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【台本版】魔王の缶詰()の作り方  作者: ジータ
第二章 新しい仲間
43/138

43 目指す場所は、遥か遠く

43 目指す場所は、遥か遠く



火鼠(今日ここで、俺が新しい勇者と出会えた事は、

  俺の生涯で

  1番の幸運だったのかもしれない。)



 レスベラは左足一本で華麗に着地し、

腰の鞘に刀を納めた。


レスベラ「酒乱一刀流・酒様〈さかさま〉」



 火鼠の体が毛皮を残し、灰となっていく。


 ヌルにだけは、

最期の、火鼠の心の声が聞こえていた。


「今日ここで、俺が新しい勇者と出会えた事は、

 俺の生涯で

 1番の幸運だったのかもしれない。」


 ヌルは『スキル・幸運』を手に入れた。


ヌル(火鼠は、ずっと悩んでいた!?

  苦悩しながらも、本能に従い、

  生き延びてきたのか。


  もしかしたら、

  火鼠も被害者だったのかもしれないな。)


 悪とは何なのか。

 ヌルにとってまた、新たな課題が増えた。


ヌル(しかし、災厄の魔王の影響で

  世界の人口が半分以下になった

  という話がある。


  火鼠は少なくとも、

  億単位のヒトを殺している…)


 生きる権利と、殺すための大義名分。

 この狭間で揺れ続ける日々に、

終わりは来るのか。




 火鼠の毛皮を羽織った、レスベラが戻ってきた。


 その見た目は、まるで熊の毛皮を

着ているようで、

ワイルドかつゴージャスな雰囲気だ。



 レスベラは着替えた。


レスベラ「クルム、コレって、

     伝説のアレなんじゃないか?」


 火鼠の毛皮を掴んだレスベラが、

クルムに話しかける。


クルム「間違いないわ。

    カグヤ神話に出てくる、

    "火鼠の皮革“ね。」


レスベラ「やっぱりそうか!

     ヌル、コレは素材として使うのと、

     売ってカネにするのと、

     どっちがいいんだ?」


 ヌルは鑑定魔法で火鼠の皮革を鑑た。


 "炎完全耐性"と"状態異常耐性"があるようだ。


ヌル「うーん。

   使い道がわからない以上、

   なんとも言えないな。


   多分、2度と手に入らないから、

   保留でいいんじゃないかな。」


クルム「そうね。

    盗まれないように気をつけなさい。」


レスベラ「アタシ、酔って失くしそうだわ。

     ヌル頼むわ。」


 ヌルは、火鼠の皮革を押し付けられた。

 ヌルはカバンに火鼠の皮革をしまい込んだ。


ヌル「よし、とりあえず蓬莱村に戻ろう。」


 4人が蓬莱村に戻ろうとした時、

ネズミの大群が崑崙山に向かい

走り出す姿が見えた。


レスベラ「おいおい!?

     なんで自ら、

     炎の中に飛び込んでいくんだよ!?」


クルム「ボスが死んで、

    パニック起こしてるんじゃないの?」


うまーる「ネズミさん…」


ヌル(レミングの集団自殺は、

  "捏造"だと結論が出ている。


  これは…憶測でしかないけど、

  火鼠による最後の命令なのかもしれない。

  自分の死後、確実に起こるであろう

  人類による、ネズミたちへの駆逐。


  それをさせない為の

  措置なのではないだろうか。


  もう今となっては、それを確かめる術は無い。

  ともかく、

  これでペスト問題は大丈夫だろう。


  自分のやっている事は、本当に正しいのか?


  少なくとも、蓬莱村の人々は救われた。

  きっとこれで、良かったんだ。)


 4人は蓬莱村に帰るため、歩き出す。


 ヌルは疑問に思ったことが多々あったので、

3人に色々質問してみた。


ヌル「うまーるさ、いきなりスキル使ってたけど、

   いつ覚えたの?」


うまーる「実はね、わからないんだよ。

     なんかね、

     気がついたら使ってたんだよ。」


ヌル「今、使おうと思えば使えるの?」


うまーる「ごめんなさい。

     使い方がわからないんだよ…」


ヌル「キレた時だけ使えるんかな?」


   (スーパー●イヤ人じゃねーか!)


レスベラ「大丈夫!一回できたんだから、

     またできるさ!」


クルム「怒らせちゃダメってことね。

    うまーる。旦那選びは、浮気しない男に

    しときなさい。

    事件になるわよ。」


うまーる「うん、わかったんだよ!」


ヌル「レスベラとクルムのスキルも凄かったよ!

   なんなの、あれ?」


レスベラ「すごいだろ!


     私のは、感情のままに踊ることで、

     そのときの感情に応じた属性の防具を

     具現化して身に纏い、戦うんだ!


     属性防御とか、

     属性攻撃できるんだぞ!」


ヌル(ん?踊ってたっけ…?

  刀を振り回してたアレが、踊りなのか!!

  ということは、出会った時のアレも、

  剣の稽古じゃなかった!?


  それと、属性防御はわかるけど、

  炎の攻撃なんてしてたっけ??)


  「へえー!すごいな!!」


クルム「私のは、感情のままに歌うことで、

    感情に応じた属性のチカラを

    味方に付与するのよ。


    連携のスキルの方は、重複効果ね。

    通常、同じ強化は"重ねがけ"

    できないけど、

    ゴリラと私のは"重ねがけ"できるのよ。


    つまり、通常のゴリラを

    1ゴリラとすると、

    天衣無縫の舞で2ゴリラ。

    聖女の詩吟で3ゴリラってことね。」


ヌル(3ゴリラ…3倍ってことね…)


  「すごいな!さすが勇者姉妹だね!」


レスベラ「例えがゴリラばっかで、

     わかりづれえなオイ!

     てか、強化前でもゴリラかよ!!」


クルム「ゴリラじゃなかったら、何なのよ。」


ヌル「まぁまぁ、ね?

   とにかく、みんなスゴかったよ!

   なんか、魔王とか楽勝な気がする!!」


 ヌルが、慌てて2人をなだめる。


レスベラ「まぁ任せとけって!」


クルム「アンタは、魔王どうこうより、

    わざと負ける事を覚えなさい。

    それか、結婚相手に戦闘力を求める事を

    やめなさい。」


レスベラ「クルムこそ…」


 ヌルは、酒の瓶のフタをあけ、

レスベラの口元に近づけた。


レスベラの口が、酒の瓶に吸い付く。


ヌル「英雄の凱旋だよ!仲良く村に入ろうぜ!」


 レスベラは酒をラッパ飲みしている。

 ご機嫌になったようだ。


ヌル(おしゃぶりを与えた赤ちゃんみたいだな…)





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 蓬莱村に戻り、


旅館【まるよし】に入る4人。


 ぽちぽちは、

風呂と料理の準備をして待っていた。


4人「ただいまぁー!!」


ぽちぽち「全て終わったのですね。

     お風呂の用意が出来てございます。」


レスベラ「やったー!!」


うまーる「わーい♪」


クルム「あら、気が効くわね。」


 3人の背後をついていくヌル。


ぽちぽち「男湯は、こちらですよ。」


 ぽちぽちがヌルの肩を掴む。


ヌル(ちっ!やはり混浴じゃなかったか!)


レスベラ「残念だったな!

     今度、背中流してやるよ!」


クルム「なに残念そうな顔してるのよ。」


ヌル(だって残念なんだもん!)


  「…じゃあ、また後で。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 風呂の後、4人を待っていたのは、

ぽちぽちが心を込めて、作ってくれた料理だった。


 質素ではあるが、

手間暇かかった筍料理の数々だった。


 食料が乏しい現状、

それは"最大の感謝"を込めた、

最高のおもてなしであった。


ヌルたちは崑崙山での出来事を、

ぽちぽちに話した。


 ぽちぽちは

ヌルたち4人が崑崙山に行っていた間の、

村での活動を話した。


 ぽちぽちは出発前にヌルから貰い受けた、

テトラサイクリンを使い切るほど

ペスト患者の介助をしていたようだ。


 ヌルは移動中に生成した

テトラサイクリンを、ぽちぽちに渡した。


 ヌルはぽちぽちに、自分達が蓬莱村に来た

ワケを話した。


ヌル「実は俺達は、マーボーさんを探しています。

   ご存知ではありませんか?」


ぽちぽち「まぁ、マーボーさんを。そうですか。」


 ぽちぽちは少し間をおいた後、話はじめた。


ぽちぽち「マーボーさんは、

     仕えていたケンチョー王国が

     滅亡したあと、

     ケンチョー騎士団を率いて、

     この村を訪れました。


     この村出身の英雄は、2人います。


     1人はマーボーさん、

     もう1人はルーローさんです。


     マーボーさんは、

     もう1人の英雄である

     ルーローさんに会う為、

     オーリヤマ人間国を目指すと言い、

     旅に出ました。」


ヌル「オーリヤマ人間国…」


クルム「南の方の大陸ね。

    最大規模の人間国よ。

    おそらく、人類最強の軍隊も備えてる。

    魔王と戦うには、最適の選択ね。」


レスベラ「どうやって行くんだ?」


クルム「アンタなら泳いで行けるわよ。


    この大陸の西にある、

    カガワ人間国から船で行くのが

    1番の近道かな。」


うまーる「泳いで行ったら、

     サメさんに食べられちゃうんだよ…」


クルム「こんな脂肪分が多いのを食べたら、

    鮫だって胸焼けするわよ。大丈夫。」


レスベラ「アタシも豪華客船に乗りたいぞ!」


クルム「そんな船、あるわけないでしょ。

    ヌル、どうするの?」


ヌル「俺たちも、オーリヤマを目指そう。

   先ずは、カガワ人間国を目指そうか。」


 ヌルは地図を広げた。


 地図の上に、ずんだが降りたち、

ある場所を激しく嘴でつついた。


  スコココココ!


ヌル「ああっ!ずんだ!!

   大事な地図を!?」


 地図に小さな穴があいた。


ずんだ「ポキョ」


ヌル「クルム、この穴の場所に何かあるのか?」


クルム「う〜ん。小さな漁村かしら。」


レスベラ「ここは、沈没船もあるぞ。

     あと、竜岩。」


クルム「ああ、そういや、

    座礁した伝説の海賊船あったわね。

    完全に沈没したわけじゃないわよ。」


ヌル「竜岩?」


クルム「竜の形をした岩の彫刻よ。

    古代の人が作ったとか。

    まぁ観光地ね。」


 ずんだが地図の上を歩く。

 そのルートは、少し遠回りにカガワへと向かう

ルートだった。


ヌル「少し遠回りになっちゃうけど、

   このルートを行ってみよう。

   ずんだがわざわざ、動くからには

   きっと何かあるんだ。」


クルム「勇者ザトマル伝説にも、

    若草色の小鳥が登場するしね。

    名前がたしか、『ヨモギ』ね。」


レスベラ「勇者が愛した小鳥の種族が、

     タカキタ村の酒場

     『ウグイス亭』店名の由来

     だって話だしな。」


ヌル「そうか。やっぱり何かあるんだろうな。


   お前は一体、何者なんだよ!?」


 ヌルが、ずんだの頭を撫でる。


うまーる「ずんだちゃんがいなかったら、

     わたしはヌルお兄ちゃんと

     出会えなかったし、

     星舞村も酷いままだったんだよ!」


ずんだ「ポキョ」


 ずんだは、まるで、

「その通り!俺のおかげなんだぞ!」

と、誇らしそうである。



ヌル「よし!行き先は決まった!!


   明日の朝、海賊船を目指して、

   出発だあああ!!」


レスベラ・うまーる「おー!!」


 右手を挙げる2人。


 クルムは、赤い粉まみれになった、

筍の煮〆をかじりながら酒を嗜む。


 夜が更けて行く。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



  翌朝


ヌル「これ、

   昨晩生成したテトラサイクリンです。」


 ヌルはぽちぽちに、

最後のテトラサイクリンを渡した。


ぽちぽち「本当にありがとうございます。」


 ぽちぽちは、深々と頭を下げた。


ヌル「次はマーボーさんを連れて、

   凱旋帰還しますよ!


   では、お元気で!!」



 4人は歩き出した。



 手を振る、ぽちぽちが小さくなる。


 ヌル達は、蓬莱村の食料事情を心配した。

しかし、ぽちぽちの話によると竹の葉があれば、

最低限の生活はできるとの事だった。


 黒死病さえ克服して、元気な人が増えれば

復興も簡単だという話だ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ーヌル達が蓬莱村を出発してから2日後ー


 海賊船がある、竜宮村の沖合でのこと。


 小型漁船の上に数匹の魔物と、

拷問を受ける人間がいた。


人間「本当に、何も知らないんだ…」


 人間は血塗れだ。

 激しい拷問を受けていたようだ。

 周りには、

無惨な姿の人間の遺体が散乱している。


魔物A「これだけやっても、手掛かり無しかよ。

    このまま帰るわけにはいかねえしなぁ。

    まいったな。」


魔物B「多くの奴隷を使って、

    人海戦術で探すのはどうッコ?」


魔物A「そうだな。そうするか。

    じゃあ、コレは廃棄だな。」


人間「あ、ああ…。」


 人間はコマ切れにされ、絶命した。


魔物B「人間は生きたまま連れて来い、

    って命令ッコ。

    こんなに殺して大丈夫ッコ?」


魔物A「魚のエサにすりゃ、バレねえよ。

    人間なんて腐るほどいるしな。


    行くぞ!おまえら!

    竜宮村を俺たちの拠点にするぞ。」


 4匹の魔物が、沖合から漁村へと向かった。









これで、2章完結となります。

今後も推敲と更新を頑張ってまいります。

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