本庄 凛(ほんじょう りん)7-7
夜も遅くなり、早めに寝た方が良いと父に促されベッドに入る。
が、早々寝られる訳も無く…かと言って何かする事も無い。
しばらくの間、ゴロゴロと動いたり、目を瞑って見たりする。
とうとう眠りに入るのが無理だと起き上がり、部屋から出る。
父の部屋の…少しのドアの隙間から灯りが漏れていた。
部屋に居るのかと覗いてみる…が、居なかった。
中に入ると机の上に紙が散乱し、飲みかけのコーヒーもそのままに何処かへ行ったようだった。
床の上にも紙が落ちている。
几帳面な父にしては散らかったまま出るなんて…。
しかも、ドアも開けたままに。
そう思い一枚一枚拾い片付ける。
数値やグラフが書かれている物の中に、岡君の…データがあった。
咄嗟に目を反らした。
岡君の写真が…裸だったから…見てはいけないと思う。
しかし…その他の書類を見ると…おぞましい研究…人体実験の事が書かれていた。
化け物の繁殖行動に至る行動観察から始まり、繁殖傾向が表れた際、同じ部屋へ女性を入れ…繁殖…行動を促す…。
失敗したであろう女性の食い殺された写真と共に並んだ言葉に絶句する。
「こんなことをしていたなんて…」
ページを捲る毎に凄惨な写真になっていく。
女性への受精卵の移植。
男性へのタイプーA小型成体挿入。
子宮内のエコー写真に、腸の代わりに化け物の影が映った…。
「ぐっ…」
吐きそうになるのを抑えながら、捲る手を止められない。
『鈴木 沙良に対する子宮内移植』
タイプーBの受精卵を移植。孵化後、鈴木 沙良死亡。
タイプーB幼体に対して投薬、コントロールを指向実験。
反応なし、焼却処分。
『井上 薫に対する投薬』
タイプーBの受精卵を移植。
タイプーA同様、投薬によりコントロール可能。
投薬停止後、5時間後に孵化。井上 薫死亡。
タイプーB幼体に対しコントロールを指向実験。
従う傾向がみられた個体のみ42番へ保存、残りは焼却処分。
腹部を破られ、手足が食い散らかされた女性2人の写真が添えられている。
祥子さんの言っていた2人…。
2人とも知らない…体育館にいた子なのだろうと思う。
そして…簡単に死亡と書かれた書類に…写真の惨さに、憤りを感じる。
『岡 友樹に対する腹部移植』
成体の小型タイプをカメラと共に移植。
タイプーA-2(遺伝子調整済)の人体内での繁殖行動・成長過程の観察。
これが…私が見た岡君の…。
人をおもちゃの様に実験に使う柳隊長の顔が想像できた。
それに…これを平気で研究室に居た祥子さんは…している。
『我々も飲んでるの』
祥子さんが言っていた。
『コントロールする為に』
あれは成分の何かを抑える『コントロール』だと思っていた。
…先輩のデータに書かれた『コントロール』
…まさかね。
『タイプーB幼体に対しコントロールを指向実験』
目に入ってくる文章に不穏なものを感じる。
…本当に一体何を…何がしたいの?
っていうか…タイプーBって…。
他にも居るの?化け物が…?




