アンドレア・エルフローレン3-5
「1人が引き付けて、1人が医務室へ…1人が滝中君とここに残る…それしか無いだろう」
カイルが進める。
「では、俺かジャンが引き付ける役と医務室に鍵を取りに行く…か?」
「俺…出来るかな…」
ジャンの弱気な声がした。
そう、弱気でいられると困ると激励するが、命が掛かっている…そうなるのも無理は無い。
「もしくは陽動2人で滝中君と1人が医務室に…か」
カイルの案にジャンの顔が「足手纏いと?」と言う。
「その場合、お前は俺と陽動作戦側だ」
『足手纏いはお前もだってな』
「…わ…分かってる…」
『本当かねぇ…』
「しかし、あまり彼を危険に晒したくは無いが…」
そうするしか無いか?と考えあぐねて居ると「一つ質問良いですか?」と彼が声をかけて来た。
3人共、彼を見る。
「あの、ドックの所にある扉の開閉装置はどこにあります?」
ドックと廊下の間にある扉を指差した。
「ここでも操作出来るはずだ」
「扉を閉めれば、ドックの中に居るのはここに来れないと思います」
「音で寄って来るぞ?それに俺達の目的もあっちだ」
少年の発言に、ジャンがハッキリと拒否感を表す。
俺達には気弱なのに…。
「何か案があるのかい?」
カイルが発言を促し、少年が話し始める。
「まず、ドックと廊下の間の扉を閉めます。音に反応するので扉に近寄ってくれるかも知れません、挟めたら良いですが、無理でもこちら側に居る奴一匹です。それを階段側に誘き寄せ、その間に誰かが医務室へ鍵を取りに行き、取った後ここへ戻り窓からドックへ…」
「ドックの奴が来たらどうする」
ジャンが突っかかる。
「動きを見て居ると…アイツらは遅いです。扉の開閉がだいぶ遅いなら間に合うかも知れませんが…」
彼の言う通り、ドック内に居る奴らの動きは鈍かった。
廊下に居る奴よりもずっと。
カイルが思い出したかの様にエリオットの鞄を漁る。
手に取り出したのは…スイッチを入れると音が鳴るおもちゃだった。
「さっきライトを探した時、見たのを思い出した。…あいつ、いつも持ってた…」
「それをここから投げれば、陽動出来るな」
細かな事は臨機応変、対応していく事にして、大まかな筋が決まった。
カイルと少年、ジャンが休憩室で誘導と待機。
俺が…鍵を取りに行く。
『そんなに離れたいのか?』
そうじゃない。
逆だ。彼の声を聞くと…。
全てを受け入れて言う事を聞きたくなる。
『その割には避けるじゃねぇか』
そうだ…怖いんだ。
『怖がる理由は何だ?』
怖い…何故…。
『お前の卑しさが露呈するのが怖いのか?』
違う。
『じゃあ何だ』
…何もかもを捨てて…全て…。
それが…怖い。
『変態野郎が…子供だぞ?男だぞ?』
違う!そういう意味じゃない!
俺は準備をしながら3人に目をやる。
そう、そんな意味じゃない。
ただ彼に…生きてて欲しい。
カイルやジャン…俺よりも…。
何かが…加害性と希死念慮が、俺の中にはある。
それが戦闘に出る度に強くなっている気がする。
周りは評価してくれるが…。
裏を返せば、それだけ殺しただけだ。
『分かってんじゃねーか、人殺し』
ヴィーーーー
重低音と共に扉が閉まり始めた。
ドック内に居る奴らが扉の方へ移動するが、奴らが来る前に扉は閉まった。
…廊下のアイツの半分を挟んで。




