本庄 凛(ほんじょう りん)6-6
「適性があると…その、成分が高いと…どうなるの?」
今の岡君の状態が知りたかった。
「どうなる…とは?」
「体に異変とか?」
「いいえ、それは無いわ」
「じゃあ何故お腹を?」
「…簡単に言うと、タイプーAの生態を知る為よ」
「…適性があって…父が…止めたら?」
「その時は薬を渡すわ。適性を持っているからと言って何か症状が…とかは無いけど、コントロールする為に。我々も飲んでるの」
「そう…他の…他の生徒達は?」
「聞きたい?」
私が頷くと、祥子さんは手に持つ紙を何枚かめくった。
「貴女を含めずに、第二基地で行った最後の検査で、14人の内3人が適正あり、でも1名以外は死亡。適性無しだった8人は保護者へ引き渡し、残り3人の内2人は基地にて死亡が確認されて、1人は昨日ここへ搬送されてるわ」
「適正ありだった子は…男子?女子?」
「死亡者は2人とも女子よ」
ほっとしてはいけないのだろうけれど、内心ほっとした。
怜と誠也ではない…と。
「基地で亡くなった子と、ここへ来た子は?」
反応なしで帰された中に居て欲しいと思いながら、死亡者と行方不明者3人の事を聞く。
この中に居なかったら無事だという事だと…。
「亡くなったのは隊員に射殺された女子と、崩れた建物付近から発見された男子。搬送されたのは…男子ね」
すらすらと私の質問に答えてくれる。
これなら、名前も聞けるでは…?と思った。
「死んだ子…死んだ男子と行方不明の子の名前は分かる?」
祥子さんは持っていた紙をめくる。
「これには…」
無いのだろうか?…彼女が探している間がすごく長い時間に思える。
「死亡者は橘誠也ね」
「え…?」
「橘誠也と言う男子」
「嘘…」
「知り合い?」
「…え…あ…はい」
「そう、それは残念ね…ふぅ…聞きたかった事はこれみたいね。じゃ、もういいかしら?」
涙と吐き気がこみ上げ、黙り込んだ私を置いて去ろうとする。
「待って!誠也は…誠也の遺体はどこ?会わせて!」
「確認は隊員がしたけど、その後化け物とか後始末に爆破したはずだから残ってないわ」
「じゃあ本当に誠也か分からないじゃない!」
「いいえ、隊員が確認しているから間違いじゃないわ」
「そんな…」
祥子さんと話す間に涙が止めどなく流れてきた。
「やめて、こんな所で泣かないで。泣くなら外へ出てちょうだい」
祥子さんは腕を掴んで立たせようとする。
「誰か」
側に居る研究員に声をかける。
「この子を外へ」
「はい」
「迎えは…担当者はまだなの?…」
「まだ来てませんね」
「もう…」
研究員が私をガラスの部屋から出すと、祥子さんはドアとカーテンを閉めた。
外に出された私を、一瞥もせずにカーテンの奥へ影が遠ざかる。
「そんな…誠也…」
部屋の出入り口まで引きずられ、床にへたり込んだまま泣いているとドアが開いた。
視線を向けるとそこには…オレンジのハイヒールを履いた祥子さんが居た。
「祥子…さん…?」




