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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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本庄 凛(ほんじょう りん)7-2

自分の考えに、血の気が引いた。


「凛…大丈夫?顔色が…」

「うん…平気」

「なら良いんだけど…、ベッド…横になる?」


立ち上がって手を差し出す怜の、顔を見る。

涙の跡は拭かれたのか…ない。

お互いの白い服は…真っ白なまま。


「床に座ってるのもあれだし、せめて椅子に座ろう…?」

手を引かれてテーブルの方へ歩き…座る。

至って普通の行動。

こういった「普通の行動」の積み重ねや、連続が…生きるって事で…。

でも、生きてる実感…実感…って?


「本当に…大丈夫?凛…」

「うん、平気。ちょっと泣き過ぎて頭がぼーっとしてるみたい」

「お水、持ってくるよ」


怜が立とうとする。


「あ、このポットに紅茶が…」

「これ入ってるの?」

「祥子さんが入れてくれていたの」

「なら、これを貰おう」


ティーカップに注ぐと、私の前に置いてくれる。

そして、自分の分を注いで前の席に座った。

そして、あの日離れてからの事を話してくれた。


「あ…そういえば…」


白い服のポケットから何かを出した。


「誕生日、おめでとう凛。ずっと渡しそびれてた」


怜の手の中にあったのは、私へのプレゼントだった。


「こんなに…なっちゃったけど…」


悲しげに私の手の上に乗せる。

…リボンも無く、綺麗な色だったはずの包装紙はボロボロで、所々黒い何かが滲んでいて…。


「ありがとう…怜」

「また今度…綺麗に包装された物を渡すよ」

「ううん、良いの。ありがとう…ありがとう怜」


中には四つ葉のクローバーのネックレスが入っていた。

銀の上に緑の葉が三つと、薄黄緑の葉が一つ。

部屋の明かりで小さくキラキラと光っている。


自分で首に着けてみる…映画に出てくる人…大人の人達なら、相手に着けて貰ったりするのだろうけど…私は恥ずかしい。

と言うか、本当に大人の人達はあんな風にプレゼントを着けて貰うのだろうか?絶対ドキドキしてギクシャクしてしまう。


「どうかな…?」

「うん、似合ってるよ」


このやり取りでさえ、顔から火が吹き出そう。


コンコン


部屋のドアがノックされた。

カイルさんと祥子さんだった。


「失礼します。もうそろそろ滝中さんの方は検査に…と」


申し訳無さそうに祥子さんが言う。


「あ、はい」


怜が返事をする。

そして立ち上がろうと腰を浮かした瞬間、絶対に伝えないといけない事を思い出し、彼の手に自分の手を置き止めた。


「待って…」


3人の挙動が止まった。


「えっと…私は…?」

「凛さんは出来そうならば夜に…」

「一緒には行けないの?」

「えぇ、それは…1人ずつと言われてますので」

「じゃあ、後10分…5分でも良いから2人だけにして…」


その言葉に祥子さんは渋っている様だったけど、カイルさんが祥子さんを促し、外へ出てくれた。


「どうしたの?」


不思議そうな顔で見る怜に、今朝、検査室の横の…研究室の様な所で見た岡君の事を話した。


「検査で何か反応が有れば…同じ…」


怜の言葉に頷く。


「だから、気を付けて…んと、何にかは…分からないけど…」

「分かった」

「もしもの時は…逃げて…」


我ながら…どこへ逃げると言うのだろう…。

そんな疑問を感じたのか、怜は薄く微笑んで部屋から出て行った。

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