本庄 凛(ほんじょう りん)5-1
部屋でグジグジと泣き、身体中の水分がカラカラになった頃、部屋のドアがノックされた。
何も答えずにいると「失礼します」と言う声と共に女の人が入って来た。
カートのタイヤの音と、かちゃかちゃと食器の音がする。
「食欲はお有りですか?…飲み物だけでもどうぞ」
私が突っ伏したテーブルの、空いた所に次々と置いて行く。
「放っておいてください…」
そう、願う。
「いいえ、お父様から任せられていますので」
さぁ、と私の肩に手が置かれ、嫌々ながら座り直す。
そして、女性の顔を見て私は泣いた。
「生きてたの…?祥子さん…」
にっこりと笑う彼女の腰に抱きつき、子供の様に泣いた。
「死んじゃったかと思ったの…、怜や誠也も…無事か分からないし…あなたまで…戻ったって聞いて…」
彼女は黙って泣き喚く私の背を撫でてくれた。
「さ、少しは泣き止んで。そんなに泣いていたら目が腫れますよ」
そう言って、紅茶の入ったティーカップを勧めてくれる。
頷き、ティーカップを手に取る。
「本当に良かった…」
まだ目に涙を浮かべながら、暖かい紅茶を一口飲む。
第二基地で飲んだ紅茶とは茶葉が違うのか、味は違ったが、祥子さんの入れる紅茶は美味しかった。
そして、珍しく少し甘く…砂糖が入っていた。
疲れて居ると思って、気を使ってくれたのだろうか。
祥子の顔をみる。
にこやかな…でも、何か違和感。
「甘すぎたかしら?」
「ううん、そんな事ないよ、ありがとう祥子さん」
「そう、なら良かった。後…明日の事なのだけど…第二から来た人は検査があるの。朝、迎えに来るから起きて用意していてね」
「検査?」
「そう、検査。ここに服が用意されてるからこれに着替えて待っていて。そうそう、その服も着替えて欲しいの」
祥子さんはカートの下から真っ白い服と青い服を出した。
「白い方が朝で、青い方が今ね」
青い方を受け取り、着替える為にバスルームの方へ行く。
「待って、申し訳ないのだけど、そこで着替えて貰える?」
そう言ってテーブルから少し離れた所を指差す。
目の前で着替えるのは恥ずかしかったけど、仕方ないと言う。
「後、脱いだ服はこれに入れてちょうだい」
脱いだ服を渡された袋に入れて、青い服を着る。
何だかシンプルなワンピースタイプの服で、フリーサイズなのか大きかった。
「じゃ、また明日」
そう言って彼女は出て行った。
「…もう少し再会を喜んでくれても良いじゃない…」
独り言を呟く。
でも、こんな状況に彼女ら隊の人達は皆、慣れているのかも知れない。
ぐぅ…。
少し安心したのか、お腹が鳴った。
テーブルにつき、フォークを持つと、少しだけ食べ始める。
怜や誠也も無事なら良いな…。
窓の外には月は無く、星だけが薄く光っていた。
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