本庄 凛(ほんじょう りん)6-9
私は…どこに居るんだろう。
私は…。
目を開けると白い天井が見えた。
「気が付かれましたか?」
祥子さんの顔が見えた。
オレンジのイヤリングだ。
「祥子さん…」
私はベッドに寝かされていた。
「あの後…気を失われたんですよ…」
そう言って立ち上がり、ポットから紅茶をカップに注ぐ。
渡されて一口飲む…甘い。
「無理もないですが…」
彼女は優し気な顔を向ける。
が、不意にその表情がいつも同じ…貼り付けたようだと感じた。
もう一人…祥子さんの姉妹を見たからかも知れない。
あの人のイメージが目の前の祥子さんにも混じる。
「…祥子さん…あの…」
「はい」
「検査室の…研究所みたいな所に居たあの人は…祥子さんの姉妹ですか?」
はい、そうです。という返事が来ると思っていた。
だけど、違った。
「いいえ、違います」
表情を崩さず、祥子さんは答えた。
「あんなに似てるのに?…あっ…従妹ですか?」
「いいえ」
「じゃあ、何故…」
じゃあ何故あんなにも似ているのか…。
もしかして…?
変な事が頭によぎる。
「もしかして…ロボット…とか…?」
彼女は表情を崩さない。
どちらかがロボットだとしたら…こっちな気がするくらいに。
彼女がふっと笑いを浮かべた。
「いいえ、ロボットではありませんし、アンドロイドでもありません」
では?
「彼女達と血縁設定はありません。そっくりなのは…説明しずらいですね…その必要があったから…いえ、変えるのが面倒だったから?…何でしょう。私にはわかりません。…説明するには…同一モデルだから…としか…」
「同一モデル?」
「ええ、同じにする必要性もないはずですが…」
「どういう事?アンドロイドでもないんですよね?」
「ええ」
「人間…なのですよね?」
「この世界の人間ではあります。が…。あなた方とは少し違う…としか」
答えにくそうな顔になった。
…もしかして、クローン人間だとか…そう言った…何か複雑だったり…?
…ん?彼女達…?
頭が混乱し始めると共に、個人のそんなセンシティブな事を根掘り葉掘り聞いて良いモノか…詮索する事は失礼なんじゃないかと思い始める。
「あなた方って…?」
「ええ、あなたや本庄隊長、柳隊長等ですね」
「…?」
「生体としての作り…、クローン等ではなく…言うなれば個性です。個性のあるデザインでは無いという事です」
「デザインって?」
「私はそうですね、先程凛さんが言った通りアンドロイド設定でも良いのです」
どういう事?
設定って???
ますます頭が混んがらがる。
そして彼女は続けて言った。
「私は1人の…一個のデザインを使用した『 』です」
『error』
いきなり機械的な女性の声がした。
被って流れ出した所為で、彼女の言葉の最後が聞こえなかった。
『an error has occurred』
『エラーが発生した為…』
機械的な女性の声は、止まらずどこからか流れている。
目の前の祥子さんが固まった。
ロボットだの、アンドロイドだのと言っていたが、彼女から音がしている訳ではない。
私は慌てて起き上が…れない。
私も固まっている。
どういう事か…さっぱり分からないけれど、動けなくなっている。
『再起動を実施します』
頭の中で…声がした。




