本庄 凛(ほんじょう りん)7-1
久しぶりに会った怜は、思って居たよりも元気そうで、極端な痩せ方や疲労が見える感じでは無く安心した。
薄い髪色も、目も変わらず優しいままだ。
気が付けば、部屋には私達2人しか居なかった。
祥子さんかカイルさんか…、2人とも気を使ってくれたのかも知れない。
私達はお互いの身体を離し、床に座って壁にもたれた。
肩と肩が触れ合い、無事に…側に居ると感じる。
触れた肩から…握り合った手から、私の心臓の音が彼に伝わる気がして、途端に顔が熱くなった。
抱き合い喜んだ事は…良いんだ。そう、良い。
会いたかった気持ちが、嬉しさの高まりが…落ち着き出した今、突然恥ずかしさが襲って来ただけ…。
横目で彼を見る…彼も私を見る。
そして…2人共が…同じ事を思う。
『誠也が居ない』
会えた嬉しさで、多分私は微笑んでいるだろう。
そして、抱き合った恥ずかしさで顔は紅潮してるはず…でも…。
白い服に点々と染みが出来る。
「ごめんね、そっちの肩…服濡れちゃった」
彼の目にも涙が浮かんでいる。
「良いんだよ…」
手を伸ばし、袖で私の涙を拭ってくれる。
「本当に…誠也は…」
「…うん、僕も一緒に居たんだ…」
茶色い瞳から透明な雫が落ちて、彼の頬を濡らす。
悲しみに満ちたそれを、今度は私が袖で拭く。
「気が遠くなる前…僕を突き飛ばす誠也を見た気がする…僕を助けて、自分は瓦礫に…」
手で顔を覆う…。
その震える肩を私は抱きしめるけど…自分の胸の痛さを紛らわしているだけなのかも。
お互い、話す事は多かったはずなのに。
あまりにも苦しくて、痛くて、悲しかった。
誰かが死ぬと言う事は、その人にはもう二度と会えないって事。
積み重ねて来た時間も、記憶も、本人以上の存在としてはあまりにも希薄で、取り戻せない。
何度もコンティニュー出来るゲームとは違う。
でも、私の様に誠也も生き返ったら?
やり直せたら?
そう思った。
…私にはやり直しの仕方が分からない。
そして、生き返ったとして…やり直したからと言って私の望む結末になってくれるのだろうか?
目の前の…怜が代わりに死んでしまう未来もあり得た。
それは…誠也も望んで無い。
だから、身を挺して怜を守ってくれた。
……。
…待って…。
今、私、大切な事を…考えた気がする。
いやいや、でも…そんな訳…ない。
考えが…おかし過ぎる。
鼓動が速くなる。
…ほら、脈もある。
目の前の怜に触る。
…ほら、触れられる。
誠也の死を思う。
…ほら、胸が痛む。
涙で濡れた袖。
…
頭の中に人は死ぬと終わりだって、やり直しなんて出来ないって言う「死の概念」はある。
なのに、私は生き返ったと思っているし、やり直した事だって…。
あれは全部思い込み?妄想?
やり直したのは全部デジャヴ?
それとも…。




