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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第三章 世界探訪
50/138

50 伝説の水竜

50 伝説の水竜



 ヌルは鉄砲水に流された。

 ヌルは流されながら、

信じられない光景を目にした。


 傘で空を飛ぶクルム。


 流木や流された岩の上を跳ね回る、うまーる。


 そして、水の上を全力疾走する

レスベラの姿であった。


ヌル(あれ?

  流されてるの俺だけ?

  普通、流されるよね?これ。

  俺が普通じゃないんかな?)


 ヌルはキメラたちのスキルを手に入れていた。

 内容は『水泳、潜水、穴掘り、探知、狩猟、

毒攻撃』であった。


ヌル(いつか役に立つんかな?

  最近水棲生物ばっかだな。)


 ヌルは流されながら考えていた。

 通常なら絶体絶命な展開であるが、

不思議と余裕があった。



 それは、通常なら致命傷になるであろう、

石や流木との衝突も、守備特級のおかげで

なんとか無傷で耐えることができていた。


 また、水棲生物キメラの素材で作った防具が、

奇跡的に役に立った。

 不思議なチカラが、

まるで救命胴衣のようにヌルを守った。

 溺れる恐怖が無いのは大きかった。


 ヌルはかなり下流まで流された。


ヌル(マズい、マズいぞ。

   このままだと海まで流される。)


 ヌルは、崖から飛び出した木の根を見つけ、

しがみついた。

 なんとか崖をよじ登ると、

そこは龍神村の避難所であった。


ヌル(くっ!こんな所まで流されて!

  早く戻らないと、みんなが! 


  …あぶないか?


  …大丈夫そうな気がする。


  まぁ急ごう。)


 ヌルは、村の高台の崖っぷちにあったハズの、

龍神のたまごが無いことに気づいた。


 鉄砲水により崖が削られ、

たまごは流されたようだ。


ヌル(あんな崖の端っこに置いとくから。


   しかし危なかったな。

   レールガンで土砂ダムの側面を

   破壊したことで、

   水を分散させる事ができた。

   水が全部こっちに来てたら、

   避難所も削られ流されてよな、これ。


   とはいえ、

   高台の下の村は完全に濁流に流された。


   おそらく家屋は全滅だろう。

   復旧は困難な道なりだな。)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ヌルは走った。


 上流に着くと、

レスベラとビーバーが川の浅瀬で交戦していた。


 うまーるとクルムは余裕で観戦していた。


  キインッ!キインッ!


 レスベラのミヅハノメと、

ビーバーの巨大ノコギリが激しくぶつかり合う。


 しかし、レスベラは手を抜いているようだ。

 ビーバーには小さな傷が、たくさん付いている。

 ビーバーから流れる血が、川の表面を漂う。


ヌル「おーい!みんな無事だったか!!」


  (知ってたけど。)


レスベラ「おー!やっぱ生きてたか!

     信じてたぜ!


     うおっ!?」


 レスベラは余所見をしながらも、

余裕でビーバーの相手をする。

 走るヌルの姿を見たレスベラが、

ギョッと驚いた。

 レスベラは、またしてもヌルがフルチン

である事に気づいた。


 レスベラの視線の先には、衝撃の光景が。

 走るヌルの象さんの鼻が、左右に揺れ、

太ももに当たる。


  ブルンッビタン!ブルンッビタン!


 ヌルの新作ボディスーツは上半身部分のみ

であった。

 下半身は竜宮村でもらった麻のズボンのみ

であった。

 もちろん、そのズボンは流された時に脱げて

失われていた。


クルム「露出狂」


 クルムは冷ややかだ。


うまーる「また丸出しなんだよ…。」


 うまーるは呆れている。


ヌル「くっ!おのれ!

   モザイク魔法!!」


 ヌルの股間がモヤモヤに包まれ、

美しい自然の風景が映し出された。


 映像に合わせてポロロンと、

ハープの音も流れる。


ヌル「お前たちの目的はなんだ!!

   なんで、こんな酷いことをするんだ!!」


   ポロロン♪


ビーバー「それは言えねえバー。」


レスベラ「コイツ、

     痛めつけても何も喋らないんだよ。

     生捕りにして目的を吐かせるんだろ?」


ヌル「魔王軍だな?

   目当ては、龍神のたまごだな?

   アレを流して何になる?」


   ポロロン♪


ビーバー「あんな粗大ゴミに用はねえバー。」


 ビーバーがあとずさり、

川に逃げようとしたとき、それは現れた。


 巨大なヘビのような竜が現れ、

ビーバーに噛み付いた。

 

 その動きは素早く、まるで海面を泳ぐアザラシを真下から急襲するサメのような突進力であった。


 近くにいたレスベラは面食らっている。


 その竜は、直径約2メートルの太さだ。

 全長は水に浸かっているため不明だ。

 その姿は、まるで巨大なドジョウのようだ。


ビーバー「ギャアアアアアバー!」


 ビーバーを咥えた竜が、

ダムとなっていた湖のような水溜まりに潜る。


 竜が、もぐもぐしたビーバーを

ペッと吐き出した。

 吐き出したビーバーを、また竜が食らう。


 ヌルはスキル『木工』を手に入れた。


レスベラ「水竜か!いままで、隠れてたのか!?」


クルム「少なくとも最近まで、

    こんなのがいるなんて噂は聞かないわ。


    海から来た…?」


うまーる「凶暴なんだよ!どうするのコレ?」


ヌル「これは…咀嚼後に吐き出し、また吸い込む。

   肺魚の食性だ。

   巨大な肺魚…いきなり、どこから?


   ハッ!


   龍神のたまごだ!!」


  ポロロン♪


クルム「アレは人工物のオブジェ

    なんじゃなかったの?」


レスベラ「こんなデカいのが幼魚かよ!」


ヌル「違う!アレは卵じゃない!夏眠だ!

   肺魚は、乾季に水が干上がると、繭を作る。

   雨季がきて、また沼なんかができると

   繭から出てくるんだ!!


   龍神のたまごが水に流されたことで、

   表面の人工の殻が壊れ、

   繭が水に触れたことで

   肺魚は夏眠から目覚めたんだ!!


   マズいぞ!

   おそらく空腹で凶暴になってる!!」


  ポロロン♪


 水竜は、水から顔を出した。

 喉のあたりが膨れている。


ヌル「なんか攻撃が来るぞ!!」


 水竜は、もの凄い勢いで水を噴射した。


ヌル「テッポウウオかよ!!

   それに、そんな生易しいモンじゃ

   ねえなコレ!

   ウォータージェットだ!!避けろ!!

   水は最強の刃物になる!!」


  ポロロン♪


 水竜が放った高圧の水のブレスは、

ヌルたちの後ろにあった木を切断し薙ぎ倒した。


レスベラ「水で木を切ったのか!?」


クルム「デタラメな威力ね。

    離れても危険とはね。」


うまーる「陸も危ないんだよ!?」


ヌル「コイツはヤバいな。


   コイツを村に行かせずに、

   ここで仕留めないと!!


   おそらく、

   この水竜は血の匂いにつられて

   遡上してきたハズだ。」


  ポロロン♪


レスベラ「どうするんだ?

     水の中の相手は相性が悪いぞ。」


クルム「肺魚なら毒の風を吸うかしら?」


ヌル「釣ろう!俺に考えがある。


   レスベラ、囮になって時間を稼いでくれ!

   攻撃して撃退しちゃダメだぞ!


   うまーる、キメラの死体を探せるか?


   クルム、村人の所持品があるハズだ。

   ロープが欲しい。

   おそらく持ってきているハズだ。

   頼めるか?」


  ポロロン♪


レスベラ「釣り?

     どうするのか知らんが、早く頼むぞ!」


うまーる「任せるんだよ!!」


クルム「仕方ないわね。

    今夜も、おいしいもの作りなさいよ。」


 ヌルは、ビーバーが残したノコギリを使い、

木工を始めた。

 ヌルは、早速ビーバーのスキル『木工』を自分に付与した。


ヌル「コレすげえな!

   木が豆腐みたいに切れるぞ。」


 木工スキルとノコギリの魔法具は相性が良く、驚くべき早さで精巧な工作物を作り出した。

 先ずは木材の両端を鋭利に削り、

直型釣り針を作った。


 次に、太い丸太を削り、滑車を作った。

 合計四つの滑車を作った。


ヌル(巨大肺魚。おそらく昔の村人が、

   干ばつか何かで偶然、繭になった

   水竜を封印したのが、龍神のたまご

   なんだろう。


   加工して高台に保管したのか。

   屋根は雨避けのためだな。)


クルム「あったわよ。」


 クルムがロープを持って走ってきた。


うまーる「見つけたんだよ!」


 うまーるが、ヌートリアキメラの死体を

引きずってきた。


 レスベラは、水際で水竜を挑発し、

華麗に水竜の攻撃を躱す。


 3人で近くの1番太い木に、滑車を取り付け、

ロープを通し、ロープを釣り針の中央に結びつけ、餌となるキメラを取り付けた。


うまーる「こんなまっすぐの針で

     お魚さん釣れるの?」


ヌル「今はJ型にカエシが付いてる釣り針が

   主流だけど、大昔の人は

   この真っ直ぐな針の中央にロープを結んだ、

   T型で魚を釣ったんだぞ。」


  ポロロン♪


うまーる「ほええ〜。そうなんだね。」


クルム「そんなこと、よく知ってるわね。」

    そういえば、さっきの電気を利用した

    パチンコ?アレはなんなの?」


うまーる「すごかったんだよ。

     山の形が変わったんだよ。」


ヌル「アレは、レールガンっていう兵器なんだ。

   詳しい話は複雑なんで、あとでね。」


 3人は協力して、大きな木に滑車を取り付けた。

 それは、まるでクレーンのようであった。


ヌル「できた!レスベラ!俺が囮になる!

   3人は、水竜がかかったら、

   全力で滑車のロープを引いてくれ!」


 ヌルは、キメラを担いで川べりを走る。

 キメラの血を水竜に向けて飛ばす。


 レスベラは滑車が取り付けられた大木へと

向かう。


 水竜は、ヌルへ向かって泳ぎ始める。


 ヌルは、キメラを水竜に向かって投げ込んだ。

 水竜がキメラを捕食し、もぐもぐする。


 T型直針が、水竜の上下の顎に突き刺さる!

 水竜が暴れ出した!!


ヌル「今だ!!滑車のロープを引くんだ!」


 3人は、滑車のロープを全力で引いた。


 ヌルは全員に筋力強化上級の魔法をかけ、

自身も綱引きに参加した。


ヌル「くらえ!!

   これが、あの当時最強のローマ軍、

   軍艦を釣り上げた、伝説の

   『アルキメデスの鉤爪』だああああ!!」


  ポロロン♪


 巨大な水竜が釣り上がる!!


レスベラ「まじか!?」


クルム「いよいよ私達もゴリラじみてきたわね。」


うまーる「すごいんだよ!!

     こんな大きなお魚さんが、

     軽いんだよ!?」


ヌル「みんな!!〆るぞ!!」


 レスベラが水竜の首元を斬りつけた。


 うまーるは、レスベラが斬りつけた首元に

火雷を当て、電撃を食らわせた。


 太さ直径2メートル、長さ20メートルの巨大魚が河川敷に横たわる。




ヌル「獲ったどおおおおお!!!


   今夜は!!


   巨大ウナギ?

   の蒲焼きだああああああああ!!」


  ポロロン♪

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