プロローグ
目の前に、白く何もない空間が広がっている。
おかしいな。俺はさっきまでスーパーで買い物してて、帰る所だったと思うんだけど。
………確か道を歩いてる時にカズ兄から電話がかかってきて、出ようとしてスマホの画面見てたら車がこっちに突っ込んできたんだ。もしかして俺、轢かれて死んだ?
これはあれか、ラノベ定番の展開なのか。異世界転生とかしちゃうやつ?転移とか召喚のパターンもあるよな。
状況を確認しつつ現実逃避にくだらないことを考えていると、視界に二つの人影が入ってきた。徐々にこちらに近づいてくる。あ、俺の方もあっちに近づいていってるのか?地面も背景もないからよくわからない。
一人は腰近くまで伸ばした黒髪を無造作に束ね、魔法使いのようなローブを纏っている。
静かにしていれば知的そうな出で立ちだが、手足をじたばたさせているのでそうでもないのかもしれない。俺もパニック起こしそうだから気持ちはわかるよ、その慌てようを見たら冷静になったけど。
もう一人は何というか、キャンプに行くような服装だが全体的に薄汚れていてぼろぼろだ。遭難でもしたの?
こっちの人は若干怯えつつも、こちらをじっと見つめて警戒している感じ。俺ともう一人を訝しげに観察している。
とりあえず二人とも明らかな殺意とかがなさそうなのは安心材料かな。魔法使いが持ってる魔法の杖っぽい何かとか、キャンプ服の人の腰についてるサバイバルナイフとかは気にしてはいけない。まだ俺に向けられてないから大丈夫だ、多分。いざとなったら蹴り倒す。
今の状況をラノベ的な展開に当てはめるなら、俺達は三人とも呼ばれた側とか召喚された側っぽいんだけど、呼んだ人はいないのかな。そもそも誰にも呼ばれてなんかいないのか?目の前の二人も狼狽えてるから知らないだろうし………。
って、ごちゃごちゃ考えてても仕方ない。もう少し近づいたら話しかけてみよう。
お互いの距離がかなり近づいてきて、姿形がはっきり見えるようになってきた。聞きたいことは色々あるが、まずどうしても気になるのは二人の顔。これはきっと、お互いに同じことを思っている。
それぞれ少しずつ雰囲気は違うがあれは………
「…………俺?」
そう呟いた瞬間、強く身体が引っ張られるような感覚と共に視界が暗転した。
このお話は未完結のままで終わっております。
ご了承の上でご覧くださいますよう、お願い申し上げます。