アンドレア・エルフローレン4-9
「何だ、他にもいるじゃないか」
男は薄ら笑いを受かべるが、もう一人の隊員は困惑した表情だ。
「どうして2人もここに…」
震えている手元に、透明なカバーがかけられた赤いボタンが見える。
という事は、この隊員が爆発係か。
「おい、お前、所属はどこだ。ヘリは操縦できるな?ワシを連れて第四基地まで飛べ」
そうか。第四基地が次の…。
目の前に来た男がぎゃあぎゃあと叫んでいる。
俺の頭には霧がかかった様な…靄っとして考えが明瞭にならない。
「何だお前聞いてるのか!」
また机を叩く。
『07:51』
「呆けているのか?…ふんっ!ではお前だ!お前がワシを乗せろ」
「ですから、僕には任務が…」
「任務が何だ!ワシの方が重要ではないか!ワシが死ねば金がなくなるぞ!」
「しかし…」
変わらず言い合っている2人を、眺める。
「よし!良い事を思いついたぞ!コイツにそれを押させろ。そしてお前がワシを乗せて基地に向かうのだ」
その言葉に隊員が驚愕の顔をする。
「しかし…柳隊長が…」
「柳?んなものワシを連れて行けば関係ない」
隊員がちらっとこっちを見る。
「そうだ、昇進もさせてやろう。良い条件だろ。臭い飯や布団で寝るのはうんざりだろ」
隊員はチラチラこちらを見ながら、迷っている。
『06:41』
「ああ!!お前!!お前でもいい!!」
男が左手の太く短い指でこちらを差す。
金色に光る指輪が締め付けているのか、色が悪い。
「ちょ…ちょっと待っててください」
男の言葉を聞いて、奴に断りを入れながら隊員がこちらに走ってきた。
「僕、第二の…柳隊長に命令されてここに居ます。あの方は逃げ遅れた要人の一人で…」
説明をしだした。
「トイレに行っている間にこんな事になるとは!腹立たしい!!ワシが居ないのを誰も気付かんとはボンクラ共め!!」
後ろでは男が悪態をついている。
『05:21』
「どっちか!早くしろ!」
男はイライラがヒートアップしていく。
「でも、僕は任務が…」
目の前の隊員はウジウジと言い訳をしている。
「うすのろ共め!」
ドンドンと机を叩く。
『06:12』
「早く!」「任務が」「馬鹿者め!「柳隊長に」「どちらでも」「爆破ボタン」「お前らは!」「押さないと」「いい加減にしろ!」「名誉が」「どうなっても知らんぞ!」「死ねと」…
『04:40』
「お前らなんぞ使い捨てが!悩んどる場合か!どっちが死のうが一緒だ!まずはワシを!!!」
「『うるさい』」
パンッ!
男の脳天から血が噴き出し、後ろへ倒れた。
目の前の隊員が、男に駆け寄るのをスローモーションで眺めている。
倒れた男を隊員が揺さぶるが、反応はない。
「何するんですか!!!」




