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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第六章 国連軍発足
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88 国境なき連合軍

88 国境なき連合軍



ーーカスミガ砦サイドーー


 深夜から始まった戦いであったが、

朝陽が昇りはじめる時間帯になった。


 魔王軍兵は将であるエルクを討たれ、

また主戦力であった死剣の4人も討たれていた。

 しかし、応援を要請したヒポスドールたち

武の四天王の3人が駆けつけてくれる事を信じて

応戦していた。


 ルーローの死に悲嘆していたエルであったが、

朝陽を見て使命を思い出す。

 エルは砦を駆け上がり、屋上へと出た。

 そこには、兵士ではない裏方の人々が

待機していた。


エル「アレを使います!準備はできてますか?」


「イエッサー!」

「いつでもいけるぜ!」

「やっとアタイらの出番だね!」

「やっちまおうぜ!!」

「「「ウオオオオオオ!!!」」」


エル「部隊の後方を狙いましょう。

   味方に当たるといけない。


   アイツから行きましょう!Aー1から!


   行くぞ!

   これが、ヌルから教わって僕が改良した

  【アルキメデスの熱光線】だああ!!

   いっけええええええええ!!!」


 エルが指差す方向に、パラボナアンテナのような

物が向けられた。

 その表面には多数の鏡が貼り付けられていた。

 太陽光を集約し

反射した光が魔王軍兵に向けられた。



「ギャアアアアアアアア!」

「何だ!? アレは! 

 西の空に二つ目の太陽が!!」


 光が当てられた魔王軍兵は、突然発火する。

 魔王軍は東側から侵攻していた。

 太陽は魔王軍兵側にあるハズだが、

なぜか砦の真上にも太陽があり、

そこから放たれた光でヒトが焼かれている。

 魔王軍は再びパニックになる。


「くそ! 炎熱系の魔法か!

 しかしなぜ、今頃?」

「これほどの魔法兵を今まで隠していた?」

「いや、ネホンマツからの援軍か!」


魔王軍を統率していた兵たちは焦燥する。


「怯むな! しょせん単体攻撃だ!

 押し込め! 逃げても背中を焼かれるだけだ!

 ドワーフを滅ぼせ!!」


 魔王軍は熱光線を食らいながらも、

前進を続ける。


 エルは焦った。

 もう火薬や油など燃える物は尽きている。

 しかし、敵に恐怖を与えるような

範囲攻撃をしなければ、

押し切られてしまう恐れがある。


エル「燃えるもの。

   なんか激しく燃える物はないか!?


   はっ! ある! あるぞっ!!」


 エルは思い出した。

 自分で食事の用意の最中にくしゃみをし、

自身の毛に引火して

丸焼きになりそうになった事故のことを。


エル「兵士さん! 小麦粉と、片栗粉の樽を

   ありったけ、魔王軍の後方に

   落としてください!!


   前線に落とすと味方にも被害があるので、

   後ろでお願いします!」


 未だ最前線では魔王軍の精鋭と、

エッジ率いるオーリヤマの生き残り

+ドワーフ兵+マーボーの部下のケンチョー騎士団

が戦っていた。


 投石機により、食糧の粉が入った樽が

魔王軍の後方に落とされた。

樽が割れ、中の白い粉が舞う。


「ゲホッゴホッ!

なんだこの攻撃は!? 小麦粉か!?

目潰しか! ヤケクソになったか!!

かまわん!、突撃だ!!」


 熱光線により発火した魔王軍兵を中心に

大爆発がおこった。

 それは【粉塵爆発】と呼ばれるものであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーカイセイ城サイドーー


 ヒポスドールを撃破した5人は

人質であるフロを探した。

 3階の方を見上げると、

天井から大きな檻が吊るされているのが見えた。


ヌル「あれだな。早く救出して戻ろう。」


 5人は檻の中を見てギョッとした。

 その中には、まるで牛柄ビキニのような格好を

した、ダイナマイトボディの女性が

捕縛されていた。


ヌル「下着姿で放置するなんて、

   酷い事をしやがる!」


  (カバ野郎、わかってるじゃないか!

  グッジョブ!)


マーボー「こりゃ殺すのはもったいねえな。

     俺なら命を懸けて取り返すぜ!

     ガハハハハ! ピュイ♪」


 クルムはヌルとマーボーの目に

出血毒の風を注入する。

 悶絶する2人。


 レスベラがフロの手足の鎖を切る。

 うまーるはカーテンを切り、

フロの肩にかけてあげた。


レスベラ「大丈夫か? 寒いだろ。

     それと恥ずかしい目に遭って

     大変だったな。

     その気持ち、よくわかるぜ。」


 命を賭けた戦いで仕方なく

マッパになっていたレスベラは、

フロの気持ちが理解できるようだ。


フロ「ありがちょ! これなに? 

   寒くないから大丈夫だにょ。」


 フロは、うまーるがかけてくれた布を払った。


クルム「もしかして、いつもその格好なわけ?」


フロ「ほよよ〜。そうだにょ。

   これが私の正装だにょ。」


 うまーるは驚き、頬を赤くしている。


ヌル「よし、じゃあ視界に入っても問題ないな!

   捕虜を回収して戻ろうか!」


  (この人、光る蝶の人だよね?

  なんか話し方違くね? まぁいいか。)


 クルムは冷ややかな目でヌルを睨んだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーカスミガ砦サイドーー


 粉塵爆発と熱光線で苦戦を強いられる魔王軍。

 それでも退がる事なく進軍を止めなかった。


「「「ウオオオオオオ!!!」」」


 そのとき、カスミガ砦から大歓声が上がった。


「ドワーフ兵!全軍退がれ!」


 魔王軍の指揮を執っていた兵は呆然とした。


「なぜ? 優勢なのに退がる必要がある!?」


  ドスンッ!ズシンッ!


 魔王軍の兵達の前に、重い物が落とされた。

 それは、半分に割れたミョルニル、

キリンが使っていた如意金箍棒、

象が使っていた乾坤圏であった。


「魔王軍よ! コレを見ろ!!」


 それは、人間の声とは思えない

大音量の声だった。


 魔王軍兵が砦の屋上を見る。

 そこには磔にされた、ヒポスドール、

オシコーン、ネイシアの姿があった。


 大きな声の主はヌルであった。

 風属性の魔法を使い、

拡声器の要領で大きな声で話す事ができていた。


ヌル「好きな方を選べ!

   ここで戦って死ぬか、自国に逃げ帰るか!

   お前らの希望である、援軍は来ない!

   俺たちが討ち取った!!


   俺達【国境なき連合軍】は今後、

   魔王軍の本拠地に攻め入り、

   お前らを必ず討ち滅ぼす!!


   逃げる者は見逃してやる!!

   今日のこの話を、

   帰ってマハルポージャに伝えろ!!!」


 指揮を執っていた魔王軍兵は心が折れた。


「撤退!! 撤退だ!! 

 生きて戻り、魔王様に報告だ!!」


 魔王軍は退いていった。


 短いひとときであったが、人々は歓喜した。

 勝利に酔いしれた。


 魔王軍最強の部隊に勝利し、退けた。

 時間経過とともに被害状況が明るみになり、

歓喜ムードから一転、哀悼モードとなった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ルーロー含む戦死者は、一斉に荼毘に付された。

 燃え上がる炎と灰、上昇気流に乗り

飛び上がるランタン。

 人々はそれぞれ、死者に思いを馳せる。

 エルは初めて見るスカイランタンに

目が釘付けになっていた。

 空に昇るランタンをずっと見上げていた。


 ルーロー戦死の報せは、

ヌルたちを悲しみに包んだ。

 特にレスベラの悲しみようは大きかった。

 ルーローはレスベラにとって初めて出会った、

全力で渡り合える二刀流の剣士であった。


マーボー「俺より先に行きやがって。

     肩が重いじゃねえかよ。

     バカヤロウ……。

     エルを守ってくれて、ありがとうな。

     自慢の弟分だぜ。」


 マーボーは涙を流しながらも、

 ルーローに賛辞を送った。

 マーボーは泣きじゃくるエルを肩車して

エルに語りかける。


マーボー「ルーローがアッチで胸を張れるよう、

     一緒に頑張ろうな。」


エル「うん! 約束したんだ!

   ルーローさんと。

   みんなが驚くような、役に立つ物を

   たくさん作るよ!


   そして必ず言うんだ!

   今の僕があるのは、ルーローさんという

   偉大な英雄がいたからなんだって!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  翌日


 カスミガ砦の会議室には、

国連軍各種族の代表と主要人物が勢揃いしていた。

 黒エルフ国からはレイカ、アカマル、ヘンゼル。

 白エルフ国からは、こまちゅ、アローヒ。

 スカディ代表の、ほえほえ。

 人魚国からはヨーリー、ともっちょ。

 ナミノエからはソナ、ゆい、ぱとか。

 ドワーフ国からはムラ、ヨルグ、イカリング。

 オーリヤマからはエッジ、フロ。

 その他、ヌル、クルム、マーボーであった。


 ヌル達は生き残った魔王軍兵の重傷者を救護し、

操作系スキルで情報を聞き出した。

 その結果、リヴァイアサンは療養中で、

すぐには人魚国に侵攻してこない

であろうことが判明した。

 ヌルは転送魔法を使い、

各国のメンバーを集めて、

今後のことを話し合った。


 各国、一致団結して魔王と戦う事が決定し、

国連軍総督にはマーボーが就任した。


 マーボーは総督にヌルを推した。

 しかしヌルには、やりたい事があった。

 総督の座はヌルからマーボーに

お願いする形となった。


 ヌルは焦っていた。

 最終決戦間近となった今でも、

ナナを復活させる目処が立たない事。

 それとレスベラとクルムの解呪方法が

見つからないことであった。

 ヌルは残りの十至珍宝を探す旅に出たい

と申し出て、これが了承された。

 目的地は、ほぼ未踏である秘境

〈シロイナワ高地〉である。


 そこは魔大陸と呼ばれる大陸にあった。

 乾季が長く、その厳しい自然環境は

生物が生きるには過酷すぎる地であった。

 屈強な竜人族や鬼人族が住んでいる地だ。

 子供を奴隷として売り、

外貨を獲得している集落もあるという。

 その周辺は広大な砂漠が広がり、

砂漠を越えれば広大な川と熱帯の密林が広がる。

 標高1万メートルのテーブルマウンテンの麓は

毒の沼地や有毒ガスが行手を阻む。

 標高が高くなると氷に覆われ、

雪崩の危険があるという秘境であった。


 予想される全ての困難に対処するため、

ヌルは計画を練った。

 時おり、何かを閃いた

エルの相談に乗ったりもしていた。


 エルはヌルとドワーフの工房を

忙しなく行き来していた。

 その様子を見ていたマーボーとムラも

興味を持ち、

軍事作戦は練られていった。


 レスベラ、クルム、うまーるは

ヌルが書き出した物の準備を始める。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 さらに1日後、出発の時が来た。

 メンバーはいつもの旅の仲間の4人であった。

 マーボーが見送りに来てくれた。


マーボー「一緒に行けなくてすまないな。

     気をつけろよ。

     ナナを救う方法、必ず見つけてこいよ!

     ピュイ♪」


ヌル「はい。行ってきます。」


 4人が行こうとすると、エミーが走ってきた。


エミー「はぁっ、はぁっ。間に合った!

    コレのこと、忘れてないかい?

    ほら、持っておいき!」


 エミーが持ってきたのは、

レスベラが預けていた刀、七星流転であった。


レスベラ「おおおおお! もう出来たのか!

     ありがとうエミーさん!」


 レスベラとエミーが抱き合う。


エミー「大変なとこに行くんだって?

    生きて帰ってくれよ!」


ヌル「ありがとうございます。

   ムラ王様から様々な支援を頂きました。

   きっと成功させますので。」


 4人はカスミガ砦をあとにした。

 4人はムラ王からラクダのような動物、

コブダを4頭貰っていた。

 砂漠に強い動物らしく、背中にコブがあった。

 コブダに乗り、ミヤモト村を目指す。

 ミヤモト村の近くに隠した船まで行き、

船に乗った。

 先ずは船で南下し、魔大陸へと上陸した。



 乾燥した草原を、ムラが用意してくれた

コブダで走り抜ける事3日、砂漠が見えてきた。


 特に魔獣に襲われることもなく、

旅は順調であった。


 砂漠を6日ほど進むと、やがて大きな川が

見えてきた。

 川の向こうは緑が広がる密林であった。

 出発時、ラクダに積んでいた積荷の水と食糧は

目に見えて減っていた。


 ヌルはどこを通れば最短で川を渡れるか、

と考えながら辺りを見渡すと、

遠くに人の集落のような物を発見した。


 最低限の保存食は持っているものの、

補給ができるなら補給するに越したことは無い

ということで4人は集落に立ち寄ることにした。


 4人が集落に入ろうとしたところ、

1人の鬼人族戦士が近づいてきた。

 とても貧しい村にいるような

村人の出立ちではなかったため、4人は警戒した。


 戦士風の男が話しかける。


男「この村に何用だ!

  この村はマハルポージャ様の管理下にある。」


ヌル「魔王軍が支配する村か。 

   みんな、村を解放する為に戦おう。

   話を聞きたいから、殺さないように頼む。」


 レスベラが戦士をKOしたところで、

大柄な鬼人族の男が駆け付けた。

 どうやら、この村に駐留する

魔王軍の責任者のようだ。


 男は大剣を構え、名乗りを挙げる。


大男「私はマハルポージャ様配下の兵隊長オウガ。

   レジスタンスの者どもと見受ける。

   例え死しても、

   この村に手を出すことは許さん。

   いざ、尋常に勝負!」


ヌル(何から守ってるんだ……?)


レスベラ「アタシはタカキタのレスベラだ。

     アンタに恨みは無いけど、

     魔王の配下なら見逃せない。行くぞ!」


 レスベラは2本の刀を抜き、

オウガに斬りかかる。

 火が出るように切り結ぶ2人。

 手数で圧倒するレスベラに

オウガがやや押され気味だ。


 オウガは悟った。

 無傷で勝つのは不可能であると。

 捨て身の攻撃に出るオウガ。

 殺してはいけないという制約のせいで

怯むレスベラは受けに回り吹き飛ばされる。


ヌル「レスベラ!

   そいつは強い、手加減しなくていいぞ!


   クルム、頼む!」


クルム「はぁ。

    まさか、敵に強化魔法を

    使う日がくるとはね。」


 クルムは敵であるオウガに、

硬という文字を刻む。

 ヌルもオウガに守備力上昇の魔法をかける。


 全力のレスベラがオウガを斬り倒した。


 オウガを縛り、

治癒の魔法をかけるヌルとレスベラ。


 すると、4人に向けて石が降り注いだ。


 周りを見ると、

村人たちがヌルたちに向けて石を投げつけていた。


ヌル「これは?」


クルム「そういうことね。」


うまーる「わたしたちは敵じゃないんだよ!

     石投げるのやめてほしいんだよ!」


レスベラ「なんか、アタシに来る石多くね!?」


オウガ「なぜ生かした。殺せ。

    ここの人達をどうするつもりだ。

    この村の人間を兵士にしたところで、

    マハル様に歯向かう者はいないぞ。

    私とシャデ(もうひとりの兵士)を

    殺せば満足だろう?殺せ。」


ヌル「勘違いがあるようだな。

   俺たちは村の人をどうこうしたりはしない。

   旅の途中で立ち寄っただけだ。

   すぐに出て行く。


   みなさん!すぐに出て行きます!

   それと、この2人を殺したりはしません!

   攻撃をやめてください!」


 ヌルは村人たちの中に、

体調がすぐれない者がいることに気付く。


ヌル「この村は疫病に苦しんでいるのではないか?

   対処法はわかっているのか?」


 ヌルはオウガに問う。


オウガ「この地域は伝染する呪いに苦しんでいる。

    今のところ、シャーマンの奇跡の祈りで

    持ち堪えている。」


ヌル「シャーマンの奇跡の祈りだと!?

   お前はそれを実際に自分の目で見たのか!?

   苦しんでいる人に必要なのは、

   そんなものじゃない!

   適切な対処療法だ!


   そして原因を究明し、

   予防に努めるのが

   お前がやるべきことじゃないのか!!」


オウガ「なんだというのだ!

    お前なら何か出来るというのか?

    お前は医者なのか?

    我々の医者でも匙を投げた問題だ!

    シャーマンにすがるしかないのだ!

    余所者は口を出すな!!」


ヌル「俺は医者じゃない。

   けれど、俺なら魔法で

   薬を作れるかもしれない。

   好きにやらせてもらうぞ。


   お前に"村人を助けたいと思う気持ち"が

少しでもあるのなら、知っている事を話せ。」


 オウガは少し考えた後、重い口を開いた。


 その内容は、最初は倦怠感と熱がでること。

 そして嘔吐や下痢、全身の痛みが出て、

重篤な者は

最終的に全身から出血して死に至ること。

 この呪いは、エンヴァイラ川流域の集落にのみ

見られることから、エンヴァイラ墳血熱

と呼ばれているということであった。


 ヌルはこの話を聞いて、

背筋に冷たいものが流れた。


ヌル(そんな。まさか、これは。この症状は……

  エボラ出血熱!!


  罹患者はすぐに動けなくなり

  死んでしまうために

  パンデミックにならない、と言われている、

  最強の毒性を持つウイルス性感染症!!!)








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