受付に行く。
先に鍵を取られてしまいそうだ…。
「これで…鍵を使ってあの部屋を通り抜けるには、あの隊員から奪うしか無い様ですね…」
ため息交じりに怜が言う。
「もしくは部屋を諦めて…迂回をするか…です」
「待って、あの隊員の人…部屋に入って行ったわ」
「待ち伏せ…かな」
「しかし、相手は1人ですので自分が…いえ、ジャンが来てしまえば危険は変わりませんね」
どのルートが一番安全か…。
こうしている間にも時間が経つ。
それにつれて私達が部屋に居ない事が…柳隊長に情報が回り…。
いえ、もうばれて探されているのね…だからあの人達がここへ来た。
私達を捕らえる為に、銃も持ち出しているのだから…。
状況が代われば…父も…危ないかもしれない。
握りしめた拳に、力が入った。




