A班 救助用機体5021 カイル隊員5-3
さっきまでの苛立ちを引き摺ったまま、本庄隊長の執務室の前に着いてしまった。
落ち着きを少しでも取り戻す為に深呼吸をする。
コンコンと軽くノックすると、中から入室の許可を出す声がした。
「失礼します」
中へ入るとやや大きめの机が部屋の真ん中に置かれ、ソファが二脚置かれている。
その向こう側に隊長が座る、執務用の机があった。
机の横に、本庄上官は立っていた。
「そこに掛けなさい…。挨拶や前置きは良い、さっきの報告をもう少し詳しく聞かせてくれ」
上官は目の前のソファを差し、自らも座る。
俺は彼の目の前に腰かけ、事のあらましを先の報告より詳しく話す。
「…人体への産卵とジャンと言う隊員の言う『俺らが教えた』と言うのが気になります」
「その隊員が言っているのは…以前行われたタイプーAの実験の事だろう」
「実験…ですか?」
「あぁ、中止になったが…」
隊長が考えに入った顔する。
実験とは…。
俺はそこまで踏み込んで良いのだろうか。
「後…滝中君を部屋に送った後第二の川島と言う隊員と会いました。その時にアンドレアから預かったというDVDを受け取りました」
内ポケットからDVDを出し、机の上に置く。
「エリア24で保護した学生の名が書かれています。これを川島に託して…アンドレアは、基地爆破を彼の代わりに行ったと」
「そうか…、基地を爆破するのに隊員を使う決定はされていなかったのに…な。大方、柳の独断だろう。もしかしたら、副司令は知っているかもしれないが…」
沈黙が流れる。
基地爆破の事は…ある意味隊員として犠牲は理解している。
それよりも、実験とは…?と聞きたいが…。
やはり躊躇いがある。
本庄上官が机の上のDVDを取り、眺める。
手を口元に当てている時の彼は思案中だ。
目を細め、ケースを見ている…。
思い沈黙が部屋に立ち込める。が…俺はどうする事も出来ず、指示を待つ。
上官が立ち上がり執務机のノートパソコンを取り、またソファへ戻ってきた。
「どうか…されましたか?」
「…君にも教えておくべきかも…知れない。ジャンと言ったか…柳の部下は」
「はい」
「そいつよりも先にアンドレアが託したDVDを受け取れたのは良かった」
そう言い、立ち上がったパソコンにDVDを入れる。
カチャカチャとキーボードを叩く。
そして…一呼吸ゆっくりと吐き、こちらにパソコンを向けた。
「やはり…中止されていたはずの…研究が、続いている様だ」
画面には岡君の写真と、ありとあらゆるデータが書き込まれている。
アルファベットと数値、グラフ、そしてリンク付けされた単語。
一見するだけでは何が何だかさっぱりわからない。
「これは?」
「実験の為のデータだよ、体液や血液を検査して反応があった者の…人体を使う」
「人を?」
「あぁ…。分かりやすく最初から話そうか」
そう言って本庄上官は立ち上がり煙草に火を付けた。




