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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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アンドレア・エルフローレン4-1

…。

今…俺の目の前にいる化け物は、俺に気付いていない。

先に逃がしたカイルと少年の事にも気付いていないだろう。

ただゆっくりと、自分の体が整うのを待っている。

一緒に逃げる事も出来たかも、知れない。

しかし、いつコイツが向かってくるか、その所為でドックのヤツらに気付かれでもしたら…逃げられる可能性を狭めてしまう。


銃の撃鉄を下げる。

これで…いつでも撃てる。

ヤツを警戒しながら、後ろに下がる。

下の割れたガラスや転がる瓶を蹴らない様、慎重に…すり足で。

映画や漫画で、こういう時に蹴る奴が死ぬからな。


キキキキとヤツの方から音がする。

体ができ始め、動く準備ができたのだろうか。

あと少しで、廊下に出る…そしたら、2人と合流してヘリで逃げられるだろう。

今ならまだ、間に合うはずだ。


ドックの扉で死んでいるヤツをみる。本当に死んでいる様でピクリとも動かない。

壁に積まれた死体の…あの中には名簿で見た少年の兄も、カイルの友人も…シムも居なかった。

ほっとした所で、無事避難できたとは限らないが…。


バンッ!


何かが俺の横…壁に叩きつけられた。

それが落ち、ぐちゃっと言う音がする。

あらぬ方向に曲がった四肢が、一瞬ヤツの幼体に見えたが…人間だ。


「アイツ…死体を投げやがった」


ベッドの上に居た化け物がこちらを向いて、下に転がる死体を器用に足で突き刺し、振りかぶって投げてくる。

奥にあるベッドの上の方へ、足を延ばしては突き刺す。

そして、俺に向かって…投げた。


辛うじて避けると、投げられた死体が床に落ちる。

化け物がにちゃり…笑った様な気がした。


銃を構え、照準を合わせる。

コイツは頭を狙うのが一番いい。

しっかりと両目で狙いを定め、撃とうと引き金を引きかけた所で…また死体を投げられた。

多数ある脚の先に、次々と死体を補填していく…。

俺よりも持ち球が多そうだ。

逃げた方が速いかもしれないと、銃を下げ廊下に走るが…次に投げられた死体が、扉と化け物間の隙間を塞いでしまった。


「全てが…後手に回っている…」


死体を脚に突き刺しながら、こちらに近づいてくる。

ヤツから離れるには、もうドックへの道を諦めるしかないと思えた。

いや、諦める以前に投げられた死体で、すでに道は絶たれている。

あれを退けて進むには…時間が掛かりすぎて追いつかれるのがオチだ。


一縷の望みをかけて、本館へ…行くしかないか。

進行方向を変え、階段に向かおうとする。

獲物が逃走を図る事に気付いた化け物が、速度を上げた。


パンッ!パンッ!


二発、お見舞いしてやる。

一発はヤツの脚に当たったのか跳ね返った音がしたが、もう一発は目に当たったらしく、怯んだ。

その隙に一直線、廊下を走る。


必死に走る俺を、何かが追い越して壁に当たり…死体の山の仲間入りを果たす。

片腕の無い、死体だった。


「ちっくしょう…」


頭がカッとなる。

怒りに身を任せ、ヤツの方を振り返り、もう一発…もう二発…と発砲する。

銃弾は怯ませはするものの、ヤツの命を奪う事はなかった。

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