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バグボット  作者: 白水 豆樹
1/1

バグ人間





「はあー、もうここに来て1000年か」





のどかな村の川で釣りをしている

黒髪の男性。

竿が反応しているのにも関わらず

ぼーっとしながら只々川魚にエサを

与えている状態になっている

すると、そこに屈強な見た目をした

好青年とダーク感満載の風格がある三つ編みの女性が話し掛けてくる。



「才賀さん!ここにいたんですね。

早く行きますよ!というかこの馬鹿魔王と本当に旅をしなくちゃいけないんですか?」


才賀に困り果てた顔しながら時折、

隣にいる三つ編みをした女魔王を睨む好青年。

そこに怒り口調の女魔王が

口を開く。



「才賀!!このクソ勇者になんでこんなこと言われなくちゃいけないの?!!

才賀のお願いじゃなければこのクソ勇者今すぐにでもぶっ飛ばしてやるのに」


ものすごい剣幕で好青年勇者を睨む三つ編み魔王。


二人が睨み合いをしている中

俺はため息をつきながらまだ釣りを続けていた。

俺はとあるゲーム世界に囚われたしまったのだ

よくある異世界転生物だ

しかし、今回は事情が違う

俺はバグとしてこの世界に来ちまったんだ。













世界中の70%がプレイしていると言われている伝説のゲーム



《“グランド レイン”》



永きに渡り

オンラインゲームの頂点の座に君臨しており、

その王道ストーリーや

作り込まれたやり込み

忠実に描かれた世界感は他のオンラインゲームでは味わえない物とされている



人々から熱狂されたこのゲームは

今、新しい革命を起こすと言われている

大型メンテナンスに入る為

しばらくこのゲームが出来なくなるって言う訳だ





「ふー、今日はレインの大型メンテナンスか。」



俺は才賀 霞32歳だ。


しがないサラリーマンで

唯一の楽しみはこのオンラインゲーム

グランド レインをプレイすることだ。



しかし栄光を築き上げたこのゲームも

定期アプデやメンテじゃなく

しっかりとした大型メンテナンスに入ることとなるのだからな。

オマケに今回の大型メンテナンスの詳細が一切分からないという有り様だ。

一体全体何が変わるのかも伏せられたままという訳だ。



「あぁ~、明日から何を糧に生きればいいかわからねえよー」



俺はグランド レインのタイトル画面のまま机にうなだれる。



他のゲームでは何か物足りないし

勇者が魔王を倒すこともあれば

魔王が勇者を撃退する場合もある

それぞれの分岐で全てが変わるストーリー。1日12時間連続でプレイしても

クリアするのに約3年かかるという

途方もない長編。

しかも、クリア後の

周回プレイすれば違う勇者、

違う魔王が出てきて一からまた別のストーリーを楽しめるという鬼畜仕様

いや、全く最高だったな。



時刻は23時30分



確かメンテナンスは0時からだったよなあ


せっかくゲームを開いちまった訳だし

俺が必死に集めた称号の数々を拝めますか!



専用ゲーム器具を身に付け

ゲーム世界に飛び込む俺





ここは

雨の歴 540年


ロブルスト共和国


別名 勇者の旅立つ国



懐かしいなあ

ここの街の飯が美味いんだよな!

俺は自宅に向かいながら出店を見て歩いている。

するとそこに威勢のいいおばさんが

俺の方を見ながら声をかけてくる。


「いらっしゃい!火豚のとんかつ美味いよ〜!」


いつものおばさんが出店を構えていた。


「このおばさんも変わらねえな。

おばさん!とんかつ一つ!」



「あいよ!」



そう言うとおばさんは軽くとんかつを二度揚げしてくれている。



メンテナンスが終わったら

このとんかつもここにいるおばさんも

変わるんだよな



俺は懐かしさや風情が消えてしまうかもしれないということにどこか寂しさを感じている




その時、目の前がブラックアウトする



気付いた時には体がおかしくなっていた



バグだ


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