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この話のタイトルは君がつけろ  作者: 樋口 涼


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10/200

???

動物の死の描写と残酷な描写があります。

苦手な方はご注意ください。

俺は気が立っていた。

長い長い戦争の、戦いの繰り返しで嫌気がさしていた。

昨日も一昨日もそのまた前も、俺は戦闘機に乗る。

乗ったら街を破壊し、「アレ」を撃ち殺し、人々を巻き添えに成果を上げる。

何度も何度もだ。


帰ってドックへ行けばまた新しい武器が追加され、より正確でより強力な武器が装備される。

俺に休みはなかった。


今日も3度目の出撃で、辟易しながら操縦席に座る。


「出撃の準備をしてください。」

「出撃準備完了。」


機械的な女の音声が流れ、機体は発射された。


「11エリア、殲滅まで後16体…残り15分。」


女の音声が流れ、ガッガッと電波が悪い事を知らせつつ無線の音が入った。


「…アン…ド…。聞こえるか?…ア…。」

「やぁ、シム。聞こえてるさ。気分はどうだ何て分かり切った事は聞くなよ?」


俺は少し陽気に聞こえるように声を出した。虚勢だ。


「あと…15分ら…しい…行け…うか?…。」

「そうだな、周辺には家しか見えないが…、中に隠れているかもな」

「…ガッガ…。」

「シム?」

「…電波が…悪い…な…ガッガガ…OK…そっちは…任せ…た。」

「了解」

「…無線…通じ無…かも…し…し…。また…ドックで…会おう。」


ブツッと音をてて無線は切れた。


あいつ(シム)め。フラグ立てて無いだろうな…」


俺は旋回しそこそこに家が密集しているポイントへ来た。

装備された爆弾を落とす。

ど派手な音と爆炎、そして風圧がきた。

機体は何の影響もなく飛び、大きく旋回する。

仕留めそこなった奴を機関銃で打つ為、指示を変える。

もう一度爆撃した場所へ戻り、高度を下げた。

犬がヒョコヒョコと歩いていた。


「犬…?」


爆撃に巻き込んでしまったのかもしれない。横腹から赤い糸の様な物が出ていた。


「俺が…悪いんじゃない」


俺は動物が好きだった。特に犬が。

なのに、巻き込んでしまった。


「俺は…悪くないんだ」


そう呟きながら、俺は銃口を犬の向こう側に向けた。


「俺は…悪くない」


犬の先に子供がいた。

犬はもう助からない気がする。ならば、一緒に楽にしてやった方がいいのではないか。そんな独りよがりの考えが頭の中に浮かんだ。

子供の元へ犬が辿り着いた時、俺は引き金を引いた。


「俺は良い事をするんだ。寂しく無いように二人で…逝け」


トタタタタタタッン!!!


機関銃の振動と射撃の音、そして着弾の音にかき消されながらも、小さく犬の鳴き声が聞こえた気がした。

射撃するほんの3秒前、抱っこを嫌がる様に暴れ、犬と子供が離れた。俺にはそれがまるで、犬が子供を身を挺してかばったかの様に見えた。

子供が犬に再度近付いた時、引き金に力を込めた。


「任務完了です。速やかに帰還してください。」


女の声がした。


「お疲れさまでした。」


戦闘機は自動帰還モードへ入り、旋回を始める。

操縦桿から手を離した俺は、破壊された街並みを見下ろしながらさっきの場所を探した。


「俺は悪くない」

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