アンドレア・エルフローレン4-2
階段を降り、エントランスへ出る。
外を回るよりも、研究棟から本館へ行くのが安全かつ手っ取り早い。
そして、運が良ければ研究棟にもヘリがあるかもしれない。
「IDを認証させてください」
研究棟への入り口には電子錠が掛かっていた。
後ろにヤツが迫って来ているのに…と焦る。
しかも、俺はここの鍵となるIDを持っていない。
「くっそっ!!」
階段を下りてきた影が見える。
後は、ヤツが研究棟への廊下に進めば…。
俺は袋の鼠だ。
壁の端に…消火器が置いてあるのが見えた。
「これをアイツに向けて放射し、隙を作った後…ドックへ戻るか、これで電子錠を破壊するか…」
二択が頭によぎる。
が…ドックに戻った所でヘリの鍵がない。
電子錠を破壊した所で上手く開くかは分からない。
開かない場合…。
廊下の入り口に死体を引き連れたアイツの脚が見えた。
「迷っている場合ではない…な」
ちらっとドアを見る。
下部分の通気口が目に入った。
「一か八か…」
消火器を通気口目掛けて思い切り、振り子の様にして打ち付けた。
衝撃で消火剤が噴出してくるのを、エントランスに向けて投げる。
すごい音と共にピンク色をまき散らしながら、廊下を転げまわって行った。
ある意味陽動にもなるな。と思いつつ、歪んだ通気口を蹴り外す。
丁度、俺の肩が入るくらいの空きが出来た。
腹這いで通る。
…ゾンビ物のゲームを思い出した。
あの主人公もこんな気分なのだろうか。と。
研究棟へ進む。
突き当りにあるエレベーターが、無事に動くのを祈りながらボタンを押す。
いつものチンッという音と共に、ドアが開いた。
中には誰も居らず、血だのヤツの幼体だのは居なかった。
ドゴンッ!
ヤツが体当たりでもしたのだろうか、研究棟の…通気口が破壊されたドアが拉げた。
「消火剤に脚を滑らせたのなら…少しは笑えそうなのにな」
拉げたドアを横目に、閉めのボタンを押す。
エレベーターの階を選ぶボタンが一階から五階まである。
三階にメインの研究所と、本館への連絡通路があることが書かれていた。
三階を押しかけてふと、思い出した。
「本館は…爆破される」
ヤツらが本館を覆いつくし、誰かが爆破させるのだ。
それを俺は経験している。
生きている人間が確実には居るが…、そいつはジャンと一緒で危険な人物である可能性が高い。
…ヘリがあるかないか、鍵がどこにあるのか、俺の知る情報が少ない。
五階は「屋上」としか書かれていない。
情報を得る為にも…三階の研究室に行くしかないか。と、三階を押した。
『30:00』
なんだ?
『29:57」』
何かのカウントが始まった気がした。
『29:49』
時間?
『29:46』
一秒一秒減っていく。
ゼロになれば何が起こるというのだろう…。
『速く行動する事を心掛けるんだな』
頭の中で声がした時、チンッという音と共にエレベーターのドアが開いた。
『29:00』




