本庄 凛(ほんじょう りん)6-1
カーテンを開けられ日の光で目が覚めた。
昨日言われていた通り、青い服から白い服に着替える。
その間に祥子さんは朝食の準備をしてくれていた。
テーブルについて、美味しそうなスクランブルエッグとベーコンをパンの上に乗せて食べる。
パンは焼き立てだった。
紅茶の味は昨日と一緒。
…やっぱり甘い。
「どうしたの?苦手なものあった?でも野菜も食べてね」
祥子さんを見る私に、そう優しく笑いかける。
何だろう。第二基地に居た時に縮まったと思っていた祥子さんとの距離感が、少し離れたような感覚がある。
基地を移動して、違う部屋だから私がそう感じているだけかもしれないけれど。
「大丈夫です」
サラダに手を出す。
パリッとしたレタスが、美味しい。
「今日は検査を受けて貰うわ。簡単な検査よ。まぁ殆どの人が嫌いな採血もあるけど…」
血を取られるのは嫌だなと思う。
上手い人と下手な人の差がどうして生まれるのか分からないけど、本当に刺した?って言うくらい無痛の人もいれば、痛い人は…すごく痛い。
「後は、レントゲンとか診察とか…まぁ流れに任せていたらすーっと終わるわ」
私は頷き返し、黙々と食事を続けた。
食べ終わった頃、もう一杯紅茶を淹れて近くに置いてくれる。
そして空いた食器をカートに回収して、持って行った。
部屋に一人だ。
外を眺めても、遠くに街が見えるだけで、何も面白みはない。
下を見ると昨日はなかったヘリが二台、増えている気がした。
私もそこに降り立ったなと、昨日の事を思い出そうとする。
基地が爆発したのを見た時とは違って、見なかった昨日は胸の痛みも感じないくらい。
「確認していない」ってこんなにも楽なんだと思った。
怜と誠也の生死は分からない。
けど、絶望的な気を持たずに居られている。
祥子さんも無事に、…今も世話をやいてくれている。
「これ以上…何かを欲しがるのは贅沢だわ」
独り言を言う。
部屋に返事してくれる人はいない。
仕事が終わらないのだろう…父は昨日別れてから会っていない。
あの黒い塊の…何かの集団が襲った基地は、戻る前と同じく爆発したのだろうし、多くの隊員の人達が犠牲になったはずだ。
怜や誠也だけでなく、カイルさんも無事でいてくれたらいいのにと思った。
コンコン
部屋のドアがノックされた。
検査をする為に迎えに来ると言っていたから、祥子さんが来たのかとドアの外を確かめずに開けると、制服を着た隊員を4人、引き連れた男の人が立っていた。
その人をどこかで見たことがあると思った。
でもどこで見たかハッキリとは思い出せない。
「初めまして、本庄凛さん。私は柳と言います」
男に人は帽子を取りお辞儀をする。
「第二迎撃部隊の隊長をしております」
にこやかな顔と違って、雰囲気が怖かった。




