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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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114/200

アンドレア・エルフローレン4-8

『10:07』


待遇の違いを嘆いた所でなにも変わりはしないが、この内装を…この施設を、こんなにもあっけなく捨て去る上層部に疑念を持たざるを得ない。

そして、ここには爆破係もいる。

巻き込まれても良い捨て駒。

柳隊長曰く、俺達隊員はそんな程度のモノらしいが…本庄隊長はそうではなかった。

逞しく優しい隊長だった。

しかし、こんなにも本館が豪華で高そうなオブジェや内装で飾り立てられていたとは、考えもしていなかった。

これならば、隊員の劣悪な環境を少しでも変えられたのではないだろうか…。

この一部でも予算を回していたら、新人は死んだ隊員や先輩のお古で硬いベッドの上に横たわる事も無く、重傷者に綺麗なベッドを与えられたのではなかろうかと…悔しく思う。


『悔しいか?腹を立たねえか?』


そうだ、腹立たしい。


『憎いよな。自分達はお綺麗な場所でのうのうと』


そうだ、憎い。


『死線をくぐった奴等はあれで…戦場の土も踏まない奴らがこれじゃあ…な』


両手の拳をきつく握りしめる。

ぐちゃぐちゃの…機体を思い出す。

顔が分からない者、血の滲んだ包帯や焼け焦げた服…ボロボロに千切られた服…。

人が焼けるあの…嫌な匂いや、悲痛な呻きを知らない奴らが…。


色々な場面が脳裏に浮かぶ。

あの壁に積まれた死体の山、医務室に散らばる人間達。

そして…研究室の貫かれ、引き千切られた者達。


しかし、ふと気付く。

俺達も戦闘中、安全な戦闘機(いち)に居ながら人間を…一般人を巻き込んでいる…と。

守る為と…大義名分を掲げながら…。


ぽきっと何かが折れた気がした。


『あーあ、気付いちゃったかー』


声がする。


『選択権はお前に無いけど』


…。


『09:06』


チンッ


ドアが開き、開けた場所が目の前にあった。

広いフロアに、デカいドアが二つ。

一つは管制室で、一つはヘリポートへ続いている。


ふらふらとした足取りで管制室に入る。

すると2人、生きた人間がいた。

1人は俺と同じ隊員で、もう1人は髪の薄い肥満体形の男だった。


「だから!ワシを送り届けろ!」

「僕はここの最後を任されています」


何か揉めているらしい。


「ワシを送る事が先決じゃないか!」

「では誰がここを閉めるんですか、化け物を野放しにしろとでも!?」


2人はこちらに気付いていない。


「そんなに逃げたいなら自分で操縦して逃げてください!」


隊員が叫んでいるが、その手は震えている。


「操縦するのはワシの仕事ではない!!」


顔を赤くした男が机を殴る。右手には大きなエメラルドがキラキラと煌めいていた。

そして、ドアの前に居る俺にやっと気付く。


「お前は誰だ?」

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