48 海賊の秘宝
48 海賊の秘宝
竜宮村に着いた翌朝、
ヌル達は早朝から作業をしていた。
ヌルは、昨日夜なべして作った服を着ていた。
それは、仮面●ライダー系のヒーローが
着ていそうなボディスーツのようなモノだった。
ヌルはソレを気に入ったらしく、
ご機嫌であった。
しかし、周りの目は冷ややかであった。
クルム(ダサッ。)
レスベラ(しょうがねえな。
大きな町に着いたら買ってやるかぁ。)
うまーる(ヌルお兄ちゃん、虫みたいなんだよ。)
ヌルたちはウニを集め、浅瀬に柵を作り、
集めたウニを入れた。
雑草など陸の植物を集め、
それをウニの餌とした。
ウニの養殖事業である。
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日本でも、
磯焼け対策でウニの養殖事業は行われている。
廃棄野菜のキャベツを、
ウニの餌に活用するなどの方法である。
ウニを肥料に加工する活動なんかもある。
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ヌルたちは、干潮になる12時に島へ着くように
出発した。
船を出してくれたのは、
村の漁師『フィロ』であった。
フィロは20代の男性だ。
見た目が少し、チャラそうだ。
フィロ「英雄様は勇敢だねぇ。
村の者は、あの島には近寄らないぜ。」
ヌル「近くなったら泳ぎますので、
無理はしないでくださいね!」
フィロは岩の50メートルくらい手前で
船を止めた。
干潮であることもあり、
そこは浅瀬になっていた。
そこは周りは海、
海から生えるように、
細く高い岩が立っていた。
『孀婦岩・そうふいわ』によく似ている。
ヌル達は泳ぐ事なく、歩いて島へと上陸できた。
しばらく歩くと、
岩に横穴が開いているのが見えた。
海蝕洞である。
海蝕洞を覗いてみると、
驚くべき光景が待っていた。
そこは、
神秘的な青の世界『青の洞窟』であった。
海底の白い砂が青以外の光を吸収し、
青い光のみを反射し、作り出す世界。
4人は、しばし心を奪われた。
レスベラ「すげえな。
綺麗な海なんだな。」
うまーる「ふわああ。
こんなのが見れるなんて、
星舞村にいたら、
わからなかったんだよ!」
ヌルは、
上から光が射していることに気がついた。
それは岩の天井が崩落し、できた
『潮吹き穴』であった。
ヌル「もしかして!」
ヌルは外に駆け出した。
外から岩を観察する。
よく見ると、岩の周りが彫られて、
階段のような足場がある。
それは、螺旋階段のように、
円柱状の岩をぐるりと周りながら
登れるように作られていた。
ヌル「人工物…。まちがいない!!」
ヌルたちは岩を登った。
岩を登り、潮吹き穴の周りを見るヌル。
そこにはやはり、海棲生物が着いていた。
ヌル「ここは、満潮時になると、
海水が噴き出すんだ。」
ヌルは、岩の壁面に文字が彫られている事に
気づいた。
その横には小さな穴もあった。
ヌルは文字を読んだ。
「我々の本当の宝は、この海と船である。
そして、何より尊い宝は仲間である。
それに比べたら、
伝説の宝玉など石ころに等しいものだ。
だがしかし、これから先の子孫のために、
この宝を後世に残すことにした。
我が子孫たちよ、
決して、言い伝えを絶やしてはならない。」
ヌルは、横にあった穴を覗いて見た。
そこから見えたのは、
竜宮村の大きな貝殻のオブジェだった。
ヌル「そうか!宝箱!!
宝箱とは、あの貝殻を指していたんだ!!」
レスベラ「うおおお!アタシにも見せてくれ!!
そうか!
あの貝殻の中に
宝が隠されてるんだな!!」
クルム「こんな意地悪なことするなんて、
酷いご先祖様がいたものね。
見つけられなかったら、
どうするつもりだったのやら。」
うまーる「ほええ。
わたしじゃ絶対、
見つけられないんだよ。」
レスベラ「早く戻ろうぜ!!」
ヌル「ああ、そうだな。
満潮になる前に帰らないとな。」
4人は、フィロが待つ船に乗り込んだ。
ヌルたちは孤島での出来事をフィロに話した。
フィロ「そんなことが!?
村人は真面目な人が多いからなぁ。
近寄るな言われたら、
そりゃ誰も行きませんよ。」
岩から少し遠ざかったそのとき、
ぼっち岩から海水が噴き出すのが見えた。
ヌル「あれが、『真の火を吹く竜岩』だよ。
彫刻のほうの竜岩は、
アレから目を逸らすためのフェイクだった
って事だな。」
ヌル達は村へ戻ると、早速高台に上がり、
貝殻のオブジェの元へ急いだ。
レスベラ「この中にあるのかぁ。」
ヌル「いや、伝承をちゃんと思い出すんだ。
『宝箱の下』だったろ?」
クルム「この下ね。重そうだわ。」
うまーる「みんなで押すんだよ?」
ヌル「ああ。身体強化魔法・筋力上級!!」
4人とフィロは、力いっぱい貝殻を押した。
ズズズ
と、貝殻が動いた。
強い力で押せばスライドする機構があったようだ。
貝殻が乗っていた場所には、
2枚の石板があった。
材質、年代共に違う石板のようだ。
新しい石板には、
「竜首宝珠は女神に抱かれた」
と書いてあった。
ヌル「これは…宝はここに無いな。
先にここを見つけた何者かが、
他の場所に移した?
そして、隠した?
なんのために??
これは宝の隠し場所のヒントだ。
クルム、女神にまつわる有名なモノは
なんかないかな?女神像とか。」
クルム「1番有名なのは、シロイナワ高地にある、
『世界を見守る女神像』かしら。
標高一万メートル。
挑戦者がほとんど、
生きて帰ってこれない秘境よ。」
ヌル「そこだろうな。
行くしか無いか。
当面の目的地はオーリヤマだから、
その後かなぁ。
もう一枚の石板は、と。」
もう一枚の石板には、こう書かれていた。
「わたしたちは、想像を絶する嵐に遭い、
船が大破した。
数十日も海を漂い、水も食糧も底を尽き、
絶望の底にいた。
陸地が見え、生き残った者が総力をあげて
オールを漕いだ。
陸が近づき、船は座礁した。
我々生き残った200人は浜辺へと上陸するも、
もう誰も、水や食糧を探す気力は
残っていなかった。
このまま死ぬのか、と皆が諦めかけたその時、
巨大な亀が砂浜に現れた。
それは、神が与えてくれた奇跡以外の
なにものでもなかった。
我々は、その亀を食べて生きながらえた。
これを見た子孫達よ、言い伝え通り、
亀を大切にしているか?
今の竜宮村があるのは、亀様のおかげだ。
亀様が生きていく環境を、
絶対に壊してはならない。
亀様と共に生きてゆける海をいつまでも、
維持する事。
それが竜宮の民の使命であると心得よ。」
と、書いてある。
フィロは、ショックを受けている。
フィロ「ご先祖様が、亀を食べた!?」
レスベラ「伝説の海賊のありがたいお宝が、
ありがたいお言葉の石板だけなのか?
ありがたいお言葉だけじゃ
飯を食えないぞ。」
ヌル「200人の腹を満たす亀!?
デカすぎだろう?」
クルム「いたわよ。絶滅したけど。
アトラースタイマイね。
その甲羅は、宝石並みの価値がある
とされ、乱獲され絶滅した。
その『鼈甲・べっこう』は、
骨董品からしか採取できない、
伝説の素材よ。
今となっては、宝石なんて比べ物に
ならないくらいの高価なモノよ。」
ヌル「まじかよ。食用じゃなかったのか。
まてよ。
もしかしたら、
この下に、今もあるんじゃないのか。
当時の海賊にとっては、
食用であったワケだから、
甲羅は生ゴミでしか
なかったかもしれない。」
ヌルは下に降り、貝塚に手を当て、
魔法を使った。
ヌル「万物創生魔法・地中レーダー」
ヌルは集中し、
地中の電磁波を反射するモノを探った。
ヌル「あったぞ。巨大な亀の甲羅が!
みんなで掘り起こそう!」
元気な村人を総動員し、貝塚を掘り起こした。
貝殻や魚のホネに混じり、ときおり
おそらく漁網にひっかかり混獲されたと思われる、宝石サンゴなんかも出てきた。
貝塚は宝の山だった。
やがて、巨大な亀の甲羅が出てきた。
縦の長さが10メートル、
横幅は6メートルくらいあるだろうか。
ヌル「これを換金すれば、
しばらくこの村は食べ物に困らない。
ご先祖様からの、粋な贈り物だな。
伝承通り、
宝箱の下から出てくるんだもんなぁ。」
ミサオは、涙を流してヌル達に感謝した。
その後、ヌルはウニの養殖事業について、
村人達に話をした。
また、磯焼け問題の解決方法として、
アオウミガメの計画的な捕食を提案した。
ヌル「アオウミガメも増えすぎると、
自分達のエサである海藻を食べ尽くして
しまいます。
そうなれば、
アオウミガメも生きてはいけません。
アオウミガメは、
生まれた砂浜に帰る習性があります。
このままでは、
この砂浜で生まれたアオウミガメは
絶滅します。
決断してください。
アオウミガメのために、
アオウミガメの数を管理する必要が
あるのです。
過剰な保護は、
アオウミガメの絶滅につながるのです。
ただ殺すのではなく、感謝して、
その資源を有効活用しましょう。
それが、アオウミガメとの共生です。
本来の、この村の民の使命のハズです。」
村人達は、しばらく話し合い、決断した。
アオウミガメと共に生きる未来を。
ヌル「俺の故郷の国の、とある島では、
年に130匹まで、などの制限を
決めて管理しています。
先ずは、海藻が豊かな海を作りましょう。
そうすれば海藻を食べる貝類が増え、
また海藻に産卵する魚なども
戻ってきます。」
ヌルは、村人達を浜辺に集めた。
ヌル「うまーる、砂の中の探知はできるか?」
うまーる「うん。何を探すの?」
ヌル「アオウミガメの卵さ。
昨日の弱った亀は、
ただ飢えてただけじゃない。
きっと、産卵で体力を使ったハズさ。
アオウミガメのオスは、
一生を海の中で過ごす。
砂浜に上がるのは、産卵するメスだけだ。」
うまーるは、砂浜を探知した。
うまーるは次々と、
アオウミガメの卵を発見した。
ヌル「みなさん、卵は半分だけ採って、
あとは砂をかけて戻しましょう。
今夜はコレをいただきましょう。
亀様に感謝を忘れずに。」
(きっと俺は残酷な提案をしたのは間違いない。
でも、今のままじゃこの海は死の海になる。
亀達のためにも、仕方なかったんだ。
未来を見据えた適切な管理は、
絶対に必要なんだ。
きっと、わかってもらえる。
何年先になるかわからないけど。
豊かな海が戻ってきて、それを目にすれば
自分達のアノときの決断は
正しかったんだって。)




