表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

127/200

A班 救助用機体5021 カイル隊員5-1

疲弊しきった身体と、犠牲者の分だけ十字架を背負った様な…気の重さを引き連れ、第四基地に着陸したヘリのドアを開いた。

カチャカチャと、後ろの席からも聞こえた所で彼も居たのだと思い出す。

俺は無言で降り、後ろのドアを開けてやる。

俺を気にしてか…彼も無言で降りた。

基地の、転々と点いている部屋の明かりだけが暗闇に浮かんでいる。


綺麗に並んだ機体を眺め、無事にここへ辿り着いた者達の事を考える。

そして、死んでいった隊員達の事を。


すぐ横に灯りが点いた。

玄関口の人感センサーで点く灯りだった。

自動ドアが音もなく開き、中から人が出てくる。

本庄上官だった。

俺は疲れた体に鞭打ち、敬礼をし挨拶を述べる。


「いや、いい。ご苦労だった」


手で制され、俺は掲げていた手を下す。

直立不動はそのままだ。


「楽にして報告を」


簡単な言葉で指示する彼の顔を見ると、俺と同じく疲れ切った顔をしている。

俺は短く返事を返し、ここまでの起こった事を手短に話す。

基地の多くの犠牲者、同隊のアンドレアの事…そして、人体に産み付けられた卵とジャンの事。


「そうか…」


一言呟いた後、上官は滝中君に気付いたらしく「詳しくは執務室で」と、先に彼を部屋に案内する様に指示が下った。

本音を言えば俺も休みたかった。

が、隣に居る彼は尚更だろうと、上官に言われた部屋へ案内する。


長い廊下とエレベーターに乗り…また廊下を歩く。

その間、俺も彼も一言も話さなかった。

廊下の窓から見えるヘリポートの灯りも、街の薄暗い赤い光も、薄暗くなった廊下を彩りはしない。

お互いの息遣いが聞こえる様な…ただただ、静かに歩いていた。


部屋には江島女史がいた。

すぐに服を着替えるように。と、検査着の様な青い服と白い服を彼に渡す。


「彼の事は私にお任せください」


無表情に近い顔でそう告げる彼女の…グリーンのイヤリングが、部屋の照明でキラキラとして…目に痛い。


「では、彼はお願いします」


俺は目を揉みながらそう告げ、ドアノブに手をかけた。


「あ…カイルさん!…」


滝中君が服を抱えながら俺を呼んだ。


「ここまで…ありがとうございました」


深々とお辞儀をする。


「いや、礼には及ばないよ…。これからの事はともかく…今はゆっくり休んでくれ」


そう言って部屋から出る。

俺も…寝たい。


しかし、そんな事は言ってられない。

上官の執務室に足を運ばなければ。

執務室までの道のりが、異様に長く感じる。

窓を見ると、遠くの空にチカチカと光る小さなライトが見えた。

ヘリの航行灯だ。


さっき降り立ったヘリポートは、執務室までの間に位置している。

俺は足を速めた。

その間にもヘリは近付く…。

気が付けば走っていた。

自分は何を期待して、走っているのか…。

さっき滝中君と共に乗ったエレベーターに乗る間も惜しみ、その横にある非常階段を駆け下りる。


丁度、ヘリから男が一人降りてきた。

灯りに照らされる服は、隊員の制服だ。

靴も、ズボンも、腰に付けた鞄も…上着も。


「アンド…レ…」


しかし…降りてきた隊員は俺が思う人物ではなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ