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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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112/200

アンドレア・エルフローレン4-6

拾ったIDを携えて、俺は研究室を出る。

機械から散っていた火花の音と、パソコンの低い軌道音、それくらいしか残らない部屋をもう一度振り返り見回した後、エレベーター前まで走った。


『14:20』


もう時間があまりない。

屋上に行くのか、本館へ行くのか。

どちらかに決めなければ。

片方に行って駄目だったら戻ってくる、そうする時間の余裕はない。

どちらか…俺は五階に向かう事に決めた。

エレベーターに乗り、五階を押す…目の前が真っ暗になる。


『14:34』


気が付くと三階の乗っていたはずのエレベーターの前に居た。

乗り込んで五階を押したはずだ。

夢でも見ていたんだろうか。

もう一度、乗り込む。

五階のボタンを押す…目の前が…暗くなった。


『14:23』


また、三階のエレベーターの前に戻っている。

この感覚…、あの時と一緒だ。

カイル達と合流する前の…襲撃前に戻った時と同じ。

という事は、屋上へ行くと…俺は死ぬのか?

何が起こったのか、思い出そうとする…。

屋上、その前の部屋…。


五階…いや、本館へ行くしかない…いや、もう一度…五階へ…。

エレベーターの五階のボタンを押す。

上へ移動していく感覚が、ある。


チンッ


無事、五階へ着いた。

フロア案内を見る。やはり五階は半分が部屋で、半分が屋上…ヘリポートの様だ。

そこで、違和感に気付いた。

俺は何故、ヘリポートだと知っていた?

ここに来る前に…このフロアの作りを知らないはずなのに()()()いた。

研究室でも「五階は半分が部屋で、半分がヘリポート」だと考えた。


「もしかして…俺が認識していない死が、俺に起こっているのか?」


そうなると、自分の記憶が…自分自身が信じられなくなってくる。

いや、しかし、やり直したなら…あの自動で流れる言葉や感覚があるはずだ。

医務室前でカイルと会った時の様に。

何が何だか分からなくなる。


IDで部屋の鍵を開ける。

中には誰もいない。


『12:53』


机の中や棚を調べるが何もない。

ヘリポートを見ると一機だけヘリが残っている。

目の前のヘリに乗れば、俺は脱出できるというのに。


『11:41』


やはり、ない。

目の前の壁を叩く。窓を割った所で鍵が無ければ意味がない。

カウントの…残りは後11分程。

降りるのに1、2分程かかる。

10分弱で本館に行き…ヘリを探すのか?

無理だろ、どう考えても。


『詰みだな』


嫌だ…。


『詰みだよ』


そんな…。


『悪あがきするな』


嫌だ…。

俺は側にあった椅子を持ち上げ、窓を割る。

そして、窓に足をかけ外へ出ようとした。


が…出られなかった。

暗い中に()()()()

動けない。

なんなんだこれは…。

周りが真っ暗だった。

もがいても…もがいても抜け出せない。


『03:10』


後…3分…あ…


ブツッ…。

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