本庄 凛(ほんじょう りん)7-10
蟻って…どういう事?
そんな…蜘蛛みたいな化け物と…蟻…って…。
「自分も先日上官から、タイプーA以外にもBCDといると聞いた所で、詳しい事は分からないのですが、接触した覚えは有りますか?」
…接触…あ…。
怜の顔をみる。
思い当たる節は一つだけ。
学校だ。
「学校の…カイルさん達が救助に来られる前に、校舎に…」
「居たのですか?」
「はい。職員室を…最初に学校を襲ったのが…多分」
「…自分が行った時にはタイプーAしか…」
「蜘蛛の…タイプーAが…来る前に校舎を横断したんです」
あの時の状況を話す。
「私が職員室に居た時に…破壊され、父に救助要請をしたんです。大きな蟻みたいなのが来た…と。体育館に逃げる最中にも、踏まれかけました…。渡部先生と山田君を踏みつぶしたのもそいつらです」
目の前で2人がつぶれていくのを、私は見ていた。
ゆっくりと進む化け物の脚の下に、居る2人を。
「滝中君も…見たのか?」
「ええ、僕も篠本さんと逃げている時に…」
「そいつらは…自分が着いた時にはいなかったが…どこへ?」
「…食べられてました」
「食べられていた?」
「はい。その…タイプーAに」
額に手を当て絶句している彼を、私と怜は眺めた。
おそらくタイプーAとの接触は第二基地で、タイプーCは学校。
でも、そんなに接触らしい接触をしていないのに?
「追いかけられただけで…反応ってするんですか?」
私の声に顔を上げる。
「それが…自分には分からないんです。…とにかく、二つの反応が出たことで司令官も…かばえない状況だと思われます。しかも今、上官が…そんな状況ですから…」
「拒否…できませんか…?」
私の問いにカイルさんが首を振る。
「無理だと…思われます」と。
「滝中君にも話したのですが…このままでは遅かれ早かれ柳隊長があなた方を連れに来ます。お二人で逃げていただければ…と」
「命を狙われた父を…置いてですか?」
「上官が何者かに狙われているのは分かります。しかし、あなた方も危ない。自分は…何かあった時には…と、あなた方を任されています」
カイルさんが拳を握りしめた。
それでも…それでも私は父を置いていけない。
「…一目でも会えませんか」
怜が私の代わりに口を開いた。
「意識があるかは分かりませんが…」
「それでも良いの…無事なのか…一目、会いたい」
絞りだした声は我ながら弱弱しい。
「…それでは…誰にも会わない様に…人を避けながら病室へ行きましょう。本当に『誰にも…』です。見つかれば…連れていかれるという事を覚えていてください」
カイルさんの言葉に頷いた。
「では…準備は良いですか?」




