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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第四章 2つの人魚国
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71 宿命に立ち向かう

71 宿命に立ち向かう



ヌル「フーッ、フーッ、フーッ、フーッ、フーッ

   フーッ、フーッ、フーッ、フーッ、フーッ


   ギリー……!!」


 ヌルは過呼吸に陥りながらも、

絶対に許せない仇敵である"ギリー"を見据える。


レイド「ギリー殿! 

    助けにきてくれたのですな!」


 ギリーは無言で、レイドに魔力を飛ばす。

 ヌルは、レイドの魔力が暴走する気配を感じた。


ヌル「マズい!! うまーる!

   レイドが爆発するぞ! 離れろ!!」


 うまーるが全力で跳ぶと同時に、

レイドの体は大爆発を起こした。


 うまーるが吹き飛ばされ倒れ、クルムが駆け寄り抱き起こし、回復魔法をかける。

 ギリーは不敵に笑う。


ギリー「焦る必要は無い。

    全員仲良く同じ場所に送ってやる。


    しかしまさか、お前とはな。

    各地で魔王軍と敵対していた勢力とは。


    あの日、突然姿を消したお前の事を、

    すっかり忘れてしまっていた。

    やはりお前は、

    銀竜戦のときに殺しておくべきだった。」


 ギリーは両手を上げ、

凄まじい魔力を空に向ける。


 ヌルはこの場面を想定していた。

 そして覚悟を決めていた。

 もしもギリーと対峙した場合、

命懸けの戦いになることを。

 エルフ国の戦いで、こまちゅが使った

寿命を魔力に変換する魔法。

 アレを使おうと。


 ヌルは集中し魔力を高め、命を魔法に変換する

魔法【等価交換】を使った。

 また、挑発の魔法を解除した。

 挑発の魔法が解除され、

ヌルのスキル【魔王の手先】が発動した。


 ギリーの視界から、ヌルが朧げに消えかかる。


ギリー(……厄介だな。

   しかし範囲魔法ならヤツに当たる。)


ヌル(……10年。10年分の寿命を魔力に変換する。)


 ヌルの体から、膨大な魔力が溢れ出す。

 16歳から26歳の肉体になったヌルの顔が、

少し精悍さを増す。


 ギリーは肌に刺さるような、ヌルの魔力に驚く。

 しかし怯むコトなく、

魔法を発動させようと動く。


ギリー(ヤツの顔つきが変わった!?

   急激に成長した!?

   それにこのチカラ……。

   時をチカラに変換した代償か?

   

   まぁいい。どうせ消し炭になるのだからな。)


   「雷属性極大魔法

    『神々の柏手・万雷

    〈カミガミノカシワデ・バンライ〉』」


 ドス黒い雨雲からゴロゴロと轟音が鳴り響く。

 ヌルはギリーの魔法発動に合わせるように、

魔法を発動した。


ヌル「風雷複合高等魔法『イオナイザー!!』」


   (知っているか? ギリー!

   静電気はイオンを当てると消えるんだ!!)


 ヌルが起こす風が、空に向かう。

 ギリーの表情が強張る。


ギリー(何故だ!? 何故、雷が落ちない!?)


 ギリーは慌てて別の魔法に切り替える。


ギリー「氷属性極大魔法『氷河崩壊』」


 ギリーは巨大な雷雲から雹を集め、

ヌルたちに落とそうとした。

 ヌルはまたしても、カウンターで魔法を放つ。


ヌル「風氷複合高等魔法『フリーズドライ!』」

   (気圧が低いと、氷は直接気化するんだ!)


 ギリーが落とした氷が、気化し消える。


ギリー(なんだこの魔法は!?

   私の氷が消された!?)


 ギリーは両手を上げ、巨大な火の鳥を作り出す。


ギリー(奴の仲間を狙う!これは風では消せんぞ!)


    「封印の勇者と同じく灰になれ。

     炎属性極大魔法『鳳凰』」


 うまーるを介助するクルムに向けて、

巨大な火の鳥が放たれた。

 ヌルは火の鳥に向けてカウンターの魔法を放つ。


ヌル「風属性空間魔法『真空の鳥籠』」

   (炎は酸素が無ければ消える!!)


 ヌルが火の鳥を空間魔法で包むと、

真空の空間に閉じ込められた火の鳥が消えた。


 レスベラ、クルム、うまーるは

2人の戦いを呆然と見ていた。

 特にクルムは、ヌルが本気で魔法で闘う姿を

見るのは初めてであった。

 何も起こらず地味な戦いではあるが、

高度な魔法戦が行われていたことは

本能で理解できていたようだ。


ギリー(何をした!?

   どうやって炎を、私の魔法を消した!?

   そして、何故ヤツが魔法を使える?

   この3年で何があった!?

   別人ではないか!!)


 焦燥するギリーを見て、ヌルが言い放つ。


ヌル「お前を! お前達を倒すために!

   俺は地球で40年をやり直した!

   もう1人の俺が、人生をやり直したんだ!


   現代科学と魔法の融合が、

   時を超え、世界を飛び越え、

   お前達の野望を打ち砕くんだ!!」


ギリー「もうひとり? 40年?

    何を言っている。気が触れたか?」


 ギリーは、バオバブの木から降り立った。


ギリー(魔法が効かぬなら……。)


   「収納魔法・顕現『絶望のツルギ』」


 ギリーは漆黒の剣を

空間の裂け目から取り出した。

 ギリーは右手で剣を掴み、構える。


 ヌルは剣を抜き構える。

 両者は地を蹴り、剣を交える。


ヌル(なんだ!?

  俺の斬撃がギリーの剣に引き寄せられる!?)


 ギリーとヌルは激しく斬り合う。

しかし、お互いの体を斬ることはできず、

激しく剣と剣がぶつかる音が響き渡る。


クルム「何やってんのよ! 加勢しなさい!」


 クルムが、呆然としたレスベラのケツを叩く。

 我に返ったレスベラが走り出す。


 レスベラはミヅハノメを抜き、

ギリーに斬りかかる。


レスベラ「ヌルの仲間は、アタシの弟や妹

     みたいなモンなんだ!

     多勢に無勢で悪いけど、

     容赦しないゼ!」


 しかし、

レスベラの斬撃もギリーの剣に引き寄せられる。

 レスベラは驚き、慌てふためく。


レスベラ「なんだ!? コレ!

     上手く剣を使えないゾ!」


 2人がかりでも、ギリーに軽くあしらわれている

様子を観た、うまーるがクルムに懇願する。


うまーる「わたしは大丈夫なんだよ。

     クルムお姉ちゃん、

     ヌルお兄ちゃんを助けてあげて。」


 うまーるは重症だったが、

命に関わる状態は脱却したようだ。

 クルムも扇を握りしめ、走り出す。


クルム「3人で囲むのよ!

    自動防御の魔法剣だろうが、

    腕の可動域や速度には限界がある!!」


ギリー「3人は厄介だな。

    収納魔法・顕現『勝利のツルギ』

    戦神フレイの剣技、とくと味わえ。」


 ギリーは新たに、

空間の裂け目から剣を取り出す。

 取り出された剣は、金色に光輝いている。

 剣は真っ直ぐにレスベラに向かい飛んでいく。


剣は空中を自由自在に舞い、レスベラを攻撃する。


レスベラ「なんだよコレ!?

     透明人間でもいるのかよ!?

     しかもメチャ強えよコイツ!!」


クルム「なに遊んでんのよ!!

    そんなオモチャ、

    さっさと片付けなさいよ!!

    (自動攻撃の魔法具……。)


 レスベラに代わり、

クルムがギリーへの攻撃に参加する。

 クルムは普段の戦闘スタイルとは異なり、

鮮やかな体術を披露した。

 畳んだ扇を剣のように使い、

ギリーに打撃を浴びせようと振るう。


ヌル「クルム! 2人を連れて逃げるんだ!

   俺1人なら、たぶん俺は魔王の配下には

   殺されないんだ!

   ギリーは危険すぎる!」


クルム「アンタ、タカキタの酒場で

    私たちに何て言った?


    アンタの敵は、もう私達の敵なのよ。

    それに、アンタが死んだら、

    誰が私達のご飯作るのよ!


    これからも生きて働きなさい!!」


 クルムの扇を剣で受け止める

ギリーの顔に切創ができていた。

 クルムは左手と右足を使い、

打撃を当てるような動きを寸止めで行った。


ヌル(これは……。 

  フレームアイさんの動きを参考にしたのか。

  物理攻撃と魔法攻撃の高度な融合だ。)


 ギリーはまるで、打撃を受けたような

衝撃を受けている。


クルム「やはりね。

    この剣、魔法は受けられない。

    そして当てる意志が無い攻撃も

    受けられない。

    この剣が受けられるのは、

    悪意ある物理攻撃だけ。」


    (しかしコイツ、毒を受けた様子も無いし、

    痛みを感じてる様子も無い。

    なんなの? この違和感。)


 うまーるの大きな声が響いた。

 満身創痍の、うまーるが力を振り絞り

攻撃に参加する。


うまーる「2人とも、離れて!

     大きいの行くよ!!

     ナルイカヅチ!!」


 ギリーの足元がパチパチと帯電していた。

 うまーるの左足から激しい稲光が放たれた。


 雷に撃たれたギリーに、うまーるが詰め寄る。

 うまーるは、ギリーの首元に火雷を押し当て、

電撃を放つ。


ギリー「腕力強化・極」


 ギリーは、電撃を受けながら、うまーるを殴る。

 うまーるは白亜の盾で受け止めるも、

強風で飛ばされるビニール袋のように飛んだ。


クルム(雷が効いてない。

    ……間違いない!)


   「ヌル、落ち着いて聞きなさい。

    アレは生物じゃない。


    アレは、ギリーの死体を魔法で操ってる。

    ゴーレムみたいなモノよ。」


ヌル(なんだって!?

  ギリーは既に死んでいた!?)




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