83 4銃士の意地
83 4銃士の意地
カイセイ城2階西区では、
ヌル&マーボーペアが、魔王軍〈武の四天王〉の
一角、キリンの獣人オシコーンと戦っていた。
マーボーをサポートしながら、
ヌルは鑑定魔法でオシコーンの武器を見ていた。
ヌル「マーボーさん! 奴の魔法具の能力は、
遠近感の錯覚。それと不可視の棍棒が
見える棍棒の先に付いている!
つまり、見える長さよりも長い武器を
さらに長さを実際より短く見せてるんだ!」
オシコ「ほう。しかし、わかったとて、
対処できるのかね?」
ヌル「なにも、視覚の化かし合いなら、
こっちにもできる事はあるんだぞ。
ミラージュ・ヒートヘイズ!」
ヌルは蜃気楼の魔法を使った。
ヌルとマーボーが4人に分裂し、
なおかつ音声を出しながら
オシコーンに襲いかかった。
オシコーンは激しく動揺した。
マーボーの突きが4倍に見え、
なおかつ4人になったヌルが
それぞれ自分の頭、首、胸、足元に向かって
斬りかかってきたのである。
オシコーンは体にチカラを込め、
マーボーの突きは受ける覚悟を決めた。
そして向かってくるヌルの始末にかかった。
オシコ「多少の被弾は致し方ない。
先ずは術者を叩く!」
頭に向かってくるヌルには
角を使い頭突きで対処。
胸と首に向かって来るものには
棍棒の前後で対処した。
同時に攻撃できるのは三体。
確率でいえば75%。
高確率でヌルの本体を潰せる計算であった。
足元のは幻覚に違いないと
無視をすることにした。
しかし、ヌルの本体は足元であった。
ヌルは下から手首のスナップを効かせ、
最小限の動きで、
オシコーンが棍棒を握る手を狙った。
ヌル「剣道【出鼻小手】」
ヌルは下からオシコーンの手首を斬り上げた。
オシコーンは棍棒の大回転を支えられなくなり
体勢を崩す。
さらにマーボーの突きを受け、たたらを踏む
オシコーン。
その一瞬の隙をマーボーは見逃さなかった。
マーボー「俺流槍術【破竹】」
マーボーの鋭い踏み込みに加え、
伸びる槍がオシコーンを一心に突いた。
オシコーンは被弾を覚悟し、
全身にチカラを入れていた。
しかし、マーボーの突きは伸び続け、
カイセイ城の頑強な城壁を突き破っても
伸び続けた。
さすがのオシコーンもその圧力には耐えられず
失神し、2階から城外へと落ちていった。
穴の空いた壁から、
落ちたオシコーンを見るヌル。
動かないオシコーンを見て、勝利を確信した。
ヌル「奇襲に失敗し、
予想外に時間がかかってしまった。
早く3階に行き、3人と合流しよう。
おそらくカバは大きな音のせいで
襲撃に気付いてる。」
マーボー「そうだな。
しかし強くなったなぁ、ヌル。
あのゴブリンと泥試合してた
小僧がなぁ。
時が経つのは早いもんだぜ。ピュイ♪」
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ーーカスミガ砦サイドーー
死剣の4人と激しく交戦する4銃士。
死剣ウルミーvs銃士カズチョン
ウルミーは4本のリボンのような束ねられた剣を
両手に持ち、8本の刃でカズチョンを斬りつける。
カズチョンは巨大な盾を振り回し、
なんとか敵の攻撃を防ぐも、
疲労の色を隠せないでいた。
一方、魔力が乏しい戦士タイプのウルミーは、
必殺技の使い所を悩んでいた。
カズチョンの顔色を見て勝負に出る決断を下す、
ウルミー。
剣に魔力を込めると、剣は魔法の風の力で
自由自在に動かせるようなった。
8本の刃が、盾を回り込むように動き、
盾の裏にいるカズチョンの背後に突き刺さる。
被弾を覚悟したカズチョンも、
奥の手を使う覚悟を決めた。
カズチョンは両の踵を強く
地面に叩きつけるようなステップを踏んだ。
踵に仕込まれた爆薬が起爆し、
爆発的な推進力を得たカズチョンは
ウルミーにシールドバッシュをかました。
背中に8本の刃を突き立てられた
カズチョンは倒れた。
吹き飛ばされたウルミーも
倒れて起き上がらない。
砦上層で見ていたエミーが解説をする。
エミー「あれはカズチョンの奥の手、
弾丸タックルだね。
一度きりの大技だ。
使い所が上手いね。
もう少しその頭を、
兵器開発に使えたらいいんだけどね。」
エルは手で顔を覆っている。
倒れたカズチョンの元に衛生兵が駆けつける。
死剣マカナvs銃士イカリング
黒曜石の刃がたくさん付いた巨大なノコギリ
のような木剣を振り回すマカナ。
イカリングは身軽な動きで躱し続けていた。
このままでは埒が開かない。
覚悟を決めたイカリングは銃を構えた。
ドバアアアアン!!
イカリングの銃が大爆発を起こした。
マカナは全身血まみれで倒れた。
そしてイカリングも倒れた。
エミーが解説を始める。
エミー「イカリングの
ペッパーボックス・ピストルはね、
理論上は24回連続で装填無しで
撃ち続けられるという銃なんだ。
だけどね、1発撃つとね、
チェーンファイアで他の弾の火薬にも
引火して24発同時に発射されるうえに、
暴発の衝撃が自分にも返って来る
という残念な銃なんだ。
やっぱり改良できてなかったね。
だから撃つのを躊躇ってたんだよ。」
エル「命懸けなんだね……」
ギルドの職員達が、
イカリングの暴発を見て走り出す。
イカリングの腹心らしき男が現場を仕切る。
「前衛は前へ! 敵の捕縛及びに、
イカリング様に敵を近づけるな!
ヒーラーはイカリング様の手当てを!」
暴発を想定していたのか、
的確な指示と迅速な対応であった。
死剣ダハルvs銃士ヨルグ
ボクシングのような
戦いを繰り広げるダハルとヨルグ。
間合いで劣るヨルグは傷だらけであった。
ヨルグは奥の手を使う覚悟を決めた。
命を引き換えに特攻をかける覚悟を決めた
ヨルグ。
その顔を見たダハルは、
ただならぬ殺気を感じ取った。
全力で防御しないと死ぬ、
そう感じたダハルは
ヨルグが繰り出す拳を両手で全力で受け止めた。
ヨルグの拳がヒットした瞬間、
ヨルグの右腕が大爆発を起こし、
手甲が大砲のように発射された。
至近距離で大砲のような手甲を喰らった
ダハルは吹っ飛び倒れた。
倒れたダハルは動かない。
ヨルグの右腕は肘から先が失くなっており、
おびただしい量の血が流れる。
これまでの戦いの傷でも多くの血を流していた
ヨルグは気を失い倒れた。
待機していたドワーフ兵が
ヨルグの救護に向かう。
エミーが解説を始める。
エミー「今のはヨルグの奥の手、飛拳。
手甲の中に仕込んだ爆薬を使い、
手甲を弾丸として撃ち出すというものさ。
命と引き換えにしてでも
戦わないといけない時のための
奥の手だね。」
エル「小型の大砲を担いで撃つとかじゃ
ダメだったの?」
えみー「その通りだよ。ほんとにバカな男だよ。
フィストガンに拘りたかったんだとさ。」
そのとき、ドワーフ兵が
エミーの元に駆け込んできた。
「エミー様! 負傷者が多く、
衛生兵が足りません!
如何いたしましょうか?」
エミー「アタシが行くよ。エル、アンタは
ここで大人しくしてるんだよ。
ちょっと行って来るね。」
エミーは兵と共に駆け出した。
死剣ブレイカーVS銃士アリー
間合いで勝るアリー。
対してカウンター型のブレイカー。
2人の睨み合いが続いていた。
他の銃士達が倒れていく姿を
視界の端に捉えていたアリーは覚悟を決め、
ブレイカーに斬りかかる。
ブレイカー「血迷ったか!死ね!」
アリーの剣を巧みに短剣で受け止め、刃を折り、
そのまま短剣をアリーの胸に突き刺すブレイカー。
アリーは宙に舞った折れた刃を素手で掴み、
ブレイカーの首に刃を突き立てる。
アリー「タダで命はやらん。貴様も道連れだ。」
ブレイカー「正気とは思えん。
たいした武人だな……。」
アリー「剣は折れても私は折れない。
悪いが、
背負ってる物の重さが違うのでな。
私は、国民の皆に支えられてるのだよ。」
両者共に、血を吐き倒れた。
死剣、4銃士共に全員が戦闘不能となった。
次々と倒れていく味方を見たエルは、
覚悟を決めた。
エル「僕にも、できるコトがあるハズだ。
僕も戦うぞ!!」




