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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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本庄 凛(ほんじょう りん)7-8

カチャ


玄関が開いた音がした。

父にこの書類を見た事を知られたくはなかった。

それに、どんな顔をして会えばいいか…どう話せば良いか分からない。

私は持っていた書類を床にばらまき、自分の部屋へ戻りベッドに潜り込んだ。


部屋の前を誰かが歩いていく…。


「娘は多分寝ているわ。騒がれたら困るの。起こさない様に…」


抑揚のない淡々とした声…祥子さんの様だ。

けれど…多分この人はあっちの祥子さん…青いイヤリングの…研究室に居た方な気がする。

私の部屋のドアが開き、廊下の灯りが入ってきた…。


「…」


寝息でも立てた方が…良いんじゃ…。

そう思いながら、逆に息を止めてしまう。

鼓動が速くなってくる。

相手は入ってくる感じがしない。


…息が苦しくなってきた。


ドアの反対側へ体を向け、ゆっくりと息を吐く。

深くゆっくりと…。


ドアの前にいる気配がするけど…足音はしない。

父の部屋の方でガサガサと、紙の擦れる音が微かにしている。


またゆっくりと…息を吸い、吐く。


「終わりました」


誰かがドアの前の人物に声をかける。


「そう。全部?」

「はい」

「一枚も残していたら駄目よ」

「はい。この部屋のはこれが全部かと」

「そう。じゃ、行くわよ。部屋の電気は付けたままで良いわ」


廊下からの光が細くなる。

やり過ごせたと…ほっとする。

そこで息を思わず吐いた。


「起きてるの?」


頭の…耳のすぐ横で声がした。

思わずビクッとなるが、肩や足を動かして寝返りを打つようなしぐさをした。


「…。大丈夫そうね…」


すっと彼女の体が離れた感じがした。


しばらくの間身動きが取れず、ゆっくりと呼吸をするだけに集中した。

そして今度こそ…ドアが閉まり、玄関の方で音がし…出て行った様だった。


布団から出て、部屋のドアから廊下を見る。

人の気配は…ない。

父の部屋ドアは閉められている。

…ノックをするべきか…。

それとも中に居ない事を知っているからせずに入る…か。


まだ、誰かいた時に言い訳できるように…ノックをした。


コンコン


誰の声もしない。

恐る恐る部屋を開ける。


「お父さん?」


部屋にはやはり誰も居なかった。

あの散乱していた書類も、綺麗になくなっている。

机の上にも…コーヒーだけが残っていた。


「起きていたのね」


真後ろで声がした。


「きゃああああああ」


思わず叫び、後ろを振り返る…そして床にこけた。

…痛い。


「そんなに驚かないで…叫ばないで」


冷たい目をした…祥子さんは…。

青いイヤリングをしていた。

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