8 広島風お好み焼きかよおオォォォォォォ!!
8 広島風お好み焼きかよおオォォォォォォ!!
ナーガが手を挙げて質問した。
ナーガ「ちょっと質問なんすけど、
邪神の指輪ってなんだべよ?」
防衛大臣のタスクが答える。
大臣「邪神の指輪とは、歴代の魔王に
受け継がれる闇のアイテムだ。
魔王が倒されると行方をくらまし、
また次の魔王が持っているというもの。
魔王に絶大な魔力を与えるらしい。
コレを奪えれば、魔王をかなり弱体化
できると考えられている。
不死と再生のチカラも失うと
考えられている。
これから、君たちはレベル上げをし、
スキルを強化して欲しい。
そして、魔王討伐作戦に必要なアイテムを
集めて欲しい。
先ずは森の薬屋【エルおじ堂薬局】
を目指し、回復アイテムの確保。
そして【光の水晶】と【ミスリル銀】という
2種類の素材を手に入れてほしい。
その素材を、王国が誇る魔法具職人
【ロカフィル】の元へ届けてほしい。
これらの作戦は、
絶対に魔王側に漏れるわけにいかない。
それ故に、この6人のみの小隊とする。
騎士団長マーボーと、賢者ギリー殿がいれば
野生のモンスター相手でも危険はあるまい。
頼んだぞ勇者たちよ。
それと、ギリー殿は魔王討伐隊の唯一の、
生還者である。
あの魔王と戦って生き残った唯一の人間だ。
色々と勉強させてもらうといい。」
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ー翌日。王都・兵士の訓練場ー
冒険の準備が始まった。
ヌルは盾と剣を。
まだチカラが弱いので小さめの盾と剣だ。
地方貴族の子息ナーガは、子供の頃から
剣の修行をしていたようで、剣が得意なようだ。
しかしスキル強奪を使い易いよう、
指が自由に使えるナックルの扱いと、
格闘術を習得することとなった。
王都の豪商の子息オニオは、太っている。
運動が苦手であった。
狙撃に向いたスキルを活かして、
弓を扱うこととなった。
男の新成人3人は、
騎士団長マーボーが修行をつけることとなった。
ナナは賢者から魔法を教わることとなった。
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ー基礎修行の合間・休憩中ー
ナーガのスキルが気になったヌルとオニオは
色々と試してみた。
しかし毎回ナーガは、
ヌルとオニオのパンツしか取れなかった。
ズボンそのままにパンツだけ抜かれている。
ヌル(どんな原理だよ……)
ヌルとオニオはナーガのスキルに【パンツ泥棒】と名付けた。
しかしナーガは認めない。
ナーガは毎回、
スキル使う度に「神の見えざる手!!」
と叫んでいる。
ヌル(女の子の下着獲れたら英雄だったのにな。
残念!)
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ー数日後・王都訓練場ー
訓練の様子を王と防衛大臣が
視察に来る事になった。
ナーガ「王様から何が獲れるべか?」
ナーガが、よからぬ事を企んでいた。
ヌル達はちょうど、昼食休憩中だった。
3人で作ったヤキソバを、
ヌルとナーガとオニオで囲んでいた。
ヌル「面白そうだけど、さすがにヤバくね?」
オニオ「財布の中のたくさんの金貨の中の、
金貨一枚だけとかなら神ンゴ」
ナーガ「それ採用!」
ヌル「採用って……。おま、……。
そんなコントロールできねえだろ!?」
オニオ「来たンゴ」
国王【オレダ・ヨオレ16世】と大臣【タスク】の
登場だ。
鑑定してくれた上級鑑定神官【キレイン】も
後ろに続く。
国王「どうだ? 戦闘訓練とスキルの強化は?」
ヌル「毎日励んでます!」
王はピクっと何かに反応したようだ。
国王「はげ……。 そうか、励んでおるか。」
ナーガ(神の見えざる手!)
ナーガは静かにスキルを発動した。
ナーガが掴んでいたのは、王の髪だった。
というか、髪というよりヅラである。
ヌル、ナーガ、オニオの3人は
石化魔法を喰らったかのように固まった。
国王「どうした? そんなに緊張せずともよいぞ。
普段どおりの訓練を見たいのだ。」
真の姿となった王がニッコリと微笑む。
ヌル(ノオオオオオ!!
王様のカミはウソノカミ!!
ヤベエよ、地肌に王冠載ってるよ……。
バレるぞこれは!)
ヌルは穴があったら叫びたい気持ちだ。
しかし王は気付かない。
大臣も神官も新人3人を見ている。
ナーガは咄嗟にヅラをヤキソバの上にのせる。
しかしカモフラージュにはなっていない。
ヌルはオニオを肘でつつく。
オニオにだけ聞こえるように、小声で囁く。
ヌル(((この状況をなんとかできるのは、オニオ!
お前だけだ。
国家機密を守れ!!)))
オニオは小さく頷いた。
オニオが止められる時間は1秒だけ。
しかし1秒は短い。
だがしかし、この男がやらねばならない。
オニオは勢いよくヅラを掴んで時を止めた。
次の瞬間、ヌル達は奇跡を目撃する。
なんと、王の王冠の下にヅラが戻っていた。
そして、頭とヅラの間にヤキソバもある。
ヌル(広島風お好み焼きかよオオオォォォォ!!!)
王冠とヅラを持ち上げ、
ヤキソバのみを除去する。
そしてヅラと王冠を戻す。
これを本人に気付かれないように、
決行しなければならなくなった。
3人のミッションは更に難易度を増した。
ヌル(詰んだ……か……。)
青くなる3バカ。
ナーガがヤケクソでスキルを使う。
ナーガ(神の見えざる手!)
ナーガの手には、入れ歯が握られていた。
ナーガは咄嗟に手を後ろに組む。
大臣「ふぁ!?
ヒレハ、ホホヒタ〈入れ歯落とした〉」
大臣の異変。
そしてナーガの顔色にも異変が。
ナーガの手を見たヌル。
ヌル(コイツ、やりやがった!
同じ相手から、
2回取れないの知ってただろうに!)
大臣の入れ歯探しを手伝う王と神官。
今、皆の注意は地面に向いている。
ナナ「王様! ごきげんようございます!」
ここでナナが笑顔で登場。
これには王様もニッコリである。
国王「ナナ君、勇者の重圧は大変かい?」
ナナ「魔王は怖いけど、
みんながいるから大丈夫です!」
ヌル(はっ!!
いける!
なんとかなる!!
ナナがいればイケるぞ!!)
「王様!
ナーガとオニオはここ最近、
組み手に励んでおりました!
成果を見てやってもらえないでしょうか?
2人はずっと、王の期待に応えたい!
と、申しておりました!」
ヌルは起死回生の策を思いついた。
事前に聞いてなかった組み手を振られ、
困惑するオニオとナーガ。
ナーガ(何を言うだよ!?)
オニオ(組み手!? やったことないンゴ)
ヌルは王達から見えないように、
目をパチパチさせて合図を送る。
ヌル(時間を稼げ!!!)
ヌルが何か策を思いついた事を悟った、
ナーガとオニオ。
よくわかっていないが、
ヌルに合わせる事にした。
ナーガ(仕方ねえ、やるべ!
オニオ(早くヤキソバ食いたいンゴ……)
国王「そうか、それは楽しみだな。」
ナーガが、それっぽい構えをする。
ナーガ「精神統一。 はああああああ……」
オニオも太極拳のような動きを始めた。
オニオ「心頭滅却! ンゴゴゴゴゴゴ……」
ヌルは小声でナナに話しかける。
ヌル(((詳しい事情は後だ、
王様の髪と頭の間のヤキソバを
缶に入れて欲しい。)
ナナ(((うん。王様の髪……? わかった!)
ナナはヌルの言うことの意味がわからなかった。
しかし真剣な表情のヌルを見て、
手伝わなければと思った。
ナーガ「百川帰海〈ひゃくせんきかい〉
……フオオオオオオ」
オニオ「山河襟帯〈さんがきんたい〉
……ンコオオオオオ」
ナーガとオニオは気を練っている。[演技]
ナナが祈りを捧げると、王の頭のアレが消えた。
成功を確信していたヌルは、
意外な事態にまたもパニックになる。
ヌル(あああっ!)
ヌルの顔を見て、
ヌルの視線の先の、王を見たナナが気付く。
ナナ(なんで、王様の頭にヤキソバがあんの!?)
ヌルの小声はあまりに小さく、
ナナにはこう聞こえていた。
「詳しい……後で……王様の髪……缶に入れて……」
王のヅラが消えて、
ヤキソバがモロ出し状態であった。
王のヅラは缶に封印されたようだ。
ナーガとオニオも王の異変に気付く。
ナーガ「ゲボッ!? ゲッホゲッホ……」
オニオ「ゴボッ!? ゴッホゴッホンゴ……」
突如苦しそうな表情を見せた2人を見た、
王と臣下は慌てふためる。
国王「!?
どうした! 2人とも!?」
ナーガ「気を練りすぎて、
肺を痛めてしまっただよ……」
オニオ「苦しいンゴ……」
大臣「それはいかん!
キレイン、回復魔法をかけてやるのだ!」
神官「はい、直ちに!
2人とも、横になって」
キレインは2人に治癒魔法を施す。
ナーガとオニオの苦しそうな猿芝居は続く。
ヌル(考えろ!
王と大臣と神官の注意はまだ、
ナーガとオニオに向けられている。
ヤキソバを消すには…
鳥!
そうだ!!
全て鳥のせいにしよう!!!
鳥にヤキソバを狙わせて、
鳥がヅラを持ち去った事にするんだ!)
ヌルは精神を集中し、辺りの生物に話しかけた。
ヌル(ここに、おいしい食い物があるぞ。
あそこだ、あそこのオッサンの頭の上だ)
バサバサバサッ!
「ギャアッ! ギャアッ! カァッ! カァッ!」
王の頭上に鳥が集まり始めた。
国王「何事だ!?
鳥達が騒いでおる!」
ヌル「王様! お気をつけください!
鳥達が王の頭の上のヤキソバを
狙っております!!」
ナーガオニオ(バカヤロオオオオオ!!)
国王「頭のヤキソバ?」
王が頭に手を当てた。
王の手にはヤキソバが握られている。
ナーガの手から入れ歯がこぼれ落ちる。
神官「おや、これは……」
キレインが入れ歯を拾い上げる。
大臣「ハヒノヒレハ!」
国王「詳しい話を聞こうか。」
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3人は長時間の説教を受けた。
訓練の時間は増え、内容は濃くなった。
3人には大事な使命があるため、
罪には問われず、厳重注意で済んだ。
後日、ナーガのスキルを
民間人に使うと違法行為になる
という法案ができあがった。
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ー後日・また訓練の日々が始まったー
オニオは修行に励んでいた。
オニオはレベルが上がったら
止められる秒数が増えると信じて疑わない。
長く止められるようになったら
女の子にイタズラしたいようだ。
ヌル(こいつも犯罪者予備軍だな。
オニオ特別法ができるのも時間の問題か。
しかし、成立したら完全犯罪か?
アホのオニオにしては、頭回るよな。
まぁ、あれよ。
エロは原動力よ。
経済効果もすごいらしい。
エロビ●オのおかげで、
ビデオデッキが普及した
説があるくらいだ。
俺は割とマジで信じてる。
エロは人類を進化させる)
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ー基礎修行最終日ー
最終日の稽古のあと、
マーボーが3人を、
飯に連れて行ってくれることになった。
ちなみに、マーボーはパンダである。
パンダの獣人である。
まぁ見た目はほとんどパンダである。
二足歩行のパンダである。
タバコ?の代わりなのか、
いつも細竹の筒を咥えている。
咥えたまま話すと、たまに「ピュイ♪」
という音がしている。
笛なのか、ただの竹筒なのかは不明である。
マーボーはとにかくデカい。
身長は2メートルを超えている。
そしてマッチョで声もデカい。
いつも銀色に輝く、
重厚でカッコイイ鎧を着ている。
兜は無く、頭はモロ出しである。
武器は竹槍を装備している。
ギリーも背が高い。
身長180cmくらいはあるだろう。
エルフと人間とのハーフとのこと。
暗黙の了解で、
ギリー自身に関する事は質問NGとなっている。
かなり苦労をした人で、触れてはいけない話題が多いと防衛大臣が新人たちに注意していた。
無口で近寄り難いオーラが出ている。
史上稀に見るくらい優秀な賢者という話である。
ヌル達、小人族の成人男性の平均が、
だいたい150センチくらいだ。
純粋な小人族であるナーガは、
かなりの高身長である。
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ー王都・食堂【ガチメシ亭】ー
4人がマーボー行きつけの店に入ると、
マーボーが言った。
マーボー「女将さん、いつもの頼む! 4人前な!
おまえら、肉食えよ肉!
いっぱい食わねえと強くなれねえぞ!
ガハハハ! ピュイ♪」
ヌルは気になった事を、
おそるおそる訊いてみた。
ヌル「マーボーさんって、
笹以外も食べるんですか?」
マーボー「ん? 食うぞ。
こんな世の中だからな!
笹食ってる場合じゃねえよ!
ガハハハハ! ピュイ♪」
ヌル(たいがいの草食動物は、
目の前に肉があると喜んで食うらしい。
草よりも消化良くて栄養あるしね)
マーボー「明日からは、ついに旅に出るぞ!
保存食しか食えなくなるからな!
いっぱい食っとけ!
ガハハハ!! ピュイ♪」
3人は喜び、声を揃える。
「はい! ありがとうございます!」
ご機嫌なマーボーを見たヌルは、
訓練で気になっていた事を訊いてみた。
ヌル(訓練で気になる事があった。
マーボーさんの槍捌きは凄い。
しかし、なぜか竹槍なのだ。
見た目が竹。
竹を切っただけの、まんま竹槍だ。
しかし、不思議な動きをするのだ。
凄いしなり。そして、突きが
伸びているように見える。
明らかに射程外のモノに、
突きが当たるのである。)
「マーボーさんの槍って不思議ですよね?
突きが伸びているようにみえるんですが?」
マーボー「ガハハハ! よく見えたな!
この槍はな、世界一の魔法具職人が
作った魔法具なんだ。
魔法具ってのは魔力を込めると、
魔法の力で特別な事ができる道具だ。
この槍は魔力を込めて握ると伸びる。
握るチカラが強ければ強いほど
長く伸びる。
また、伸びたぶん細くなる。
しかし、長くなるほど強度は上がる
って魔法具だ。ピュイ♪」
ナーガ「マーボーさんは、
魔法も使えるんですか!?」
マーボー「ガハハハ!
俺は魔法を使えん。
使えんというか、苦手だ。
だから練習しねえ。ピュイ♪
でも魔力はある。
魔力は誰にでもあるんだ。
お前らにもあるんだぞ。
そして、魔力ってのは
貯めることもできる。
魔力は何もしなくても、体の外に
少しづつ抜けていく。
食事や睡眠で回復する。
まぁ、体力みたいなもんだな。
体力と違うのは、
精神を集中して貯める事ができる。
戦闘とかの【ここ1番!】て時に、
大きな力を出したりすることが
できるんだ。
覚えておけよ!」