本庄 凛(ほんじょう りん)7-6
「next stage…mission-sideAorB-…」
械的な女性の声が聞こえて、頭にあの「ファンファーレ」が鳴り響いたあの時。
『あなたは『キャストの 』へ移行しました。』
肝心な事が聞こえてなかった気がしたの…。
でも。
そう。
そうね。
あの時…。
誕生日の日に…。
目覚めた朝に…。
聞こえたあの「ファンファーレ」。
その後告げられた言葉。
『あなたは『キャスト』の『主要人物』へ移行しました。』
私は…『キャストの主要人物』。
そして…祥子さんの声が…あの時頭に響いた械的な女性の声と一緒だった事に気が付いた。
あの人は…人ではない。
でもそうすると…私も人ではない…の?
いいえ、生きているわ。
父も、怜も生きている。
これはゲームの中なの?
よくある異世界転生って言いうヤツ?
それにしては…悪役令嬢だの王子様だの、チート能力やこれから起こる事の記憶も一切無い。
化け物が出現するゲームなんて確かに山ほどあるけど…やった事がある物なんて限りあるし、何なら全然覚えていない。
ああいうのって、自分が読んでた小説や漫画、ゲームに転生するんじゃないの?
しかも、私には凛の…凛としての記憶もちゃんとあるわ。
…記憶を引き継いだ転生物も…あったっけ…。
頭痛は気付けば治まっていた。
でも、訳が分からない事で頭が痛い。
「凛…大丈夫か…凛」
父の声がする。
「血を取りすぎたのか…検査で疲れたのか?」
頭を撫でる父の…手の感触がする。
「貧血かも知れませんね。もし気が付かれて何か召し上がれる様でしたら、用意して置きますのでそちらを…」
「あぁ。ありがとう」
あの機械的な女性の声。
祥子さんと父が話しているのだ。
気が付いてはいるけれど、祥子さんが部屋から出ていくのを待つ。
その間にずっと、父は私の手を握りながら、空いた方の手で頭を撫でている。
この父が、あの怜が人間じゃないなんて…思えない。
そして、私も人間じゃないなんて。
ただの祥子さんの冗談よ。
そうに違いない。
目を薄っすらと開ける。
「お父さん…」
「気が付いたか、凛」
起き上がろうとする私を支える。
その手が力強い。
「まだ、寝ていていいんだよ」
「ううん、平気」
「採血中に倒れたんだよ。どこも打ったりしてないかい?痛い所とかは…」
「大丈夫だよ」
笑って答える。
また、心配させてしまった。
「ごめんね。また心配かけちゃった」
「良いんだよ。大丈夫なら…それで」
「…お父さん」
「?」
「私生きてるよね?」
「?どうしたんだ。急に。…凛はここに生きてるよ」
「ねぇ…ここって…現実だよね?」
ゲームの中だよね?なんて言えなくて、遠回しに聞いてみる。
「どうしたんだ?変な夢でも見たのかい?」
…だよね。




