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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第四章 2つの人魚国
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73 絶望を断ち切る

73 絶望を断ち切る




 クルムが地を蹴り、ミヅハノメを振った。

 絶望のツルギを握る

ギリーの右腕が斬り飛ばされ地に堕ちた。


クルム「剣技『其流麗・如清流〈ソノリュウレイ・

    セイリュウノゴトシ〉』」



 左腕が折れ、右腕を失い、

絶望のツルギも動かなくなったギリー。


レスベラ「カッコよくキメてこいよ!」


クルム「過去は、乗り越えるためにあるのよ。

    ソレ、

    ちょうどいい踏み台なんじゃない?」


 ヌルは包丁を握り、精神統一した。


ヌル(1人では勝てなかったかもしれない。

  みんなに引き上げてもらう形になるけど

  今日、俺はあの日の絶望を乗り越えたんだ!)


 ヌルは足から地面へ魔力を伝え、

地を蹴り包丁を振った。


ヌル「地属性魔法『縮地』+居合道・

   順刀〈介錯〉」


 ギリーの首が斬られ、地に落ちた。

 そして首を失ったギリーは倒れた。

 いつのまにか雨が上がり、空は晴れ渡っていた。


 口が動かないギリーの頭から

ギリーの声が発せられた。


ギリー「まさか、コレが負けるとはな。

    キメラ兵では歯が立たぬワケだ。


    あれから努力して

    強くなったというワケか。

    涙ぐましい努力ではないか。


    褒美に全員仲良く、

    アノ世に送ってやろう。

    ダラダラと戦ってくれたお陰で、

    じっくり溜めるコトが出来たぞ。


    コレを失うのは痛いが、

    どのみち、お前は無差別の範囲攻撃

    でなければ殺せないからな。

    仕方ない損失だ。」


 ギリーの体が眩く発光し、

魔力が暴走する気配がする。


ヌル(まずい!コレの直撃は全員死ぬ!!)


  「みんな!大爆発が来る!命を守れ!!」


 ヌルは地面に手をつき、魔力を流し、

水を含んだ砂でギリーの死体を覆い、固めた。


 クルムは急ぎ魔法を使い、

ギリーに対して向かい風を起こすも、

魔力は枯渇気味で威力はイマイチだ。


 レスベラは雨を含んだ砂を蹴り上げ、

目の前に砂の防壁を作る。


 うまーるは雷の力で砂鉄を操り、

自身を砂の盾で守る。


 ギリーの体が激しい爆発を起こした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーー魔王城サイドーー


 VRのような魔法具を外したギリーが、

魔導師風の男に話しかける。


ギリー「ネクロよ、すまないな。

    魔術師型死体人形の試作機を

    失ってしまった。」


ネクロ「レジスタンス共を一掃できたのであれば、

    上出来でございましょう。」


ギリー「殺せたかどうかは不明だ。

    爆発の直前、

    奴等は何かをしようとしていた。

    まだ生きていると考えた方がいい。」


ネクロ「奴等はおそらく、

    盗賊王の迷宮にも行くでしょう。

    上手くコトが運べば、

    生前のスキルを使える

    自律型死体人形が

    仕留めてくれるでしょう。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ーーナミノエ砂漠サイドーー



 ヌルが気がつくと、ギリーの死体があった場所は大きなクレーターになっていた。


 ヌルは痛みを堪え、起き上がった。

周りを見ると倒れている3人が見えた。

皆、数メートルは吹き飛ばされたようだが、

原型を留めている。


ヌル(よかった。皆、爆風を受けたようだが、

  それほど深刻な状態じゃないだろう。

  1番近くにいた俺が、生きてるから。


  しかし、アレは……アレは

  ギリーじゃないのか?

  ギリーのコピーなのか?


  もし、あんなモノを大量に

  複製できるとしたら……。

  勝てるのか?

  たった1体を倒すのに、これほどの代償が……。


  考えるのは後だ。

  早く、皆を治療しよう。)


 歩き出そうとしたヌルの足元に突如、

流砂が発生した。


「ギィイイイイイイイイイイイイ」


 流砂の中心から巨大アリジゴクが現れ、

威嚇している。


ヌル(シャン! 手負いで気が立ってるのか!?

  何故、不意打ちで襲わずに威嚇するんだ!?)


 ヌルの背後の砂が大きく盛り上がり、

巨大ワームが現れた。


「シャアアアアアアアアアアアアア」


 シャンとアペプは

何故か獲物であるヌルを避け、バトルを始めた。


 倒れたレスベラ、クルム、うまーるを

捕食する気配もない。


「悪いな。

 この娘は俺が先に目を付けてたんだわ。」


「お前らが簡単に食えるほど、

 このネーチャンは安くねーんだよなぁ。」


 倒れたレスベラとクルムの傍に

軽鎧を身に纏った2人の戦士が、

倒れた2人の前に立っていた。

 捕食者を牽制し、

立ちはだかるように立っている。

 倒れた、うまーるの元には白い大きな狼の姿が。

 うまーるを守るように立ちはだかっていた。


ヌル「新手の敵か……? いや、あれは……。」


 シャンとアペプ、大きさ的にはほぼ互角。

 どちらも手負いだ。


 蛇が獲物を締めるように、

シャンに絡みつくアペプ。

 シャンはアペプに噛みつきたいところだが、

レスベラによって片方の大顎が切断されている

ため、うまく噛みつけない。

 たくさんある足の中の前足部分にあたる

2本を使い、アペプの体をガッチリ掴む。


 ヌルは力を振り絞り、

2体の巨大モンスターを撃退しようと動くが、

負傷と疲労により、体にチカラが入らない。


ヌル(こんな時に!

  もっと命を削り、

  魔力に変換して早く撃退しなければ……。)


 ヌルは最後のチカラを振り絞り集中し、

魔力を高めようとした。

 そのとき、暴れたアペプの尾が

ヌルに向かっていった。


ヌル(まずい。コレは……。)


「もう大丈夫です。動かないで。」



挿絵(By みてみん)


 大きな盾を持った鎧の騎士が現れ、

ヌルの前に光の防御壁を展開した。

 騎士はアペプの尾を涼しい顔で受け止める。


 絡み合うシャンとアペプを、

小規模な爆発の連続が襲い、両者が炎に包まれた。


 その様子を遠くから見て、

タバコに火をつける黒髪リーゼントの男がいた。


 火を消すために、シャンとアペプは砂に潜る。

 その上に大きな槍を持った騎士が現れ、

槍を地に突き刺した。


 砂漠が大きく割れ、

シャンとアペプは剥き出しになる。


 レスベラとクルムを守っていた2人の戦士が、

シャンとアペプに飛びかかった。

 シャンを打撃で攻め立てる戦士と、

アペプを剣で切り刻む戦士。

 2人の戦士が退くと同時に、

強風が2体を吹きつけ、

シャンとアペプは凍りついた。


 遠くで、その様子を見ていたレイカと

ほえほえがハイタッチをする。


レイカ「上手くいったね☆」


ほえほえ「風と氷の複合魔法。

     灼熱の砂漠に棲む奴等には

     効果テキメンね。」


挿絵(By みてみん)



 大きな白い狼が、うまーるを咥えてヌルの元に。

 レスベラとクルムも

2人の男に抱えられヌルの元へと運ばれた。


 仲間を助けてくれた3人は

ゼット、フレームアイ、ゴリアシであった。

 砂漠を割った騎士、アッチも駆け寄る。

 ヌルの目の前にいる大楯の騎士は、

ヘンゼルであった。



「急げ! 皆、重症だ!!」


 ヌルたち4人の体を優しい泡が包んだ。

 ヨーリーの泡の上から、高位術師の

レイカ、こまちゅ、アローヒが

治癒の魔法をかける。


 涙を流すソナと、ぱとかの姿も見えた。


 駆けつけた1000人近くにのぼる、救助隊の

エルフ、人魚、スカディ、ナミノエの民が

敬礼をしていた。


ヌル(助かった。そうだ。

  こんなに頼りになる仲間がいるんだ。

  魔王軍は強大だ。

  でも負けない。

  負けるわけにはいかないんだ。


  もうこれは、

  俺たち4人だけの戦いじゃないんだ。


  世界を2つに割り

  天秤にかけるような戦争は

  もう、始まっているんだ。


  これは、軽い方が地獄に堕ちる。

  絶対に希望を捨てちゃダメなんだ。)



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