本庄 凛(ほんじょう りん)7-3
怜の代わりに、祥子さんが部屋に入ってきた。
「滝中さんはカイルさんにお任せいたしました」
「そう…ですか」
「お二人とも検査に異常が無ければ…」
何かを言おうとして止まった。
「どうしたの?」
「い…いえ。…家にお戻りいただけると考えていたのですが…」
「保護者の問題ね」
「はい。凛さんは本庄隊長がこちらにいらっしゃいますが、滝中さんのお身内の方が…」
生きていても、そういった問題が起こる。
だって私達は未成年だから。
「父からは?何か聞いてますか?」
「特には、まぁまた来られると思いますので、この話は置いておきましょう」
祥子さんがにこやかに微笑み、私はそれに頷く。
…後は…あれ?さっき何か大事な事を考えていた様な…何かを忘れている気になる。
「そのネックレス、よくお似合いですよ」
「ありがとうございます…さっき怜に…」
ハニカミながら、視線をネックレスに落とす。
「三つ葉…いえ、四つ葉ですか。良いですね」
ティーカップとポットをトレイに乗せながら、他愛のない話をする。
「凛さんはクローバーにも花言葉があるのを知っていますか?」
「薔薇は『愛』とかの?」
「ええ、薔薇も本数によって意味が違うのですが、クローバーも葉の枚数で違うんですよ」
「そうなんだ」
「三つ葉なら『愛』『希望』『信頼』と三つあります。…お二人にピッタリですね」
「緑の石だけなら三つ葉…か。じゃあ、黄緑を入れた四つ葉ならよく聞く『幸運』かな」
照明に当てて、キラキラとするのを眺める。
「幸運はよく聞きますね。でも、もう一つあるんですよ」
「もう一つ?」
「はい。『私のものになって』」
顔から火が出るかと思うくらいに、熱くなった。
「ちょっとおませでしたね。すみません。しかし、良いお守りですね」
そう言ってキッチンに移動して行った。
後姿を見ながら、からかわれた事に気付く。
両頬に手を当てながら、本当に怜も私と同じ様に想ってくれていたら…と考えた。
夜になり、検査に行く事にした私を迎えに来てくれたのは父だった。
ネックレスを見るなり、私の誕生日を忘れていた事に気付いたらしい。
大慌てになり、謝ってきた。
「すまない、凛。誕生日を忘れるなんて…」
「良いの、お父さんも大変だったでしょ」
その言葉に対してなのか強く、抱きしめられた。
「落ち着いたらちゃんとお祝いしようね」
「うん。ありがとうお父さん」
「凛…14歳、おめでとう」
「もう何日か経っちゃったけどね」
そう言って2人で笑いあう。
ここにお母さんが居ないのが寂しいとは言えない。
誠也もいない。
でも、大切なモノはここにもある…。
私は父を、父は私を。
もう一度強く抱きしめた。




